ロケットニュース24

お掃除泡スプレーがG対策として有効だとネット上で話題でも活用しないほうがいい理由

2019年7月1日

全国的に梅雨を迎え、日本全土が蒸し暑くなってきた。そろそろ本格的な夏が到来する。……ということは家の中でGが暴れまわる時期がやってきたということだ。おぞましい。

以前からネット上では、カビキラーやマジックリンなど、お掃除泡スプレーがG対策に有効だと話題だ。ご存知の方も多いだろう。もちろん筆者もこの方法で何回もGを倒してきた。泡スプレーが効果的過ぎて、最近では殺虫スプレーをほとんど活用しなくなったくらいだ。

ところがこの件に関して、お掃除泡スプレー各企業からの公式見解をあまり見かけない。なぜだろうか? 気になった筆者は企業の広報担当者に話を聞いてみた。

・お掃除泡スプレーの威力は本物

大前提として、なぜお掃除泡スプレーが有効なのかご説明したい。

まずGに対抗する有効な手段としてハエ叩きや殺虫スプレーがある。ハエ叩きは物理的な攻撃で仕留める最強の武器だが、いかんせん潰れゆくGを目の当たりにせねばならず、その感触も手に伝わる。勇者並みの勇気がないと活用不可能。勇者しか使えないエクスカリバーと例えたい。

一方、殺虫スプレーはお手軽で有効だが、瞬殺できないためにお互いが苦しむ。人間はヤツらが昇天するまで噴霧し続け、ヤツらは生き延びるがために必死で逃げ回る。虫特有の、死ぬ直前のガタガタした動きに気持ち悪さと罪悪感が人間側に芽生え、少しでも気を抜くとGは半死半生で物陰に逃げおおせてしまう。

最近では殺虫スプレーの有効成分に耐性を持った「耐性G」が出現し、噴霧しても楽々逃げおおせてしまう猛者もいる。憎たらしいことにGは進化し続けているのだ。

そこで話題なのが、お掃除泡スプレーだ。本来は台所や風呂場のお掃除用品として効果を発揮するこの製品、なんとG対策でも活用できる。使い方は簡単だ。Gが出現したら、狙いを定めて引き金を引くだけ。泡が直撃したら、Gは呼吸できなくなって死ぬのだ。

なぜGが昇天してしまうのか。筆者は専門家ではないので分かりかねるが、おおむね「泡スプレーに含まれる界面活性剤によってGが呼吸できなくなって死に至る」というのが一般的な見解。この真偽はともかく、現に何匹ものGが昇天している。お掃除泡スプレーの威力は本物ということだ。

・広報担当者の歯切れが悪いまっとうな理由

ところが気になることがある。これだけネット上で有効なG対策として紹介されているのに、販売元からの声がほとんど聞こえてこない。気になった筆者は広報担当者に電話で話を聞いた。勝手に「さぞ好意的な反応が聞けるのではないか?」と思っていたが、実際は違った。


――G対策として有効だとネット上で話題ですが、ご存じでしょうか?

「ネット上でそういった声が上がっていることは確認しております」

――G対策グッズよりお掃除泡スプレーの方が効果的とも言われているが、それについてはどう思われます?

「本製品は防虫用ではございませんので……掃除用品として活用いただきたいです」


なんとも歯切れが悪い。なぜなのか。


――G対策として活用する場合、使用上の注意点はありますか?

「そういった活用は推奨しておりません。たとえばリビングで使用された場合、じゅうたんに付着すると色を漂白してしまったり、木目に付着するとシミになったり、家財に影響を与えることがございます。必ず製品の裏面に記載されました、弊社が推奨する方法でご使用ください」

なんとも至極まっとうな理由だ。お掃除泡スプレーは本来、カビや油汚れを洗浄するもの。その液体はかなり強力なので、私たちの大切な家財に付着した場合、企業として責任が取れない。だからネット上でそんな声を確認しても、素直に喜べないのだ。

お掃除泡スプレーは界面活性剤を含むので「副産物」としてG対策に有効だが、できれば、賢明な読者はハエ叩きや殺虫スプレーを活用しよう。最近では冷蔵庫の下や食器棚の裏に隠れるGを “まとめてワンプッシュ” で退治する殺虫剤も登場した。こちらも死に身もだえするGと対峙しなければならないが、大切な衣服や家具が傷んでしまうよりマシである。

もうすぐGが暗躍する本格的な夏が到来する。救いを求めてネット検索した結果、お掃除泡スプレーの魅惑的な威力を目にすることもあるだろう。しかしリターンが大きければ大きいほど、リスクも大きくなる。どうしてもお掃除泡スプレーでGを倒す場合は、自己責任で引き金を引こう。

Report:いのうえゆきひろ
Photo:RocketNews24.

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