ついに……ついに……憧れのレストランに行けました。パスポートもスーツケースもいらないイタリア、「サイゼリヤ」ですよ。
「サイゼかよw」と思ったあなた。都会なら500mおきくらいに見かける全国チェーンが出店していない、そんな地域はざらにある!!
しかしIT社会、情報だけは届く。生粋のイタリア人が絶賛しているとか、大人8人で4万円しか使えないとか、聞こえてくるのは、にわかには信じがたいウワサばかり。まだ見ぬ愛しい人……君の名は「サイゼリヤ」。ずっと「サイゼリア」だと思っていた筆者が、ついにその地に降り立った……!
・知ってます
さっそく注文内容を決める。1番人気メニューは、もちろんリサーチ済みよ? 「ミラノ風ドリア」でしょ。
パスタ400円って、やっす! 税込だと440円か……
って税込400円────!! 他店ならサイドメニュー価格じゃないか!
そしてメニューが多い! 品数としては他店と変わらないかもしれないのだけれど、「食べてみたい」と思わせるメニューがたくさんある。「ラムときのこのきこり風」とか「フリウリ風フリコ」とか、聞いただけでは味が想像できない。
商品名に「北海道」とつけるだけで美味しそうに思えてくる言の葉パワーが「きこり風」にも感じられる。いいね、きこりメシ。パワーワードだね。
・料理キタ!
アペタイザーからデザートまでバランスよくオーダーしてみました。
もちろん頼みましたよ、ミニフィセル(税込150円)。
ん? このパン……
熱いぞっ……!
焼いてあってパリパリじゃないか! 思ってもみない人から告白されたようなサプライズ感。これはホレるよ、好きになっちゃうよ!
なるほど、調味料はセルフサービスコーナーから取ってくるのね。サイゼの魅力は、自分なりに味をアレンジできるところだという。
知ってます。このミニフィセルをナイフで割って……
オリーブオイルをたらし……
熟成ミラノサラミ(税込300円)と葉っぱを挟むんでしょ!
お手製サンドイッチの誕生だ! どれどれ……
こ、これはっ……!
パンはサクサクのホクホク、ピザ生地のような小麦の香ばしい匂いが広がる。そしてサラミの塩気と、オリーブオイルのフレッシュな味わい。葉っぱがほんのり苦くて、薬味のような仕事をしている。
ブォーノ! ブォォォォォォォノ!
そして不動の1番人気、「ミラノ風ドリア」(税込300円)! メイン料理が300円ってあなた……コンビニ飯じゃないんだから……!
こちらは……なるほど!!
「ミラノ風」なのかどうかは正直わからない。ミラノ行ったことないし。それよりもむしろ、とても素朴で日本的な味がする。デパートの屋上遊園地で遊んだ後に食べた洋食のような、どこか懐かしい味わい。「思い出の屋上レストラン風」に改名してはいかがだろう。
最後にデザートとして「ティラミス クラシコ」(税込300円)。デカいな! クリーミーでほんのり洋酒がきいた大人の味わい。
ほかにもいろいろ食べてみたかったけれど胃袋が限界だ。そろそろ会計するか……。いくらかな?
えぇぇぇぇ、1000円ちょっと!? 私4品オーダーしましたよ!? 1品250円ですか? ちゃんと儲け出てる?
・その後も行った
その後も筆者はサイゼリヤを訪れ、原料不足で4本での提供になりサイゼリヤンを泣かせているという「辛味チキン」(税込300円)をオーダーしては──
手で食べるにはジューシーすぎ、フォークで食べるには複雑すぎる姿に困惑したり……
(手で食べるのが正解だよね?)
「アロスティチーニ」(税込400円)を半分くらい食べたら「魔法の粉」の皿に入らなくなり
フォークで串から外そうとしても必死の力でしがみついているので
画期的な方法を思いついたり
残った「魔法の粉」を「カリッとポテト」(税込250円)にかけるという神メニューを考案したりしながら
旅先でのサイゼリヤを満喫した。
・奇跡の出会い
地方にいると「損だなぁ」と感じることも多い。雑誌の発売日は遅く、テレビのチャンネルは少なく、交通系ICカードでは乗り物に乗れない。全国チェーンの飲食店で予定日に新メニューが始まらず、その理由が「什器が本部から届かないから」なんてこともあった。
だからこそ、その土地の人にとってはなんでもないチェーンレストランが、奇跡の出会いに感じられることもある。今日は私のサイゼ記念日。
参考リンク:サイゼリヤ
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.