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暴食的なコスパで行列が絶えない四ツ谷のラーメン屋『龍馬』に並び疲れたときは…徒歩30秒のレトロでジャンキーな定食屋『BAMBI』に行け!

2019年6月16日

飲食店は人気になればなるほど行列を作る。何人もの人々が連なるように並び、数十分、ときには数時間をじっと待つ。「待つことに意味があるんだ」と豪語する人は、並ぶ行為そのものが好きなようだ。彼らの熱意に頭が下がる。

しかし時間的な制約で待てなかったり、行列が苦手だったりする人もいる。行列に並べない人は美味しい料理にありつけないのだろうか? そこで筆者はこんなことを考えた。じゃあ別の美味しいお店に行けばいいやん?

この記事の意図はとても単純だ。行列のできるお店に並べない人に、すぐ近くの同じような美味しいお店をご紹介する。ぜひ一読してほしい。


・暴食的なコスパで行列が絶えない四ツ谷のラーメン屋『龍馬』

JR四ッ谷駅から徒歩3分ほど、駅前の交差点のすぐ近くに行列のできるラーメン屋がある。赤い外観が目印の「横浜らーめん 龍馬」だ。

2018年11月にオープンし、いまや大繁盛。月に数回、四ッ谷を訪れる筆者は、だんだん人であふれていく龍馬の様子を肌で感じていた。

ネットリサーチをすると一部のラーメン通にはバッチリ知られているようだ。一般にはこれから本格的に知名度が上がるニューカマーな存在らしい。なるほど、これは行かなければならない。

さっそくその人気を探るべくお店を訪れると……平日の12時過ぎにして長蛇の行列。

さらに近寄ると、暴食的な看板を発見した。

ラーメン1杯600円で、さらにご飯が食べ放題……だと?

恐るべきコスパだ。いつもは行列を避ける筆者も、この日ばかりは食券機に飛びついてしまった。

メニューはかなり限られている。「らーめん 並」が600円で、「大」が700円。筆者は迷わず「チャーシューメン 並」850円を注文。

「いらっしゃいませ~!」と元気に接客する店員さんに食券を手渡す。

行列の最後尾について十数分後、筆者の番がやってきた。カウンターに胸を張って立つ。

このお店は「麺」「味」「油」の3つを好みに合わせて選べるシステムだ。

筆者は「麺」を硬め、「味」「油」を普通にして注文。そして出てきたのが……

シンプルな見た目なのに、なぜか迫力のある横浜家系ラーメン。

豚骨醤油で茶色に輝くどろっとしたスープ。そこに浮かぶ4枚の肉厚チャーシュー。横浜家系特有のほうれん草がこちらに挨拶し、大きなのり3枚が筆者に手を振る。

「これが誘惑というやつなのか」。気がつけば箸を持ち、猛烈に麺をすすった。

箸を持ち上げると太麺が顔をのぞかせ、もちもちとした食感が口の中で踊る。茶色に輝くスープは期待通り豚骨の味わいを演出。でもなぜか甘みがある。その謎が知りたくて、またレンゲですくって飲んでしまう。

スープに照ったチャーシューは柔らかくて、けれどもしっかり歯ごたえを残している。あぁ、ご飯がほしい。

こってりした口の中にご飯を放り込むと……なんてこった……白米が野菜に感じる。さっぱりするぜ。

スープの染みたほうれん草とのりにニッコリして、あっという間に完食。これは行列ができるわ。そりゃ並ぶよ。

暴食的なコスパに心底感心して、店を出て「また来たいな」と素直に思った。しかし……。

もう13時前だというのに、まだ並んでいる。筆者の印象だと、だいたい14時からようやく空き始めるイメージだ。誰もが食べたい昼時や夕時は基本待たなければならない。

さて、記事の冒頭の問いに戻りたい。この行列に加われない人は、いったいどうすればいいのか?

