
「令和」の今、どこでも当たり前のように甘くて美味しい、しかも上質なケーキを食べることができる。しかし私(佐藤)の生まれ育った「昭和」の頃はコンビニはなく(少なくとも昭和50~60年代、郷里にコンビニはなかった)、洋菓子店でなければケーキを買えなかった。
あの頃の定番ケーキといえば「たぬきケーキ」だ。今では絶滅危惧種とさえ呼ばれている、希少なたぬきケーキを久しぶりに食べる機会にめぐりあえた! バタークリームを使ったケーキを食べると思い出すよ。まだ何も知らなかったガキの頃のことを……。
・昭和の味
現在でもたぬきケーキを販売しているお店は、全国に存在している。個人の方が制作したGoogleMapの「全国たぬきケーキ生息マップ」によると、北は北海道から南は石垣島まで広い範囲で生息(販売)していることがわかる。しかし残念ながら、閉店したお店も増えている。今回紹介する東京・国分寺の「ファンフル洋菓子店」も、そんな貴重な生息地の1つだ。
店先の黒板には「伝統の味」として、次のように書かれている。
「平成ではなく、ちょっとなつかしい昭和の味です。「タヌキケーキ」あります」
やったー! たぬきの生息を確認したぞ!! たぬきケーキを食べるのはいつぶりだろう? いつ最後に食べたのか思い出せないな。もしかして3~40年ぶりとかかな。でもちゃんと覚えてる、たぬきケーキの味を。あのモッタリとしたバタークリームの味は、思い出の奥底にしっかり刻まれているんだ。
・無事1匹捕獲!
中に入ると色とりどりのケーキがショーケースにたくさん並んでいる。全部美味そうだな~。
フルーツタルト(税込330円)やイチゴのショートケーキ(税込330円)。
カスタードプリン(税込180円)にプリンアラモード(税込330円)まである! オペラ(税込300円)もモンブラン(税込280円)もサバラン(税込280円)も全部美味そうだ。「全部1つずつください!」と言いたくなってしまう。だが、本題はヤツだ。そう、たぬきだよ。たぬきケーキを捕獲せねば!
ショーケースを隅々まで見渡すといた! 5匹もいたぞ!!
ショーケースに並んでいる姿を目にするだけで目頭がアツくなる……。世の中にはたくさんのケーキ屋があるけど、これを並べているお店は本当に少なくなってしまった。こうして見ることができただけでも幸せだ。もちろん買って帰るけどね!
・目で訴えている……
1匹捕獲して無事に帰りました。中身は無事かな? 電車で片道30分かかったので、持ち帰る途中で箱をぶつけたりひっくり返したりしないかヒヤヒヤだった。
慎重に箱から取り出すと、ご覧の通り! なんてつぶらな瞳んなんだ。ちょっと涙目になってるみたいじゃないか。
この子はめちゃくちゃ鼻が高いな。
目ん玉が若干飛び出てるみたいにも見える。
後頭部も可愛らしいな。猫の頭みたいでなでてやりたくなってしまう。
そんなキュートなたぬきちゃん。その瞳はまるで『食べないで……』と訴えかけているようだ。
がしかし! そうはイカンのだよ、たぬきちゃん! 私はフォークを手に持ち、正面から……。
!!!! 一刀両断 !!!!
許せ、これも宿命(さだめ)だ……。
さてさて半割にすると、頭部はバタークリーム。胴体部分はチョコレートスポンジとチョコクリームで出来ていた。たぬきの中身はこうだったのか~!
食べると、クリームの口当たりに懐かしさがこみ上げてくる。幼少期によく食べたな~。祖母の住んでいた街では、土曜日に毎週「夜市」をやっていたっけなあ。夏場は毎週花火が上がってたと思う。お祭りみたいに賑わってて、あちこちの店が露店を出してたんだ。
その帰りにいつも洋菓子店に寄って、たぬきケーキを買ってもらったんだ。商店街はすっかりさびれてしまって、夜市もいつの頃からかなくなってしまったなあ……。心に眠る大事な思い出だ。
・たぬきケーキとパンダケーキ
お店の女将さんに話を聞くと、その昔は「たぬきケーキ」と「パンダケーキ」が存在していたそうだ。この2つは洋菓子店の定番だったそうだけど、パンダケーキはいつの間にか姿を消し、たぬきケーキだけが今でも残っている。47歳の私ですらパンダケーキの記憶はないので、それ以前に廃(すた)れてしまったのかもしれない。
たぬきケーキがパンダケーキみたいに消えないように、これからもずっとずっと昭和の味として残り続けて欲しい。
・今回訪問した店舗の情報
店名 ファンフル洋菓子店
住所 東京都国分寺市本多2丁目1-1
時間 11:00~17:00 土曜日11:00~18:30
定休日 不定休
参考リンク:Google Map「全国たぬきケーキ生息マップ」
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
佐藤英典














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