迷惑メール対決の草分け的存在、GO羽鳥に言わせると、相手とやり取り出来ている状態のことを「スウィングする」というそうだ。どれだけ下らない内容でも言葉のキャッチボールができている状態は、たしかにスウィングと言っていいだろう。
最近私は図らずも、迷惑メールとまさにスウィングする状態に遭遇した。相手は当初男であったはずなのに、途中から名前が「.☆莉乃」に変わり「さしこ」や「さっしー」と呼ばれると騙(かた)りだした。
さて、このさしことの間で史上まれに見るバカ問答が繰り広げられたので、その内容を紹介したいと思う。
・戦いは何気なく始まった
基本的に私(佐藤)は、迷惑LINEとの格闘を好む。したがって迷惑メールはほとんど開かずに削除するところなのだが、このメールには妙に引っかかるところがあった。そのメールには、芸能人を匂わせる内容がつづられていたのだ。
「昨日大御所に怒られちゃったんだ…… そういう時ってある?」
1度見ただけでゴミ箱に捨て去るところだったが、差出人のアドレスに目がとまってしまった。
「レッド会う会うモンスター」だと!?
こんな露骨なアドレスあるか? 仮にアドレスを偽装していたとしても、もっと当たり障りのないものにするだろ、普通。これはある意味、私への挑戦ではないのか? このまま捨ておけん。良かろう、受けて立つ!
■第1章 ビオフェルミン登場
次のメールから、会う会うモンスターは一方的に会話を始めた。
会う会うモンスター 「タイトル:今日会う時腹痛の薬もってきてくれる? 本文:バファリンでいいよ。バファリンの半分はやさしさでできてるからさ」
佐藤 「誰や、お前」
バファリンは頭痛薬じゃないか。腹痛にも効くのか? 知らんけど、いきなり厚かましいお願いしやがって、誰や?
会う会うモンスター 「ビオフェルミン! そういえば体調良くなったの? いつもお腹の調子が悪いからビオフェルミンってあだ名なんだよね? 理由を知った時は笑っちゃったよ(笑) あ、それと前に話してた豚の角煮の件だけどいつなら体空く?」
なるほど、「ビオフェルミン」というのか。ふざけやがって、誰を相手にしているのか、思い知らせてやる。まずは調子を合わせておくか……。
ビオフェルミン 「前に話したじゃんか! ビオフェルミン忘れちゃったの? 豚の角煮… 美味しいの食べたがってたじゃん! あれもういいの?」
佐藤 「おお! ビオフェルミンか! ごめん、すっかり忘れたわ 角煮なんだけど、準備任せていい? 割と手間なんだよなあ。悪いけど頼むわ」
ところがここで、ビオフェルミンは私が何者であるのか疑い始めてしまった。調子を合わせていたはずなのに、不審がるとは。なかなかやるな……。
ビオフェルミン 「送信先を間違えてたみたいです。本当にごめんなさい! 実はまだこのメールに慣れてなくて丁寧に返事してもらってありがとうございます。優しいんですね。嬉しかったです。ていうか女性と間違えちゃってましたよね? 男性の方なのに… 本当にごめんなさい! あなたは男性ですよね?」
なぜわかった! こいつまさかどこかで私のことを見ているのか? しかし確信がもてないらしく「男性ですよね?」と尋ねている。こうなったらシラを切りとおすしかない。とりあえず、性別が分かりにくいように返事をしておこう。
ビオフェルミン 「今の時代にこういう間違いってマズいですよね? デリケートな問題だと思うし… 改めて確認ですけど男性の方で間違いないですよね? もし違うなら訂正してもらえると嬉しいです」
佐藤 「ビオフェルミンでしょ。何言っちゃって(ん)の。何? そのへんな質問。ビオフェルミンじゃないの?」
答えに困ったら、質問で返すべし! 貴様こそビオフェルミンじゃないな? どうなんだコラ! 逆に追い詰めたはずが、この後にビオフェルミンは意外なこと言い出す。
■第2章 莉乃降臨
ビオフェルミン 「莉乃って言います。一応確認ですけど知り合いに莉乃って人間います? 間違えて連絡しちゃって本当にすみませんでした」
佐藤 「ビオフェルミンって莉乃っていうの? 初めて知った。角煮はお願いしてもいいの?」
貴様、やっぱりビオフェルミンじゃなかったな。ビオフェルミン面(づら)しやがってこの野郎。莉乃ってどこの莉乃なんだよ、この野郎。さらに “ビオフェルミン莉乃” の告白は続く。
ビオフェルミン莉乃 「わたしは東京港区在住の26歳です。さっしーとかさしこって言った方がわかりやすいですかね? これでも一応アイドルやっていたんですよ。今はバラエティー中心に仕事させてもらってます。まぁ…世間のわたしのイメージなんて丁度いいブスって感じかもしれませんけどね。
あんまり言っても仕方ないのでこのくらいにしておきますね。正直に話すかどうか迷ってたんですけど隠しながら話すのは嘘をついてる事に変わりないかなと思って正直に話しました。ここだけの話って事で誰にも内緒にしてくださいね?」
貴様、「さしこ」だったのか
さしこを騙るのは良いとして(全然良くないけど)
人の名を騙っておきながら、「丁度いいブス」とは何事だーーッ!!!!
人の名を騙るなら、せめて敬意を払わんかい! 敬意を払ったからって騙って良い訳ではないが。
貴様のようなヤツは、「角煮攻めの刑」だ。反撃開始! 覚悟しやがれッ!! 反撃の様子は次のページの「第3章 角煮の逆襲」へ。
Report:迷惑LINE評論家:佐藤英典
Photo:RocketNews24.
