動物の遺棄は犯罪だ。いや、犯罪云々にかかわらず、動物たちがどんな気持ちで飼い主の後ろ姿を見送り、その後どうなるかを想像すれば捨てることなど出来ないはず。人として……だ。
想像したことがないなら、この動画を見てほしい。ある女性が、複数の飼い犬を捨てる瞬間が映されている。
・犬を捨てようとする女性
米テキサスで撮影されたという動画『Abandoning Dogs』には、車から複数の犬を連れ出そうとする女性の姿が映っている。近隣に住むイディス・メレンデスさんは、その模様を撮影しながら「動物愛護センターが近くにある。そこでは無料で犬を引き取ってもらえるわ」と声をかける。
この場所は、よく犬を捨てていく人が多いという。今回もそのことに気付いたメレンデスさんが、せめて動物愛護センターに連れて行くように女性を説得しようとしているのだ。対する女性はなにやら返事をするも、思い直した様子を見せることなくそのまま犬を車から降ろしていく。
・撮影者「犬たちは怖がっている」
一方の犬たちは女性の側から離れようとしない。メレンデスさんは「ほら見て、犬たちは怖がっているのよ。どこにも行きたくないの。自分たちでどうやって食べていけばいいのか分からないのよ」と話しかけ続けるが、女性は犬たちを降ろすと車を発進。去り際には、後部座席に座った誰かがカメラに向かって中指を立てている。
戸惑ったように車を見送った犬たちは、仲間がいるからか、状況が分かっていないからか、尻尾を振りながら辺りをうろついている。車の側から動かなかった姿を見ると、不安を抱いていることは否定できないはずだ。そこで動画は終わるが、これから犬たちはどうすればいいのだろう……。
・愛護センターに飼い主が出現
本件を報じた地元メディア『My San Antonio』によると、この後、メレンデスさんの通報を受けた地元の動物愛護センターが犬たちを保護したとのこと。
当初、愛護センターが保護できたのは3匹のみで、残り1匹が見つけられなかった。しかし動画がネット上に公開され、話題になってから数時間後、動画に映っていた女性がセンターに現れ、犬たちの飼い主であると名乗り出てきたそうだ。
そして翌日には、彼女が残り1匹の犬を見つけて愛護センターまで連れてきたと報じられている。その後、動画に映っていなかっただけで、5匹目の犬も遺棄されていたことが判明。この犬も愛護センターによって発見・保護された。
・怒れるネット民たち
時間がかかったとは言え、飼い主である女性が愛護センターに現れたのは、メレンデスさんの説得を聞いていたからかもしれない。とは言え、動物の遺棄は絶対にしてはならないし、犬たちを愛護センターから家に連れ帰った訳でもないため、ネット上では女性に対して「人間が嫌になった」「憎しみすら覚える」「最悪な奴らだ」といった非難の声が数多く寄せられている。
メディア『KSAT』によると、テキサス州では動物の遺棄は軽犯罪の最も重い罪「クラスA」にあたり、4000ドル以下の罰金、1年以下の懲役に処されることになるそうだ。
参照元:KSAT、Mail Online、My San Antonio[1][2]、Shouse California Low Group、YouTube / Viral Hog(英語)
執筆:小千谷サチ