裏バイトの代表格として名高い治験アルバイト。学生時代、カップラーメンを食べるお金にも困っていた筆者は、懸念される副作用(事前実験でサルが死んだらしい)にも臆することなく14泊15日というヘビーな案件に参加した。
しかし怪しいバイトだけあって集まってきたのはやはり変わった人間ばかり。某大学病院の研究施設の中にある無機質な病棟に並べられた9つのベッド。大量のゲームと漫画が備えられた娯楽室もある。今回はそこで出会った個性豊かな人間たちを紹介しよう!
・夢はデッかくパティシエ
ちゃっかり「開業マニュアル」的な本も持っていて、誰がどう見てもパティシエ志望。100円ショップで売っているようなレシピ本を読んでなにか意味はあるのか?とも思ったが、身体を張ってゲットした30万円を資本金に、今ごろスイーツ業界で一旗揚げていることだろう。
・看護婦さん、ファミ通買ってきて!
「すみませんが今週のファミ通を買ってきてもらえませんか?」
入院中は勝手に外出ができないため、ナースにおつかいを頼んでいた! しかも読み終わったファミ通は娯楽室に寄付するということで病院の経費扱いにさせていた。余談ではあるが気になってその男性の名前をググってみると、地元のカラオケ大会で子どもや老人たちを差し置いて優勝していた……。
・空調を支配する病的に寒がりな男
ほかの8人が汗をダラダラ流しているにもかかわらず、1人毛布にくるまって暖房の温度をピコピコと操作しているのである。しまいにはリモコンを布団の中に隠し持ち、看護婦さんにこっぴどく叱られていた。
・治験なのに注射が怖い
じつをいうと最後の注射がダメな男とは筆者のことである。
つまりは筆者を含め、治験に参加する人間にまともな人間などほとんどいないということ。ファミ通男が娯楽室にあったゲーム「バイオハザード」を全クリして看護婦さんに拍手されたり、パティシエ志望が思い出したように「スラムダンク」を読み始めて1人涙を流したりと治験の現場はまさに人間ドラマの宝庫。
時間に余裕があるという方はぜひとも事前の健康診断に参加してほしい。ただ、楽して稼ぎたいという怠け者はごまんといるので倍率はビックリするくらい高いぞ!