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【怪談コラム】学校でコックリさんが流行ったあとクラスの女子に異変が起きた話 / 7月26日は幽霊の日

2022年7月26日

本日、7月26日は「幽霊の日」。お岩さんの話で有名な『東海道四谷怪談』が中村座で初演された日にちなんでいるそうな。

幽霊を信じるか信じないか……は人それぞれだと思う。今回は、私が小学1年生の頃に起きた「コックリさん」にまつわる不可思議すぎる出来事について書きたい。


・こっくりさんブーム

今はオカルト系の番組がすっかり減ってしまったが、80年代〜90年代は老いも若きもオカルトブームだった。テレビではゴールデンタイムに心霊スポット探訪をやっていたし、子供向けの本でも「怖い話」モノが人気だった。

そんなこんなで、クラスのおませな女子の間で「コックリさん」やそれに派生する「エンジェルさん」が流行した。一応知らない人のために説明すると鳥居のマークと「あ行」から「わ行」まで書いた白い紙の上に5円玉を置いて「こっくりさん、こっくりさん……」と質問すると、答えを教えてくれる……という降霊術みたいなものである。

ちなみに、通っていた小学校には「白蛇伝説」なる伝承があったり、かつて学校が火事になったことがあったりといわくがあり、夕方の校舎はちょっと不気味だった。

そんな校舎で放課後に、女の子たちが集まっては「〇〇くんの好きな人は誰ですか」「クラスの嫌われ者は誰ですか」などとやっていた。私は超怖がりのうえに、母親から「お稲荷さんは怖いから、こっくりさんは絶対にやっちゃダメ!」とキツく言われていたため、参加することはなかったのだが……。


・号泣し続けるクラスメイト

そんな「コックリさんブーム」が続いたある日、学校に行くと、授業参観日でもないのクラスメイトのU子ちゃんのお母さんが教室のうしろに立っていた。U子ちゃんはこっくりさんをやっていた女子のメンバーだった。

当のU子ちゃんは自分の席で泣き続けている。怒られてシクシク泣いているとかではなく、癇癪(かんしゃく)を起こしたように、1日中ずっと「お母さん、お母さん!」と言いながら泣き叫び続けているのだ。理由も分からず、あまりにも泣き止まないため、お母さんが付き添いで来ているのだという。それは異様な光景だった。

これがおとなしくて泣き虫な子なら分かるのだが、U子ちゃんは、スポーツ万能で昼休みは男の子たちとドッジボールをするような、明るく活発な子である。いわば女子版ガキ大将のような……。大きな声で、赤ちゃんみたいに泣くような子ではないのだ。

そんな普段のU子ちゃんとは完全に別人としか思えない泣きっぷりに、クラスメイトも先生も、そしてU子ちゃんのお母さんも戸惑っていた。U子ちゃんのお母さんが帰ろうとするといっそう大きな声で泣くので離れられないのだという。

U子ちゃんと仲のいい子たちが休み時間に話しかけても無反応で、ずっとお母さんにしがみついて泣いていた。これはU子ちゃんだけど、U子ちゃんじゃない……。子供ながらに誰もがそう思っていたのを覚えている。

そんなふうにU子ちゃんが号泣しながら、お母さんに付き添われて学校に来る状態が1週間ほど続いたと思う。もしかしたら数日くらい休んでいたかもしれない。

ただならぬものを感じたのか、クラスで「コックリさん」をする子はいなくなった。


・数カ月後……文集に書かれた不思議な作文

で、ある日突然、いつもどおりのU子ちゃんに戻った。泣き叫んでいた頃の面影はさっぱりなく、元気で活発なU子ちゃんになったのだ。先生も何も言わなかった。子供の順応性というのは不思議なもので、泣いていたことをからかう子もおらず、元の学校生活に戻った。

そんなこんなでU子ちゃんの号泣騒動のことはすっかり忘れていたのだが……年度末の文集で「1年生の思い出」みたいな作文を書かされた。そしてそこでU子ちゃんが書いていたのが衝撃的な内容だった。

「わたしは、1年生のはじまりに、まいにち赤ちゃんみたいに泣いていたそうです。わたしはそのときのことをおぼえていません。おかあさんや先生をとってこまらせていたそうです。あるとき、おかあさんといっしょに〇〇のお寺のおぼうさんのところにいきました。おぼうさんがお経をよんだら、目のまえがピカッとひかりました。それからわたしはげんきになりました」

うちの母がクラスの保護者会で聞いたところによると、病院につれていってもU子ちゃんの号泣が治らず、困り果てたU子ちゃん一家は、地元で有名なお寺にお祓いに行ったということだった。

その寺で言われたことによると、U子ちゃんには1982年の長崎大水害で亡くなった子供の霊が憑いていたらしい。水害が起きた場所から小学校の地区はそう遠くない。不気味なこっくりさんブームや、あのU子ちゃんのただならぬ様子を思うと、霊に取り憑かれていたと言われても不思議ではないのだ。

卒業までU子ちゃんはあの時のように泣いたりするようなこともなく、元気に学校生活を送っていた。わざとやっていたとも思えないし、あの号泣騒動が不思議でたまらなかった。

今でも理屈で説明のつかない体験で、あれは本当にこっくりさんによる霊のしわざだったのかもしれないなと思う。実はこれ以外にもクラスではいろいろなことがあったのだが、書けるのはこれくらいだ。コックリさんのようなものは、遊び半分でやらない方がいいと思う。

執筆:御花畑マリコ
Photo:RocketNews24.
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