ロケットニュース24

「ジャンボタニシの卵」「集合体恐怖症」と話題のスタバの新作パイ → ウマさをそのまま、大丈夫なビジュアルにしてみた

2022年8月5日

これまでTwitterで「ジャンボタニシの卵」や「集合体恐怖症」が食べ物枠としてトレンド入りしたことがあるのだろうか? まあ、ワンチャン「集合体恐怖症」はタピオカ辺りであったかもしれない。

が、「ジャンボタニシの卵」はきっと史上初だろう。そんなある種の偉業を成し遂げてしまったのが、スタバの新作スイーツ「クリームパイ ブルーベリー&ココア」。名前はめっちゃ美味しそう! 

・異彩

ということで、とりあえず近所の店舗に。Twitterでも絶賛トレンド入り中。大いに話題になっているタイミングだ。


絶対みんな気になるだろう。売切れててもおかしくは無いが……


あぁ、あれか。実物は初見だったが、遠目にも一発でわかる。放ってる雰囲気が違うんだよな。まさに “異彩を放つ” という言葉を具現化したかのごとき。

お値段は1個300円。残り2個でギリギリだったもよう。


・ジャンボタニシの卵

無事ゲットしてきたのがこちら。


なるほど。確かにこれは、そういうビジュアルですね


裏はこんな感じ。


こげ茶~黒な感じのパイ生地に、ブルーベリーっぽいパープルなクリーム。そして全ての元凶となった無数のピンクの謎の玉というデザイン。公式HPによると、この玉は「ストロベリーパウダー入りのパールチョコ」だとか。

ためしに本体を真っ二つにしてみたのがこちら。


生地がなかなか切れず潰れてしまったが、どうやらクリームの中心部分には、ブルーベリーのジャムだかフィリング的なモノが仕込まれていたようだ。


食べてみると、しっとり感あるココア風味な生地と、フワッとしたブルーベリーのクリーム&少し味が濃いフィリング的な部位の相性が最高だ!

そしてビジュアル的には諸悪の根源だったパールチョコも、味と食感的にはイイ感じのアクセントになっており、パイとしての評価は非常に高いと思う! 味だけ見れば。 


・どうすればよかったのか?

やはり問題はビジュアル。個人的にはジャンボタニシの卵でも全然イイと思う。それに、ぶっちゃけジャンボタニシの卵に似ていなければ、ここまでバズることも無かっただろう

スタバといえばオサレ感。ブランドのイメージ的に、この反響は意図したものではなさそうだが、結果だけ見れば成功なのでは?

とはいえ私は田舎の野育ち。子供の頃にジャンボタニシの卵で遊んだこともあるため、このビジュアルにも人一倍寛容だ。

しかしトレンドには「集合体恐怖症」までも入っていることから、この「クリームパイ ブルーベリー&ココア」が、NGな人にはとことんNGな領域に至ってしまっている可能性も否定できない。

では、ウマさを損なわず、ジャンボタニシの卵や集合体恐怖症を回避するために、どんなビジュアルにすればよかったのか……?


・卵を埋め込む提案

そこで思いついたのがこうだ! まず卵、もとい、パールチョコがついた部位をカット。


これだけでもだいぶいい感じになったな。上ではわかりづらかった、クリームの中心部に注入されているフィリング的なモノが良く見える。


ちなみにカットしたパールチョコはこちら。こうして見ると、マジでいよいよなビジュアルだ!


見た目はアレだが、でもこの部分のウマさはガチ! カットしたままではウマさが2割位減る。ということで……


こうだ!


