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山にまったく興味はないが富士山の山岳模型を作ってみたら……誰もが山好きになるかもしれない癒しのキット「やまつみ」

2020年5月19日

突然だが、富士山はお好きだろうか? おそらく「いや、好きでも嫌いでもないけど……」という答えが大半だろう。筆者もそうだった。大きい山や形のいい山を見れば「綺麗だなぁ」とは思うが、それ以上の感慨は特にない。

そのため、「紙で作る山岳立体模型キット やまつみ」なる商品を見かけたときも、「へぇ……」という可もなく不可もない感想だった。ところが公式サイトを見てみると北は利尻山に羊蹄山、南は阿蘇山、桜島、屋久島、霊峰富士山に至っては複数パターン、全部で50種類以上というものすごいラインナップなのだ。

「山は山でしょ……」と正直思ったが、これはきっとファンのハートをガッチリ掴んでいるキットに違いない。というわけで、入門用の富士山を作ってみたら、癒し効果がすごかったのでご紹介したい。


・「やまつみ 手のり富士山」(税抜2600円)

数あるラインナップの中から、今回は難易度1(5段階中)の「手のり富士山」をやってみる。手頃な価格で完成サイズも小さく、初心者向けと見た。

基本の材料は紙なので、封筒サイズにコンパクトにキットが収まっている。台座はしっかりした木製だ。

シートは牛乳パックから作られた再生紙利用。真っ白ではなく、元の紙パックから出る風合いをあえて残してあるとのこと。地球に優しいリサイクル素材だ。

え、え、えぇっ!!


パーツはあらかじめ切られていて、ペロッと台紙から外れる。ゆえにクラフトの必須ツールであるカッターがいらない! しかもしかも、裏面はシール加工されているので、接着剤すらいらない。なんというユーザー想いなキット! 「簡単に作れる=工程が単純」なキットはいくらでもあるが、ここまで「作りやすさ」を考えたキットは見たことがない。

それでは貼りつけ作業開始。台座に接着するときは、補強のためボンドがあるとよいとのこと。

パーツを圧着するのに壁紙などを貼るローラーが推奨されていたが、なかったので「すりこぎ棒」を使う。まぁ、効果はだいたい同じだろう。

作業はパーツを台紙からはがし、1枚ずつ位置を合わせて重ねていくだけ。本当にこれだけ。悩むことが何もなく、単純作業なので没頭できる。基準穴に丸棒を立てて位置を揃えるのだが、棒は何度も差し替えて使うので接着しないこと。

徐々に立体になってきた。家庭用3Dプリンタのようにごく薄い層を重ねて立体を作るのだが、地形の場合は等高線で表現した図を見慣れているので、まったく違和感がない。考えたもんだなぁ。

各パーツにはパーツ番号と向きまで印刷してある親切設計。どこまで貼ったっけ? と迷うこともない。黙々と作業していると、なんか癒される……。自然物を作っている感覚が強いからかも。1枚1枚のパーツが人工的なデザインでなく、神が作り出した地形の妙というか……。

そうこうしているうちに2度目の基準棒の差し替えタイミングが来た。棒が安定する高さまで何枚か重ねた後、抜こうとしたところ……


ギャー!! 棒が折れた!!


筆者は決して不器用ではない、むしろ手先は器用な方だと自負しているのだが……どうしていつもこうなるんだ。丸棒は最初からちょっときついサイズだったので、厚紙と木の摩擦的なものかと思ったが、そうではなかった。

どうも厚紙の断面から少しずつ接着剤が出て、丸棒に貼りついた模様。抜けた方の丸棒の先端部もベタベタしていた。こまめに抜きながら作業するのが正解!

抜けない部分は削ってそのまま封印することにした。山を盤石にする守り神ということにしたい。

次からは完全に刺さず、先端部だけ使うことにしよう。ビビリなので。

だんだん山の形になってきたぞ。基準穴が使えないサイズになり、自分の感覚で貼りつける段階になったが、ガイド線も印刷されているので難しくはない。

台紙は残り1枚。最後のパーツ……え、これどうやってはがすの?

台紙をグーッと折り曲げて、最後から2つ目のパーツは何とか貼れた。

最後のパーツはあまりにも小さく、台紙から外すこともできなかったので断念。国土地理院地形図の等高線情報を基に作っているそうで、おそらくここだけは作りやすさではなく実際の山の形が重視されている。


・完成した姿

作業開始から45分ほど。ちょっとしたアクシデントはあったが、基本的には作業はシンプルだし、特にドラマチックな展開はなかった。しかし、出来上がった姿を見てみると……

なにこれ、美しい!

自然の造形美っていうの? 着色もリアル。

富士山ってもっと屹立している印象だったけど、実際は裾野がものすごく広い山なんだな。

目の前で山を眺めるって夢があるなぁ。見ていると気持ちがゆったりしてくる……。

手作りの作品って、思い入れはあるけれど作る過程が楽しいのであって、飾れるクオリティになるものは少ない。けれどこれは、インテリアとして完成度が高い。むしろ飾りたい!

「作る手間」や「時間」に対して、完成品の品質はかなりのもの。オリジナリティは出せないけど、誰でも美しい山が作れる。最後まで作りやすく、メーカーの「決して失敗させない」という気概が感じられた。


・次に作るなら……

今回は「手のり富士山」で、本当に手のひらに乗るくらいの小規模な作品だが、30cm四方ほどの大きなキットもある。もし次に買うならコレと思ったのは「六甲山(税抜1万1000円)」! 都市に近い山だけあって、市街地を含めた地形が作れるのだ!

他にも複数の山から成る山脈を作れるものや、湖を含んでいるものなどいろいろな商品がある。故郷の山を作ってもいいし、登山をする人なら「ここが○○ルートで……」などとわかるのではないだろうか。

「作業は単調ですが、最後のパーツを貼り付けた時は、実際の山登りで頂上に到着した時のような達成感があります」という公式サイトのコメントのとおり、癒しと満足感があった。登山、始めてみようかな?


参考リンク:やまつみ工房
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
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