CDバブルが弾けて久しい音楽業界。あなたは最近いつCDを買っただろうか? 私(中澤)はもうめっきり買ってない。サブスクが流行ってからはマジで1枚も買ってないと思う。
私自身、音楽業界に半分身を置いているのだが、実感も聞こえてくる話も景気の悪いものばかりだ。CDはもはや過去の遺物になりつつあると思う。そんな衰退の余波がDJ業界にも波及していた。なんと、CD用のDJ機器「CDJ」の最新機種でCD再生機能が無くなってしまったのである。
・ただのDJやん
2020年9月10日、DJ機材の会社であるAlphaTheta(アルファシータ)株式会社が新商品を発表した。9月下旬の発売が告知された新商品の名は「CDJ-3000」。DJ用CDプレイヤーとして今やどこでも見かけるほど定着したシリーズの最新機種である。しかし、記載されているスペックをよく見てみると……
再生可能メディアにCDが無い……!
なんてこった! CDが再生できないCDJなんてもはやただのDJだよ!! ちなみに、前機種である「CDJ-2000NXS2」のスペックの再生可能メディアにはハッキリと「Optical drive (CD, CD-R/RW, DVD±R/RW/R-DL)」と記載されている。
・CDJと共に歩んだアルファシータ
アルファシータ株式会社は、元はパイオニアの1部門だった。そこから世界初のDJ用CDプレーヤー「CDJ-50」や世界初のスクラッチプレイが可能なCDプレーヤー「CDJ-1000」の発売を経て、「Pioneer DJ」という名前の会社として独立。2020年1月1日付で社名をアルファシータ株式会社に変更して今に至る。
言わば、アルファシータの歴史はCDJの歴史! そんなCDJがただのDJになってしまうなんて、時代の流れとは言え、こんなにも悲しいことがあっていいのだろうか。
・念のため確認してみた
そこで念のため、アルファシータのサポートセンターに確認してみたところ、CD再生機能がないのは間違いないようである。確かにCDは再生できないが、CDJで始まったシリーズなので名前は据え置きでということになった模様。
どうやら、CDJの名前は今のところ受け継がれていくようだ。もちろん、CD再生機能がなくなっただけではなく、音に合わせて照明を自動で同期させる新機能「PRO DJ LINK LIGHTING」に対応しているなど、ちゃんと進化している。気になる方は「CDJ-3000」の商品ページで詳細をご確認いただけると幸いだ。
CDから生まれたCDJが進化の過程でCDを切り捨てた事実は非常に感慨深いものがある。ひょっとしたら10年後20年後の未来、「CDJって昔はCDが再生できたんだよ」みたいな会話がDJたちの間で交わされているかもしれない。
参照元:アルファシータ株式会社、CD-J3000、CDJ-2000NXS2、Pioneer DJの歴史
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.