「魔女の宅急便」「ムーミン」「バムとケロ」、人種差別的観点から物議をかもしてきた「ちびくろサンボ」など、美味しそうなパンケーキが登場する物語は枚挙にいとまがない。筆者の記憶では「ぐりとぐら」もそうだと思っていたのだが、あれはカステラだそう。
いずれにしても、一定の世代以上にとってパンケーキとは遠い異国の、ちょっと憧れの食べ物ではないだろうか。
満月みたいに真ん丸のフォルムに、しっかりフォークが刺さる厚み、こんがりキツネ色に焼けた、まさに「物語に出てくるようなパンケーキ」を、ものすごく身近で食べられることをご存じだろうか。
・ガストの洋風モーニング
それはガストのモーニングである。
喫茶店のモーニングで一般的なのは、ドリンクを頼むと無料でフードがついてくるというサービスだと思う。ガストは逆で、フードを頼むとドリンクバーがついてくる。トーストから和定食までいろいろあるが、最安は「トースト&ゆで卵セット」税込329円から。
目移りするかもしれないが、ここは迷わずパンケーキがメインの「パンケーキ&ゆで卵セット」か「パンケーキ&スクランブルエッグセット」だ。
ガストフリークなら、普段からデザートメニューとしてパンケーキがあるのをご存じだろう。しかし、たとえば「チョコバナナとマスカルポーネのパンケーキ」といったネーミングからわかるように、フルーツやクリーム、チョコレートなどでたっぷりデコレーションされている。
これではいけない。筆者は外国映画に出てくるような、素朴でシンプルなパンケーキが食べたいのだから。
タブレット端末でササッとオーダーしたら、ドリンクバーやスープを堪能しながら待とう。
キタ! 筆者が頼んだのは「パンケーキ&スクランブルエッグセット」(税込659円)!! パンケーキのほかにサラダなどがワンプレートになったメニューだ。
これぞ、お月様みたいなパンケーキ!
ナイフを入れてみると……
優に2cmはある厚さ! ぐさりとフォークをつきたてることができ、中心部はフカフカである。
側面がちょっとカリカリしているのが伝わるだろうか。店舗によって焼き加減が違ったら申し訳ないが、筆者の行きつけの店舗では、端がちょっとだけ焦げて「シャクッ!」という食感なのだ。ちょうどミスドのフレンチクルーラーのシュガーのかたまりのように「シャリシャリ」には人を幸せにする力がある。
バターをつけてどうぞ。この四角いバターもアニメっぽい!
その上からとろ~り「はちみつ入りメープルシロップ」をかけてもいい! ただしパンケーキそのものが、かなり甘い生地なので、各自の好みによる。シロップなしでも十分甘いと思う。
ちなみに今日は “映え” を意識して最初にかけているが、普段はシロップがおかずに混ざらないようにスペースを作ったり、パンケーキに穴をあけて染み込ませたりしている。そのままかけると、重力の法則に従ってシロップ味のサラダやスクランブルエッグができるぞ。
おかずが不要なら「パンケーキ&ゆで卵セット」にしたり、別メニューを頼んで「おかわりパンケーキ」(税込219円)を追加するという手もある。そうするとパンケーキが独立したお皿で出てくる。
ガストではおなじみ、グリルしたソーセージ。パンケーキに焼きソーセージって、どこの外国のホテルなの!?
ジブリ飯みたいなカリカリベーコン。
スクランブルエッグはケチャップつき。さすがにこのスクランブルエッグはシェフの技とはいかず、ファミレス感があるが、ボリュームは十分だ。
・提供は10時30分まで
これにドリンクやスープがついて完成しているわけだが、1つ1つをみると、特別な品はなにもない。パンケーキなんて自宅で簡単に焼けるし、ソーセージやベーコンだってどの家の冷蔵庫にも入っているだろう。
しかし、すべてがワンプレートになり、朝の空気の中でアメリカンダイナー……もといファミリーレストランの席で食べると、アニメや映画や絵本から想像する「外国の朝ご飯ってこんな感じかな」にドンピシャなのだ。客もまばらな店内、ちょっと気だるい雰囲気、知らない洋楽のBGM……最高である。
基本はモーニングメニュー(6:00~10:30)だが、テイクアウトに限り終日「パンケーキ&ポテト」というメニューもある。タブレットがグランドメニューに切り替わり、ランチのお客さんで混雑してきたら撤収するのが筆者流だ。
参考リンク:ガスト「洋風モーニング」
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.