カットした状態から変わってないじゃんって? そう見えたなら大成功。実はこちら、両サイドのクリームを少しほじり出し、そこにパールチョコを埋没させ、ほじり出したクリームで蓋をしたもの。

要は、外に出ているとビジュアルがアウト気味になるピンクのパールチョコを、中に入れて見えなくしたのだ。食った感じは一緒。ウマさそのままに、ビジュアルだけ変えたのだ。

ということで、いかがだろう。お手製なので雑な仕上げだが、脱ジャンボタニシの卵の方法としてはイイ感じなのでは? まあでも、ここまで来たら開き直ってジャンボタニシの卵に乗っかった方が、更なるバズに繋がりそうな気もするけど。

参考リンク:スターバックスコーヒー
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

▼中には都会育ちやインドア派だったなどで、ジャンボタニシの卵がピンと来ない方もいるかもしれない。せっかくなので解説するぞ! ビジュアル的には、この写真がマジでかなり完成度が高い。


田んぼの用水路や、その辺のドブ川のコンクリの壁面、池や沼の草の茎などに、ピンク色のこういうのが張り付いていたら100%それだ。ちょうど今の時期はシーズンだと思う。

私の知る限り、日本ではスクミリンゴガイラプラタリンゴガイの2種がジャンボタニシと呼ばれている。リンゴガイの仲間であって、タニシの仲間ではない。

日本では生態系被害防止外来種リスト上で重点対策外来種に指定されているので、見つけたら除去するのがおススメだぜ!

週に1回か2回くらいのペースで何百もの卵を産むという、油断ならない繁栄力を持っている。卵は張り付いている壁面から木の棒などで削ぎ落して水没させれば孵化できない。

ちなみにハデなピンク色は、イクラなどと同じくアスタキサンチンが寄与している。しかしリンゴガイの卵はイクラのように美味くない。

こいつには、腹足綱の卵にありがちなペリビテリン-2という物質が入っているのだ。これは胚の成長にとって重要な物質なのだが、人間的には毒だ。

私もそうだが、子供の頃に素手で触って弄った経験のある方も多いと思う。毒ではあるが、この通り触れたからと言って直ちに死ぬようなものではない。しかし危険なので、やはり素手で触るのは控えたほうが良いぞ

成長した個体の除去方法としては、丈夫な袋に入れるなどしたうえで、燃えるゴミに出してしまえばOKだ! ショボい袋だと体液で袋がやられるので、丈夫なものを使い、2重にしよう。

また、この手の淡水生の巻貝は粘液や内部に広東住血線虫という寄生虫がいたりする。田舎じゃキッズが素手で捕まえていたりするし、私も素手で捕まえたりするが、これは悪い例だ!

英語では俗にApple snailなどと、ちょっとカワイイ感じの呼ばれ方をしている。メキシコなど、食用として需要がある地域も。

日本でも当初はそれを期待して輸入。国内で養殖されたが、うまくいかずに養殖業者は廃業。リンゴガイたちは脱走するなどして繁殖し、今に至る。安易に外来種を招き入れることの危険性を学べる失敗例だな。

じゃあ食えばいいじゃんと思うかもしれないが、処理が大変なのと、言うほど可食部は多くない。しかも風味にクセがある。

食用として輸入されるも失敗したという点から、その辺は察することができるだろう。日本人の食文化には恐らく合わない。

ヤツらが柔らかい植物だけを食べるという生態を利用した無農薬農法が提唱されたりするが、恐らく今の日本でこいつの駆除を推奨していない自治体は、ほぼ無いはず。

環境省や農水省は、全力で駆除を推奨しているしな。県によっては条例で飼育や放逐を禁止しているところもあるレベル。

無農薬だから環境に良いとか言うのだろうが、それよりもスクミリンゴガイやラプラタリンゴガイが増えることで生じる、日本の本来の生態系への被害を懸念すべきだろう。

もしジャンボタニシ農法に使うリンゴガイたちが、真に自分の田んぼの中だけで繁殖するなら好きにすればいいと思うが、そんなことはあり得ない。絶対に外に流出するぞ!

そして、その辺の池や湿地に広まり、恐らく相当な量の水草に食害をもたらすだろう。水草が無くなれば、水草が必要だった在来種も消えてしまう。

安易に薬品をバラまいて駆除すると、守るべき在来種にも被害を与えるため、マジで地道にやるしかない。実は若いころにステイツで生物学などたしなんでいたのだが、外来種には散々に悩まされた。


外来種はサーチ and アナイアレイトが良いと思う。 ちなみにペットショップで売っているゴールデンアップルスネールも、普通にリンゴガイの仲間。放流したらアウトだ。


[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

モバイルバージョンを終了