およそ一国の首都にある玄関とは思えないほどシンプルな造りのトリブバン国際空港から、タクシーに乗り上下にピョンピョン跳ねながら走ること20分。観光客が溢れるカトマンズのタメル地区には、ホームシックの日本人だけでなく欧米人にも人気な日本料理店が数軒ある。
海外にある日本料理店というだけで愉快な匂いがプンプンしてくるわけだが、カトマンズのお店もやはり味わい深かった。私はメニューに「犬頭ちゃん」なる料理を発見し興奮を抑えることができなかった!
・犬頭ちゃんを発見!
犬頭ちゃんとは一体どんな食べ物なんだろう。もしかしてマジで犬の頭? もしそうだとしたらおそらくとんでもない画になる。こうやってどこかに発表することもなくデータは永遠に私のカメラの中に眠り続けることになるだろう。
ちゃん付けすることでポップな印象になるとでも思っているのだろうか? メニューに載っている写真も小さいうえ、どこか霞んでいる。なんとなく肉の上に小エビのかき揚げがドカンと乗っているようにも見えるが、さっぱりなんだか分からない。
裸足でペタペタと店内を歩き回るネパール人店員(青年)に「犬頭ちゃんとは何ですか?」と聞いてみると、こんなようなことを言っていた。
「これは豚の……」
どうやら犬ではないようだが、その自信なさげな語尾は一体何なんだ……。
・他のメニューについても聞いてみる
犬頭ちゃんのインパクトを越えることはなかなかないが、他のメニューもツッコミどころ満載。以下に当店のメニューの一部を紹介しよう。
鶏の唐揚げ → トーリカラージュ
担々麺 → タンタンマンラーメン
カツ丼 → カツボン
牛丼 → ギュンドン
タンタンマンラーメンは非常に惜しい。ギュンドンと読めるなら、カツボンもあと一歩といったところだ。しかしトーリカラージュに至ってはなんだかフランス語みたいになってしまっている。
ちょっと意地悪かもしれないが、再び裸足のネパール人を呼び寄せ、カツボンを指さし「これは何ですか?」と聞いてみた。すると彼はこう答えた。
「これはカツボンです」
これ以上なく簡潔で分かりやすい解説である。しかしダントツで気になるのはやっぱり犬頭ちゃん。他のメニューとは一線を画す異彩の放ち様である。
・ついに犬頭ちゃんをオーダーする!
そしてついに犬頭ちゃんをオーダーする時が……。もちろん裸足の兄ちゃんを呼び寄せて「これは何ですか?」と聞くと、「これはユカドンです」とネパール人店員。よく見てみるとメニューの下にローマ字で「Yuka Don」と表記してある!
とはいえ「ユカドン」といわれたところでそんな料理、おそらく日本には存在しないはず。やけに長い調理時間(三十分は待ったぞ)に期待を膨らませているとお盆に乗せた「犬頭ちゃん」が運ばれてきた!
「これがユカドンです」
炒めた豚肉、白菜、ニンジンをあんかけにして丼ぶりにしている。これは紛れもなく中華丼だ。チュウカドンがなまってユカドンになったというわけだ。解決した! これですっきりした気持ちで日本に帰れるぞと思った矢先、私は重要なことに気が付いた。
中華丼だということは分かったところで、「犬頭ちゃん」のナゾは1つも解けていないのであった。なんなんだよ犬頭ちゃんって……。
Report : 國友公司
Photo : Rocketnews24.
▼言葉の響きが東南アジアっぽい
▼トーリカラージュ
▼タンタンマンラーメン
▼これが犬頭ちゃん
▼焼きそばを箸で食べるネパール人
▼手でカレーを食べるネパール人