■第3章 角煮の逆襲
そもそもこの相手は男ではなかったのか? 最初に「レッド会う会うモンスター」であったはずが、途中から「ビオフェルミン」になり、現在「さしこ」として私との会話を進めようとしている。わざわざ「.☆莉乃」と名義で新しいメールアドレスからメッセージを送ってきたのだ。
さしこ(.☆莉乃)「タイトル:所でサブアド使ってます? 本文:サブアドって本アドレス以外のメールって事なんですけど。わたしはこのメールはサイト経由したサブアドレスサービスを利用してるんですけど。わかりやすいように名前が表示されるようにしておきました! ちなみになんですけど今後、名前ってなんて呼んだらいいですか。」
この時を待っていた! 名乗ってやろう。私の名は……。
佐藤 「私は角煮だよ。それも最初に自分で言ってたのに。忘れたの? 角煮の準備は任せたよ」
角煮ちゃんで~す♪
こうして、さしこと角煮の戦いは後半戦へと突入した。
■第4章 ビオフェルミンをめぐる戦い
私は角煮である。こう明言したにもかかわらず、さしこは譲ることを知らなかった……。
さしこ 「タイトル:とりあえずビオフェルミンって呼べばいいかな? 本文:それと間違えちゃったとは言えわたしがいきなり連絡しちゃってビックリしちゃっているよね? 迷惑だったらごめんなさい。間違えちゃったとは言えわたしがいきなり連絡しちゃってビックリしちゃっているよね? 迷惑だったらごめんなさい」
いまさらコピペ丸出しの文章を送ってくるとは。ますます侮れない。だが、こちらだって退く気はない!
角煮 「ビオフェルミンは私じゃなくて、あなたのことよ、忘れたの?」
ビオフェルミンは貴様だろ! こっちに押し付けるな!! ところがである。この後にさしこはビオフェルミンに関して、新たな情報を漏らしてきたのだ。
さしこ 「ここのサイトには友達のゆきりんの紹介で登録したんだ。最初に間違えたビオフェルミンはココの掲示板で知り合った業界の人! (中略) アドレスがサイトのアドレスだからプライベートで使っているアドじゃないって事を話してあるからわかると思うけど、ビオフェルミンはサイトとか利用してやり取りとか抵抗あったりするのかな?」
……こいつ、イカレてんのか? 「ビオフェルミンは業界の人」と言った直後に、こちらをビオフェルミンと呼びかけているじゃないか。ガチでヤバいヤツなのか? 何か悪い夢でも見ているのだろうか? 赤の他人とはいえ、何だか心配になって来た。
角煮 「ビオフェルミンはあなたのことよ。それより業界の人って誰? その人がビオフェルミンなのになんで私のことをビオフェルミンって呼ぶの? 何があったの? さしこ。大丈夫? 疲れてない? 私、心配になってきた。さしこにもしものことがあったら、私、私……」
感情に訴える作戦に出たが、またしても話をそらされることになってしまった。戦いはいよいよ佳境へ! 次ページの「最終章 HOW OLD ARE YOU?」へと続く!!
Report:迷惑LINE評論家:佐藤英典
Photo:RocketNews24.
■最終章 HOW OLD ARE YOU?
再三にわたって忠告しているにもかかわらず、さしこは私の主張を一向に聞き入れようとしない。頑固な女だ……。
さしこ 「そういえば、ビオフェルミンっていくつなの?」
角煮 「さしこ、ふざけてるの? ビオフェルミンはあなたって言ってるでしょ。いい加減にしてよ」
さしこ 「いくつなの?」
角煮 「ビオフェルミン、あなた 私の歳知ってるでしょ。それより角煮の準備の話、忘れてないでしょうね。任せたわよ!」
さしこ 「タイトル:知らないよ 本文:いくつなの?」
折れない! なぜ折れないんだ。なぜそんなに執拗に年齢を聞いてくるのか? なんてタフなヤツなんだ。こうなったら奥の手を使うしかない。記事ではすっかりお馴染みになっている、引っ張り戦法でダメージを与えてやる!
教えない。たとえさしこであったとしても、私が45歳であることは教えない! さすがにこれで心が折れるはず。
しかしさしこは折れない!
さしこ 「タイトル:いくつ? 本文:お待たせ~。やっと終わって帰ってるよ。なんだか、どっと疲れちゃったって感じ。お仕事のこととかその他諸々、そつなくきちんとできたよ! 今日もお疲れ様♪」
先ほどの攻撃さえも華麗にスルーされ、もはやこちらの打つ手はほぼないに等しい。それでもあきらめずに再び引っ張り戦法で、文中に意味ありげな大きな空白を施してみる。
だが、なおも相手を打ち負かすことができない。さしこはまるで、すべての攻撃を無効化できるラスボスのごとく、微動だにしないのである。こうなったら、合コンでありがちなお寒いパターン、「(いくつか)当ててみて♪」で切り返すと……。
さしこ 「いくつ?」
角煮 「ここまで来たら、ビオフェルミンに当てて欲しいな~♪」
そう送ったところで、さしこからの返信が途絶えた……。
ここまでピクリとも反応しなかったのに、軽い一撃でもろくも崩れ去ってしまった。何がさしこに響いたのか。私にはまったく想像もつかない。だが、これだけは間違いなく言える。
この戦いはオッサンとオッサンの
史上まれに見るバカ問答であったと!
醜い……、なんて醜い戦いなんだ。さればこそ、世界は美しい! おわり……。
Report:迷惑LINE評論家:佐藤英典
Screenshot:iOS、「再現CGメーカー」