寿司がウマイことで知られるスシロー。だが、あの規模の回転寿司でどうやってウマさをキープし続けているのか? 特に、寿司なんて「職人」と呼ばれるほどの特殊技能なのに。
これは厨房に何か秘密があるに違いない。そこでスシローの厨房に入ってみたところ、記者(私)は衝撃の実態を目の当たりにした。スシローの裏側がヤバすぎる……。
・門外不出の厨房
謎に包まれたスシローの厨房。スシローの記事を書きまくっている私でも、客席部からガラス越しに見える部分しか知らないため門外不出と言える。
そんな厨房を見せてくれたのは2021年3月18日にオープンした都市型店舗・新宿三丁目店。関係者以外立ち入り禁止のバックルームを進むと厨房への扉があった。しかし、まだこの扉を開けることはできない。
・聖域
実は、スシローの厨房に入るためには結構入念な準備が必要だ。簡単に流れを説明すると、「手洗い → 着替え → 埃取り → 手洗い → 手袋をはめる」という工程だが、手洗い1つとっても8工程ある。まるで清めの儀式でもしているかのようだ。厨房の聖域感が凄い。
そんな聖域だけに、スシロー三丁目店にウェブメディアが入るのは今回が初めてなのだそうな。サンキュースシロー!
というわけで、厨房に入ってみたところ……
炊飯ロボ……
酢合わせロボ……
シャリロボ!!
ロボいすぎだろ! シャリだけで何体使うねん!! スシローほどの規模なので、もちろん自動化されているとは思っていたが、シャリだけで3体もロボがいるとは。ちなみに、炊飯ロボで米を炊き、酢合わせロボに移して酢合わせして、シャリロボで寿司のシャリに成形されるとのこと。
なお、シャリロボ内にはヒーターが設置されており、シャリが人肌くらいの温かさになるようになっているのだとか。さらにシャリに空気を含ませることにより、職人が手で握ったシャリを再現しているらしい。
・人の感性+ロボ
近未来SF好きとしてはロボはいればいるほど良い。だが、同時に現代を生きる一般人として素朴な疑問も覚えた。素人考えで恐縮だが、これ、オールインワンにできへんの?
所感を述べると、どうせロボ化するなら米と水と酢を入れたら、寿司のシャリに成形されたものが出てくる方が合理的な気がする。しかし、新宿三丁目店の責任者・西森さんによると、1回1回シャリの状態をチェックして調整しているのだそうだ。寿司の伝統の味を守りつつ最大限合理化できる形がこれなのかもしれない。
・恐るべき実態
と、近未来の洗礼を受けた私だったが、ハッキリ言おう。こんなのはジャブだったと。この後、衝撃的なブツを発見してしまったのである。それはちょうどシャリロボがある反対側。つまり、客席側に位置していた。
厨房内にレーンが通ってるのは客席からガラス越しにも見えると思うが、レーンの上、客席から見えない部分にモニターが設置されている。なんだこれ?
西森さん「これは回転すし総合管理システムです。これでお客さんの状態を管理しています」
──ファ!? 状態って何?
西森さん「詳しくは言えませんが、“どの時間帯にどのネタが何皿売れたか?” を日々記録し、そのデータベースより、売り上げ管理、ネタの指示から鮮度管理までをコンピューターが管理・指示してます。基本的にはそれを見てどのレーンにどういう皿を流すかを判断しています」
──まさかスシローが我々の状態を管理して寿司を送り込んでいたとは……! 成しうる者が為すべきを為す。まさにアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』的な近未来感!! ちなみに、指示は色などで出されているという。完全に色相やん。寿司のシビュラシステムやん。
テクノロジーと伝統の融合により作られた新たな世界……それがスシローの実態だった。
・シビュラがもたらした恩寵(おんちょう)
なお、これらのシステムはすべて手間を省くために導入されているわけだが、その分、サービスの向上とネタの味に注力することができる。例えば、生のまま店舗に届くはまちやたいは、スシローの店舗ごとで独自に皮引きを行っているそうだ。これは皮と身の間の旨味を新鮮な状態で味わってもらうためである。
ただ自動化するだけではなく、寿司のウマさに繋げるスシロー。その合理性は、恐るべき近未来の寿司運用制度と言えよう。これこそ寿司のシビュラが人類にもたらした恩寵。ウマさの秘密の一部を垣間見た。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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