ロケットニュース24

悶絶するウルトラ難度! 超リアルな「手のり武者」を作ってみた

2020年12月23日

薄~い金属板でリアルな乗り物や建造物を作れるテンヨーのメタリックナノパズル。とりわけミレニアム・ファルコンやAT-ATなどを展開しているスターウォーズシリーズは、映画のメカニカルな世界観とマッチして秀逸だ。

そんな中、織田信長、明智光秀、豊臣秀吉など日本を代表する武将の甲冑を作れる「鎧」シリーズがある。過去記事では佐藤記者がガンダムに挑戦しているが、鎧はもっと安価で作りやすそうである。

鎧なら年末年始のおこもりにばっちり……と書くつもりだったが、とんでもなかった。やっぱりこれは簡単に手を出すもんじゃない。どういうことかちょっと聞いていただきたい。


・メタリックナノパズル「鎧 武田信玄」(税抜1980円)

チョイスしたのは武田信玄。他の武将にはない、「諏訪法性兜(すわほっしょうのかぶと)」と呼ばれるファー部分がかっこいいと思ったからだ。本当は白いヤクの毛なのだとか。

素材はレーザーカットされた超薄いメタルシート。数回折り曲げるだけで枠から外れる。ニッパーでも切れるけれど、切り口がちょっと鋭くなるかもしれない。

シートは軟らかく、指で簡単に折り曲げられる。甲冑なので人体に合わせたカーブを作っていく。説明書は丁寧でわかりやすく、「なにをすべきか」で迷うことはほとんどない。


が、しかし。


とにかく小さい。たとえば頬当(ほおあて)の鼻の部分。大きさは2mmほどだろうか?


これを線に合わせて折り、穴に差し込み、ツメをねじって(または折って)固定する、という作業をしないとならない! この時点で無理ゲー!!

ツメを折る作業がとにかく難しい! 金属なのでごまかしがきかず、穴の位置にぴったりと合わないと差し込めない。カーブの角度を何度も何度も調整する。

さらにツメは1mmもないようなサイズなので、90度に折るのに苦戦する。テコの原理でスッと折れるときもあれば、上手く力がかからず、ツメ自体がつぶれてしまうこともある。

さらに! 金属疲労の原理で、何回か曲げたり伸ばしたりしていると、いとも簡単にパキッと折れてしまう。


はい、ゲームオーバー……(後に接着剤で修復しました)


その後も篭手(こて)を少~しずつ慎重に手の形に折り曲げたり……


何枚も何枚も金属板をつなげて草摺(くさずり)を作ったり……


胴に緒(お)をつけて丸めたり……と地道な作業が延々と続く。微調整を繰り返しながらなので、1つ1つの作業にかなりの時間がかかる。

ちなみにパーツの精度はかなり高く、細部まで凝っている。金色の部分は別パーツになっていて、ハメ込むことで文様を表現したりする。

悪戦苦闘の末、ようやく最終段階まできた。もしこれから作ろうという方がいたら、兜が1番難しいから、そこさえ乗り越えられれば最後までいけると思う。もっとも難しい作業を最初にもってきてユーザーの心を折る……テンヨーあなどれない。


・所要3日間

完成まで約3日! 接着剤が乾くのを待つ時間もあったけれど、とにかく集中力の限界がくるので1日ではできない。そして金属の突起で指先や爪がボロボロになる。けれど、けれど、仕上がりはめちゃくちゃかっこいい!

フェイクファーもばっちり。どこか神秘的で、人間離れした猛々しさを感じる。軍神として信仰を集めた諏訪明神を表しているのだそう。

金属の質感がリアリティを出していて、本物の甲冑のように見える。

兜は細かくて本当に苦労した。接着剤の助けがなければ完成できなかった。

こういったクラフト作品は、作っただけで満足して仕舞いこむものと、自分でも飾りたいものがあるが、これは圧倒的に後者。装飾品としてもかなりのクオリティだ。いつまでも眺めていられる。


・万人にはお勧めできない

いつもなら「楽しいからぜひ作ってみて」と結ぶところだが、お金をドブに捨てることになっても責任がもてず、万人にはお勧めできない。

その分、完成したときの喜びは大きいので、自らの限界に挑戦したい人に限りトライしてみて欲しい! 金属の曲げ伸ばしの力加減がわかってくるので、後半になるにつれ慣れて作りやすくなったことも申し添えておく。


参考リンク:株式会社テンヨー
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
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