別のお店に案内するだけじゃダメだ。龍馬と同じくらい満腹になって、満足感があって、また通いたいというジャンキーさ(中毒性)があって、コスパも最高クラスのお店じゃないと納得できない。

そんなお店がこのすぐ近くにあるわけなんて……まさかあるんです。


・『龍馬』から徒歩30秒のレトロでジャンキーな定食屋『BAMBI』

龍馬があるのは「しんみち通り」の入り口の真横。

その入り口からまっすぐ進んで30秒。

昭和感漂うレトロな赤い看板が見える。

1970年から続く老舗洋食店「BAMBI」だ(以下、バンビ)。

壁に飾られたレトロなメニュー表が道行く人を誘惑する。

「ゴールデンMix」や「ドカン鉄板焼」といった料理名は、見た者をレトロな気分へタイムスリップさせる。

このお店も龍馬と同じで食券制。800円台のメニューが目立つ。うん、コスパよし。さらに定食にはご飯がつくので、「ちょっと足りないな~」事件は絶対に起きない。

バンビは常に6~8割の席が埋まっているが、回転が早いので行列はあまりできないイメージだ。うん、よしよし。

意気揚々と食券を買い、店員さんに手渡す。席についてテーブルに目をやると……

銀の水差し!

さらに時代を感じさせるナイフとフォークも。昭和感を演出するのではなく、本当に昭和な内観が客の期待感を高める。

そんなことを思っていると、早々に料理が出てきた。筆者が注文した「和風ハンバーグビーフストロガノフ(980円)」だ。

んん~~~、うまそうだ。しかもでっかい。ハンバーグの上に乗る豚肉が「龍馬に負けへんやろ?」と誇らしげに主張する。

「おみそれしました」とつぶやきながらハンバーグに手をつけると、しっかり焼いた感覚が伝わる。

「肉汁じゅわ~」で「しっとりやわらか」が主流になった平成・令和時代を逆行する、しっかり焼き上げたこってりハンバーグが私たちに問いかける。

「本当はこんなのが食いたいんだろ?」

大きめに刻まれた玉ねぎが私たちに問いかける。

「しっかり噛め、それが味わうことだ」

アツアツの料理にはふはふしながら、なおも食欲は止まらない。少し硬めの豚肉は、舌の上で濃いソースとダンスをする。

皿に盛られた山盛りのご飯は食べてもなかなか減らない。最近のヘルシー志向にケンカを売っているようだ。

あらがえない。常連になることをあらがえない。これぞジャンキー。気がつけば足を運ぶジャンキーだ。

ハンバーグのトッピングにはマカロニともやしがついてくる。なかなか質素な付き添いに感じるが、決してなめちゃいけない。

ケチャップでコーティングされたマカロニ。しかしどうしたって和風ソースとからまるので、これだけで白米が食えてしまう。

ソースで茶色く染まったもやしは、お店に別れを告げるシメだ。名残惜しいがこれでおしまい。

サラリーマンを中心とする客はみんな黙々と食べている。店内を流れる昭和の歌謡曲が、ナイフとフォークのカチャカチャする音に交じって聞こえてくる。心地いい。ただ食と向き合うこの空間が気持ちいい。

客を満足させるお店は、どんな時代も生き残る。バンビがその1つのようだ。

店員さんに「ごちそうさまでした!」と告げ、店を後にした。振り返ってバンビを見ると、昭和と平成を越えた誇らしい看板が筆者を見送っていた。

もし暴食的なコスパを誇るラーメン屋「龍馬」の行列に待てなくなったら、徒歩30秒のレトロでジャンキーな洋食店「BAMBI」に行こう。

美味しい料理を食べるのに、わざわざ行列に並ぶ必要はない。けれども行列に並んだっていい。どっちでもいいのだ。どっちでも必ず美味しい料理が私たちを待っている。

・今回紹介したお店の情報

店名 横浜らーめん 龍馬
住所 東京都新宿区四谷1-4
時間 11時半~24時
休日 日曜日

店名 BAMBI 四ッ谷店
住所 東京都新宿区四谷1-3
時間 10時~22時
休日 無休

Report:いのうえゆきひろ
Photo:RocketNews24.

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