ロケットニュース24

【実話】ディズニーマニアが「トイ・ストーリー4のプロデューサー」に言えなくて後悔しているたった1つの言葉

2019年7月11日

のっけから青臭いことを言うようで恐縮だが、もしかしたら “純粋な想い” より強いものはこの世にないのかもしれない。というのも、当サイトの “ディズニーマニア” こと田代大一朗の快進撃が止まらないからだ。

ディズニーにピュアピュアな想いを抱き続ける田代は、今年に入ってからだけでも「メリー・ポピンズ リターンズ」のエミリー・ブラント、「ダンボ」のティム・バートン監督、さらには「アラジン」のウィル・スミス……と、数々の大物に辿り着いている。そして今回はなんと『トイ・ストーリー4』のプロデューサーと出会ってしまった。

・Mr.ピュアピュア

ぶっちゃけ、当サイトの記事数の割り合いでいえばディズニーマニアの記事はそこまで多くない。だが、田代はプライベートで東京ディズニーリゾートに出かけると「田代さん!」と声をかけられるというし、なんならテレビ局からの問い合わせもある。これもひとえに田代の純粋さが呼びよせているものなのだろう。

さて、今回そのディズニーマニアのもとに舞い込んできたのは『トイ・ストーリー4』のプロデューサー「マーク・ニールセン」氏への単独インタビューである。一言でいえば『トイ・ストーリー4』の1番エラい人へのインタビューだから、ディズニーマニアも来るところまで来たという感じだ。

田代は英語も堪能なので、今回は私(P.K.サンジュン)の出番はない。……とも思ったが、やや暴走しがちな側面もあるディズニーマニア。世界のVIPに失礼があったらシャレにならない。万が一田代が暴走したら現行犯逮捕するつもりで一緒について行くことにした。

というわけで、やってきたのは都内の超1流ホテルの1室。私は英語ができないので終始ポカンとしていたが、プロデューサーと田代は最初から最後までキャッキャやっていた。以下でインタビューをご覧いただきたい。

・美しい映画の作り方

──まず最初に言わせてください。こんな素晴らしい映画を作ってくれて本当にありがとうございます! ストーリーもキャラクターたちも全部大好きです!!

「そう言ってくださり、こちらこそありがとうございます」

──それでは、質問させてください。最初の質問は、映画のビジュアルについてです。トイ・ストーリー4はどのシーンも本当に美しくて、圧倒されました。ただ見た目が美しいというわけではなく、様々な感情を想起させる美しさがこの映画にはあると感じたんですね。

「なるほど」

──例えばウッディたちが駆け回る遊園地のシーンを見ていると、高揚感や懐かしさが自然と込み上げてきました。確かにCG技術が発達してビジュアル的に表現できることも増えたと思います。

「そうですね」

──しかし、各シーンからにじみ出る美しさは、テクノロジーから来ているものだとは思わないんです。他のもっと何かこだわりから来ているというか……。そこでお伺いしたいのですが、どのようにしたらこのような美しい映画が作れるのでしょうか?

「非常に興味深い観点ですね。実はトイ・ストーリー4はテクノロジーの限界に挑戦した作品でもあるんですよ」

──テクノロジーの限界ですか?

「はい、私たちは今作で3つのことに挑戦しました。1つめは、人も含めてモノをカリカチュア化する(外見や内面の個性をビジュアル的に表現する)というもの。2つめは、ホコリや雨などの質感を限りなくリアルなものにするというもの。そして3つめは、劇場のような照明を演出するというものです」

──そんな挑戦があったとは。

「これら3つの要素、そしてそこに徹底的なリサーチに基づいて作られたストーリーの舞台と、魅力的なキャラクターが加わった結果、観る人たちに様々な感情をもたらす美しいシーンが出来上がったんだと思います」

・フォーキーに命が宿った瞬間

──そうだったんですね。では次の質問はちょっと堅苦しいのですが、”命” の定義についてお聞きしたいと思います。

「ハハハ! その質問ですね」

──命というのは、この映画において大きなテーマのひとつだと思いました。

「まさにその通りです」

──普通、一般的におもちゃは生きていないと思われています。なぜならおもちゃには鼓動を打つ心臓もなく、言葉も発さないからです。でも私はそれだけが “命” を作るものだとは思わないんです。

「そうですよね」

──そしてもしこの世界のすべてのものに命があると信じられたら、なんて素敵なんだろうとも思います。でも何が命なのか、何がモノに命を与えるのかまだ分からないんです。

「なるほど」

──だから質問させてください。マークさんは、何がモノに命を与えるとお考えでしょうか?

