普通なら手間ヒマがかかるもの、あるいは大量に作るものを、少人数分だけ簡単に調理できる「おひとりさま家電」。
いまや一大ジャンルを築き上げているが、これこそが究極ではないか、という卓上小型家電がある。
株式会社ハックの「ちょこっと家電 おひとり様グリル鍋」だ。個人的に「これ最強!」と思っているので、その理由も含めてご紹介したい。
・「ちょこっと家電 おひとり様グリル鍋」(オープン価格)
商品を開封すると、まずその小ささにびっくりする。価格は販売サイトによりまちまちだが、2000円から2500円くらい。まさに「ちょこっと家電」といった価格帯だ。
本体は手のひらに載るサイズ。約620gだというから、ペットボトル1本分くらい。
直径はわずか12cm! 両手の人差し指と親指で○を作ったくらいのサイズ感だ。
片手鍋なんて、ままごと道具かと思うくらいの軽さ。言葉を選ばずいうと「おもちゃみたい」な触り心地だ。
本体の一段目が焼肉プレートになっていて、二段目に片手鍋を載せればちょっとした煮込みができる鍋になる。
実際に焼肉をしてみよう! 電源プラグをさすだけで起動し、オン・オフ機能はない。ランプが点灯して、いきなり加熱が始まる。結構なスピードで本体が熱くなるので置き場所など注意。
また、焼肉プレートは取り外しができない。機械部分と一体化しており、水洗い不可なので汚さないような工夫が必要だ。メーカー推奨の方法ではないかもしれないが、筆者はアルミシートを敷いた。
温度調節機能もなく、本体内のサーモスタットでの自動オン・オフに任せるしかない。「機能が最低限にしぼられているぶん安い」というのは、お手軽家電あるあるだ。
調理器具のほうが遥かに大きいので、炒めるような調理もできないと思う。菜箸(さいばし)くらいしか使えないだろう。
豚バラでも2枚くらいが限度。本当にままごとのようだ。
しかし、意外にもすぐにジュージューと音を立てて肉が色づいてくる。本体プレートは約200度になるので、薄手の肉を焼くくらいなら十分。
プレートに接した部分しか焼けないから、おそらくブロック肉は火を通すのが難しい。薄切りのカルビなどがよさそう。プレートの壁面までフル活用して全体を焼いたら……
さっと塩やスパイスで味付けしただけで、めちゃうま!
少しずつしか焼けないから、食べては焼き、食べては焼きを繰り返す。めちゃくちゃ時間がかかるが、まったり晩酌するにはよさそう。
片手鍋を重ねれば、お湯も沸かせるので……
お好みの麺を入れたなら
〆のラーメンも可能! 片手鍋は最大容量300mlほどなので、湯沸かしとして使うなら普通サイズのカップヌードルがぎりぎり作れるか作れないかくらいの湯量だ。ひとり用のちょっとした煮込みやスープといったボリューム。
焼肉プレートを汚さないようにすれば、後片付けはかなり簡単だ。小さいということは、拭くのも乾かすのも容易ということを意味する。
・廉価品ゆえの粗もある
今のところ筆者は気に入っているが、欠点もある。実は筆者の手持ちは2台目。
1台目は購入直後から電源プラグをさしてもまったく通電しないという不良品であった。とてもがっかりしたのだが、もともとが安価だから「返品も交換もめんどうくさい」という思考に陥ってしまう。
また、フッ素加工はされているものの、表面が非常に傷つきやすいというクチコミもある。電源のオン・オフや水洗いができないことは前述のとおり。
値段ゆえの「簡素さ」「荒さ」は十分にあるので、そのあたりのリスクの理解は必要だ。
・それでも推す理由
実際のところ、同じコンセプトでもっと高性能なホットプレートというのは他社にもある。しかしこの製品の最大の特徴は、定格消費電力がめちゃくちゃ小さいこと! わずか260Wなのだ。
ポータブル電源などを使ってキャンプをしている方はご存じだと思うが、ドライヤー、ホットプレート、湯沸かしポット、電子レンジといった熱を生み出す家電は消費電力が大きい。
一見するとシンプルでコンパクトな製品でも定格消費電力600W、700Wというのが普通。一方でこの製品は半分以下だ。
筆者の車にはサブバッテリーがあるが、インバーター(DCをACに変換する装置)が非力なためにほとんどの調理家電が使えない。しかし、この製品なら大丈夫! 数々の欠点を補って余りある魅力!
キャンプ場なら炭火やガスコンロが活躍するが、RVパークなどいわゆる車中泊スポットでは野外調理禁止のことも多い。道の駅の駐車スペースでバーベキューをするなど言語道断だ。
電気調理器は、野外調理のできない車中泊スポットでちょっと温かいものを食べたいな、というときに重宝。さすがに車内焼肉は油や匂いの関係からオススメしないが、スープを作れるだけで上出来だ。
普通に自宅で使うのなら他社製品もいいが、車中泊をするならいかがだろうか。ただし購入したら、すぐに「初期不良がないか」をチェック! それとフッ素加工がはがれないように工夫をして使って欲しい!!
参考リンク:株式会社ハック
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.