飲食業における「専門店」は、その味を極めているからこそ、専門店と呼ばれるのである。ジャンルを問わず、専門店でしか味わうことができないものというのは実際に存在している。だが! 限度がある。ラーメン屋が寿司を出しても良いと思うけど、専門外であることを自覚しておかなければならないだろう。
そのセオリーを覆すような商品が、クリスピークリームドーナツ(KKD)に登場した。ドーナツ “グラタン” とドーナツ “キッシュ” だ。門外であることをものともせず、むしろ意地でもドーナツを食わせる気でいやがる……。実際に食べてみたら、意地の強さがハンパなかった!
・すべてドーナツ
日本においてドーナツ専門店といえば、ミスタードーナツとKKDが2大巨頭といって良いだろう。ミスドはドーナツ商品だけでなく、パイやトースト、マフィン。飲茶やパスタ、店舗によってはアイスクリームも取り扱っている。比較的幅広い商品ラインナップだ。
一方のKKDは、ドーナツ一辺倒。商品によって形状の違いはあってもすべてドーナツだ。新商品のグラタンとキッシュもドーナツナシという訳にはいかなかったらしい。ハンバーガ-だってドーナツだ。
・ドーナツバーガー
まずは小手調べにドーナツバーガー ベーコン & チーズ(単品280円)を食べてみた。
チーズを挟んだドーナツの上にはベーコンが並んでいる。べーコンのパンチが効いた1品かと思ったら、これがもう、猛烈に甘い! スピードワゴンの井戸田さんが「あまーい!」というのを忘れるくらい甘い。
ベーコンの塩気で中和されるかと思ったら、甘さが強すぎる。RPGでラスボスが状態異常を無効化するかのごとく、ベーコンなどあってないようなものだ。まさかここまで甘いとは……。
・ドーナツキッシュ
続いてドーナツキッシュ(420円)。実物は写真で見るよりもずっとワイルドだった……。
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バーガーはベーコンの塩気を無効化するほど強力な甘さだったのに、こちらは脇役に徹している。まるで、超有名なハリウッドスターが知り合いの映画にカメオ出演しているがごとく、味の存在感を消している。
気になったのは、アスパラとドーナツの相性。ふんわりしたドーナツと、ほどよい歯触りのアスパラは同居させてはいけない気も……私(佐藤)が食べ慣れていないだけなのかもだが……。
・ドーナツグラタン
そして最後がドーナツグラタン(420円)。私は注文時に気付いていなかったのだが、これはただのグラタンではなく、欧風ビーフシチューのドーナツグラタンとのこと。したがって、ドーナツの下にはシチューがいる。素人としてはシチューグラタンじゃあ、あかんのか? もうドーナツ抜いたらいいのにと思ってしまう。
しかしながら、やはりこれはKKDの意地なのかもしれない。「意地でもドーナツ食わせるぞ!」と社内会議で決定でもしたのだろうか。
実際に食べてみると、ドーナツにはチーズがたっぷり。シチューの旨味を含んで、これはなかなかイケる。
さすがにチーズとシチューという、味の濃い2つの食材に挟まれているので、ドーナツもいくぶん弱気だ。ベーコンには勝てても、ビーフシチューに勝つほどの勢いはなかった模様。
ドーナツが柔らかすぎた気もしたので、バケットでもよかったかもしれない。とはいえ、とことんドーナツにこだわったKKDの心意気は伝わってきた。未知のドーナツを体験したい人は一度挑戦して欲しい。
なお、この商品は、東京の有楽町イトシア店と渋谷シネタワー店のみの販売(グラタン・キッシュは11:00~23:00の販売)となっている。もしかしたら、いずれ全国の店舗で販売されるのかも。
・今回訪問した店舗の情報
店名 クリスピークリームドーナツ 渋谷シネタワー店
住所 東京都渋谷区道玄坂2-6-17 渋東シネタワー1F
営業時間 8:00〜22:30
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24