「いい質問ですね! これはずばりフォーキー(新キャラクター)についての質問ですね?」

──はい(笑)

「今作では、おもちゃにとって “生きる” とは何なのかをフォーキーを通して観客に問いかけます。フォーキーはもともとフォークで、自分は食べ物をとるために作られ、そして使い終われば、ゴミ箱に捨てられるものだと思い込んでいます」

──そうですよね。

「でもそこに、こんなことを言う1人の子どもが現れるのです。”あなたは捨てられて終わりの存在ではないんだよ” “あなたは誰かから愛されることもできるし、誰かに愛を与えることもできるんだよ” と言う子どもが」

──ボニー(ウッディやバズたちの持ち主)のことですね。

「はい。ボニーのおかげで、フォーキーは自分が生きている意味について考えるようになります。そしてボニーはフォーキーを愛し、フォーキーの足の裏に自分の名前を書き込みます」

──あっ、そっか!

「そうですね、その瞬間にフォーキーに命が宿ったといってもいいかもしれません」

──つまり2人の間の精神的なつながりが命を生み出したと?

「そうかもしれないですね。これまでの作品のなかで、そういった問いについて深く追究したことはありませんでした。そういう背景もあり、フォーキーは今作で最も輝いているキャラクターの一人だと私は思っています」

・衝撃のエンディングはこうして生まれた

──なるほど。では次の質問です。今作のエンディングはピクサー史上、もっとも衝撃的かつ考えさせられるエンディングだったのではないでしょうか?

「確かにそうかもしれませんね」

──そこでお聞きしたいのですが、どのようにしてあのエンディングを思いついたのでしょうか?

「面白い話なのですが、実はあのエンディングは製作開始当初は想定していなかったんですよ」

──ええ!

「トイ・ストーリー4は約5年かけて製作されたのですが、確か2年目のときでしたかね、 “このエンディングでいこう” と私たちは決めました」

──ということは、当初は他のエンディング案があったということなのですか?

「はい、そうなんです。あのエンディングが思いつくまでは、他に何通りものエンディング案がありました。でもあのエンディングのアイデアが浮上してからは、これ以上のエンディングは考えられないということになったんです」

──えっ、ちょっと待ってください! では、当初の映画のテーマは何だったのでしょうか?

「実は最初はウッディとボーのラブストーリーで、ロマンチックコメディを描くつもりでした。そのときはどのようなエンディングにするかは決めていませんでした」

──映画の出発点がウッディとボーのラブストーリーだったとは驚きです。

「ですので、今作のエンディングは製作を進めていくなかで生まれたものなんです」

・ピクサーで働くということ

──それでは最後の質問です。私は、ピクサーは魔法に満ちたスタジオだと思っています。

「ハハハ」

──なので、そこで働くとはどんな感じなのかとても気になっていまして。そこでマークさんに、ピクサーで働くとはどういうものなのかをお聞きしたいと思います。

「ピクサーは、働くうえで信じられないくらい素晴らしいところです。働いている人たちはみんな全力を尽くしていますし、自分たちがやっていることに強い情熱を持っています。そしてストーリーを作ることが大好きな人たちばかりです」

──ピクサーはストーリーを大事にしていますもんね。

「みんな子どものときから心のなかで光り輝く “魔法” を大事にしていて、個人作業スペースには、それぞれ子ども時代から大切にしているおもちゃが飾られています」

──ドキュメンタリー動画でオモチャいっぱいのオフィスを見たことがあるのですが、本当にそうだったんですね!

「まあ、成熟さに少し欠けたところもあるのですが、それがまたフレンドリーな空気を作っていまして(笑)」

──なるほど(笑)

「ピクサーの映画は、たくさんの人たちの協力や助け合いのもと作られています。誰か一人のビジョンにしたがって作られているというものではありません。ライター、監督、プロデューサー、アニメーターといった様々な人が自分のすべてを注ぎ込み、ひとつの作品が出来上がっていくのです」

──ちょっと待ってください。それってまさにトイ・ストーリーそのものじゃないですか!

「確かに言われてみれば、そうですね! ピクサーはリアルなトイストーリーだ!! ハハハ!」

──今の質問でピクサーの雰囲気がわかった気がします。本日は貴重なお時間をいただきありがとうございました!

「こちらこそありがとうございました。お話しできて楽しかったです」

・言えなかった言葉

ちなみにこの後、プロデューサーは「今週の〇曜日に初めて東京ディズニーリゾートに行くんだ!」と言っていたのだが、ディズニーマニアはこのとき何も言えなかったことを今でも後悔しているらしい。


「ほら “案内しましょうか?” って言ったらゴマスリっぽいじゃないですか……。でも本当に案内したかったな……」


とにもかくにも、トイ・ストーリー4は多くの人の様々な思いが結集した作品であるということは間違いない。トイ・ストーリー4は2019年7月12日公開される。あと、プロデューサー! 今度は田代がディズニーランドの案内するから、日本に来るときは連絡してね!!

参考リンク:トイ・ストーリー4公式サイト
執筆:P.K.サンジュン
Photo:(C)2019 Disney/Pixar. All Rights Res erved.RocketNews24.

▼予告編動画はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=QJSZjVY50aQ&feature=youtu.be

▼最後は3ショットも撮ってくれました。プロデューサー! 東京来るときは連絡してね!!

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