少子高齢化によって空前の売り手市場といわれている就職活動だが、ちょっと残念な研究結果が「産業能率大学 総合研究所」から発表された。今年の新入社員のうち4割に出世欲がなく、これは過去10年で最多だという。マジで!?
私(瀧川)はロケットニュース24で唯一の大学生ライターだが、全然出世欲はある。豊臣秀吉張りに出世したいし、平成が生んだ天下人として教科書に載りたいくらいだ。そんな私にぴったりな看板広告を見つけてしまった。
日本一出世する理容室だとっ!? 私の足は考えるより先に動き出していた。
・全く出世しそうにない私(Before)
施術を受ける前の私といえば、髪の毛はおでこを覆い、耳が隠れるほどに伸びて野暮ったい。目に活力はなく、ボーボーの前髪が顔に影を作っているため不健康そう。自分で書いていて悲しくなってくる。
そんな私がお邪魔したのは、新宿駅西口から歩くこと5分ほどにある「りよう室ZANGIRI」。創業41年目で、昨年には2号店がオープンしたという、 “出世” している理容室だ!
ちなみにここ、経営コンサルタントと理容師が「行列のできる理容室」を作り上げる軌跡を描いたビジネス書『小さくても勝てます』の舞台になった理容室でもある。八重洲ブックセンターや新宿ブックファーストのビジネス部門で1位に輝いたことのある評判の本で、理容室内で買うとサインもいただけるそうだ。
どうか私をデキる男にしてください、ZANGIRIさん!
・いざ、ZANGIRIへ
朝10時、開店と同時に入店。6、7名のスタッフさんに出迎えられ、店内を案内された。明るくて清潔な店内は、地下だというのに青空が広がっていて、開放的だ。
席に案内されると、スタッフの周太郎さんから髪形のイメージや散髪の頻度などを尋ねられた。他にも「理容師とは喋りたい派か」など、他の理容室にはないカウンセリングを受けた。なんとなく緊張がほぐれてきた気がするぞ!
お次は施術コースの選択なのだが……
出世にまつわるコースやら時間帯限定サービスなど、とんでもない数のメニューにびっくり。マッサージやスタイリングだけを選ぶこともできるし、平日の16時以降は職人の靴磨きサービスを受けることもできる。とことんサラリーマン思いの理容室だ!
とりあえず今回は、メンズレギュラーカット5000円(税抜)、極上シャンプー500円(税抜)、ピーリング500円(税抜)をお願いしてみた。
ちなみに余談だが、16時以降に受けられる靴磨きは、社長の大平さんと職人さんの運命的な出会いがきっかけなんだとか。路上で靴磨きをしていた職人さんが、その場所を退去することになってしまい途方に暮れていたところを、大平さんがスカウトしてお店で仕事をしてもらっているそうだ。出世する理容室に靴磨き職人。まさに来るべくして来た人。これは運命でしょ!
・手際の良さは、まるでピットイン
私を担当してくれるのは店長の大樹さん。一般企業に勤めながらサッカー選手を目指していたが、怪我をきっかけに脱サラ。専門学校に入りなおして資格を取り、今や店長を務めるすごい人。
理容師という職業に誇りを持ってお仕事をされている方で、無学な私に理容師豆知識をたくさん教えてくださった。例えば、元々理容師は外科医で、理容室の目印になるサインポールは赤が動脈、青が静脈、白が包帯を象徴しているそうだ。今でも人の肌に直接刃を当てられるのは国家資格を持つ理容師と医師だけらしい。勉強になるなぁ〜。
私が最も驚いたことは、スタッフさん達の手際の良さだ。大樹さんはもちろん、他のスタッフの方も以心伝心の連係プレーで仕事が早い早い。「お客さんにとって無駄な時間は極力作りたくない、F1のピットインみたいなイメージです」と大樹さん。
一通りカットが終わって微調整に入ると、毎月更新されるキャンペーンの紹介動画をiPadで見せていただいた。動画の随所に散りばめられたネタにケラケラ笑っていると、あっという間にカットは終了。本当に早いし、さらにお客さんを飽きさせない工夫までされている。
「理容はあくまで手段、お客様にパワーをつけてもらって出世していただくことが目的です」ということで、まだまだサービスは続くぞ!
・出世しすぎて王様気分
カットが終わるとシャンプーマッサージ、高級シャンプー。もう3回目のシャンプー、贅沢な頭皮だ。
生まれて初めてのピーリング(古い角質を落とす施術)は、顔面が消しカスだらけみたいになって気持ち悪い画になってしまったものの、綾瀬はるかクラスのもち肌を手に入れた。
本気で「出世していただきたい」という思いをもっているスタッフの方々と接していると、「仕事頑張ろう! 出世しよう!」という思いになる。出世するビジネスマンが多いというのは、単に身なりがキレイになるからではないのかもしれない。
・出世街道をまっしぐらに進みそうな私(After)
その後も “運気が上がる” 眉毛を書いてもらったり、人相鑑定をしてもらったりと止まらないサービスを受け、最後に髪形をセットしていただいた。注文はいたってシンプル、「出世しそうな髪形にしてください!」
右分けは保守的、左分けは革新的な印象を与えるというので、左に分けてもらった。先っちょにブラシがついたドライヤーで癖をつけ、ワックスでガチガチにしていく。自分でセットするのは難しそうだが、大樹さん手にかかればあっという間……。
ついに、「出世街道まっしぐらヘアー」の完成である。
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\ \ \ めちゃくちゃ出世しそう! / / /
BeforeとAfterをセットで見比べれば、違いは歴然。ピーリングで肌も明るくなっているし、眉毛も整えられて良い感じ!
選挙ポスターに使えそうだなと思ったので、選挙ポスターっぽいものを作ってみた。
・まとめ
プレシャンプー、カット、顔剃り、シャンプーマッサージ、サービスマッサージ、スタイリングがついて5000円(税抜)。他にも文字に起こしきれない細やかなサービスが行き届いてこの価格だ。1000円で散髪を済ませていた私が言うのもなんだが、非常に安いと思う。
私はオシャレにも運勢にも興味のない人間であったが、「日本一出世するビジネスマンが多い理容室」は伊達じゃないと感じた。身だしなみに気を遣うことは、他者からの印象だけでなく、自分自身の志にも影響を与えるのだろう。
父や祖父を見る限り、私が整髪を楽しめるのは残り40年。年に10回髪を切るとして、残り400回あまり。安く簡単に済ませてしまうか、こだわりを持って身だしなみを整えるか、考える良い機会になったと思う。
またお願いしますZANGIRIさん!
参考リンク:産業能率大学 総合研究所、りよう室ZANGIRI
Report:瀧川丈太朗
Photo:RocketNews24
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