近年、視聴率の低迷がニュースで取り上げられることが多くなったテレビ業界。見なくなった理由として、多くの人が挙げるのが「テレビが面白くなくなったから」というものだ。
しかし、これは1番の原因ではないと思う。少なくとも私(中澤)がテレビを見なくなった理由は、面白いとか面白くないとかいう話ではない。それ以上に大きいのは……
そんな暇がないということだ。慌ただしい朝、テレビをつけている余裕はない。ゴールデンタイムとか当たり前のように働いてるし、ヘトヘトになって帰ってきて、夕飯を食べたり風呂入ったり家事をしたりしていると結局自由時間は2時間残るかどうかだ。
その自由時間も別にYouTubeを見ているわけではなく、自分のやりたいことに少しずつ手をつけたりするくらいで終わる。また、帰って来る時間も特に決まってないので、毎週この時間は家で腰を落ち着けているという時間帯もない。
思い返せば、私が子供の頃、朝から晩まで働いていた父親もテレビをほとんど見ていなかった。面白いかどうか以前に、テレビを見るためにはまず第一に時間的な余裕が必要なのである。暇だったら多分私もテレビを見るだろう。
・社会の状況
しかし、今の社会でテレビを見るほど余裕のある生活ができている人はどれくらいいるのだろうか? 私の東京1人暮らしの知り合いはみんな似たような状況だし、結婚している友人も共働きでギリギリやりくりしている感じ。私より忙しい人ばかりである。
そんな社会の状況の中、面白いか面白くないかでテレビ局側のスケジュールに合わせて生きる人がどれくらいいるかは疑問だ。
・「面白くなくなった」は誰が言っているのか
「面白くなくなったから見ない」というのは、若い層の声という見方もあるかもしれない。しかし、アラサーアラフォーならまだしも、若者が「テレビが面白くなくなった」と言うだろうか? 昔のテレビを知らないのに。
そもそも、「テレビが面白くなくなった」って今のテレビを見ていないと出てこないセリフである。ガチでテレビを見ていない私からすれば、面白くなくなったかすら知らないのだから。
というわけで、視聴率低迷の原因として「面白くなくなったから」という理由には違和感を覚えずにいられない。少なくとも私は面白かったところで見ないだろう。生活に合わないシステム面の問題なのである。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.