ロケットニュース24

【感動巨編】ネットで彼女募集したら「彼女ができた」でござる!

2018年3月26日

もうすぐ4月。春は目の前だ。だが、私(中澤)の春は遠い。ロケットニュース24で以前、彼女募集をした私。あれから2年が経ったがいまだに独り身である。寒いよお……。

本当にもう一生彼女できないんじゃないだろうか? ほぼ諦めかけていたその時、届いた1通の問い合わせメール。そのメールにはこう書かれていた。「もし可能であれば彼女募集に応募したいのですが」と!

・募集条件

彼女募集の記事が掲載されたのは2016年4月26日。今は2018年だからほぼ2年前である。もうそんなに経ったかあ……。思わず遠い目になってしまうが、ここで振り返る意味でも、当時記事で掲載された応募条件を見てみよう。

・対象年齢25~36才(年齢はあんまり関係ないですが)
・お互いの趣味嗜好を許容できる
・僕に過度な期待をしていない
・僕がいなくても一人で生きていける
・精神的に不安定すぎない
・ある程度話さなくても気まずくない
・多少のエキセントリックさを持っている

──私も今年の春で36才。本当すぐだね2年なんて。しかし、2年前の自分が書いた応募条件は、すでに黒歴史と化しているから不思議だ。「多少のエキセントリックさ」って何だよ

思えば、髪の束の手紙が届いたり、カナダ美女が応募してきたり、色んな出会いがあった。にもかかわらずモノにできなかった自分がマジで不甲斐ない。

特にカナダ美女に「彼氏がいる」とカミングアウトされた時はガチでショックだった。そんな傷が癒えてなかったこともあり、前述の応募メールには以下の内容を返信。

「ご応募ありがとうございます! ただ、会うだけ会って続かないみたいなのが連続して、多少まいってる部分もありまして……こちらとしては、ガチで付き合える人と会いたいのですが、その辺りを真剣に考えていただけるのでしょうか?」

──別れるために出会うなら会わない方がマシである。また、その度に傷つくことにも耐えられない。心がすり減っていたこともあり、結構直接的に「冷やかしだったら帰ってくれ」という意味を込めた。

ちょっとネタでメールを送ってみた可能性もある。問い合わせのメールが「中澤様」など事務的な口調なので、ここで終わりかもしれない

しかし、予想に反してこのメールには長文が返ってきた。しかも2通。そして、ここから応募者と私との怒涛のメールバトルが幕を開けることになる。続きは次ページで!

執筆・イラスト:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

・【感動巨編】ネットで彼女募集したら「彼女ができた」でござる!(その2)

仮に応募者の名前を子安辺美々(こやすべ みみ)さんと呼ぶ。ガチで付き合う気があるのかを聞いた私のメールに、美々さんの返信は以下の通りだった。

「ご返信頂きまして、ありがとうございます。(中略)私は冷やかしのつもりでご連絡はしてないです。お互い、話だったり、価値観が合う、または擦り合わせられるようならば、お付き合いをしてみたいと考えております」

「追伸 重ね重ね、失礼致します。まずはLINEで暫くお話して、それからお会いするのでも構いませんので、連絡を取り合ってみませんか?

お互い未知数過ぎるところもありますし、ひょっとしたら中澤様の生理的に受けつけない部分と見事に一致し、中澤様からお断りされる可能性もあります。(中略)お断りされてもおかしくない条件が私には揃っているかと存じます。上記のような人間でも(以下省略)」

──なんか長いのキターーーーーーーー! というわけで、速攻でLINEアカウントのアドレスを返信した。隠し切れない圧倒的なエキセントリックさを感じたからである。あ、今気づいたけど、応募条件の「多少のエキセントリックさ」ってこれかもしれない。

しばらくして、美々さんのLINEアカウントらしきものがLINEに表示された。だが、これははたして本当に美々さんのアカウントなのだろうか? なぜそう思ったかと言うと、アカウント名のアルファベットの並びが謎すぎるのである。適当? 少なくとも英語ではなさそうだ。

突然ネットワークビジネスの勧誘が始まったり、商品を勧められたらどうしよう? そんな不安感を感じていると、そのアカウントからLINEが!

「初めまして、彼女募集の件でご連絡致しました、子安辺です」

──どうやら、ちゃんと美々さんのようだ。ネットで出会った人とのLINEでは常に上記のような不安がつきまとう。逆に言うと、相手も似たような不安を感じているかもしれない。とりあえず失礼のないように敬語で挨拶を返し、お互い手探りの会話が始まった

色々聞いてみたところ、美々さんは現在バイトで生活しながら、簿記の資格試験の勉強をしている20代後半の女性だという。アカウント名はドイツ語で好きなものを並べたらそうなったとのことだった。なぜドイツ語

これまでの情報でお察しの方もいるかもしれないが、美々さんは結構変な人だ。敬語で当たり障りのない話をしていたかと思ったら、いきなり辛辣なことを言ってきたりする。マジでどんな人なのか想像がつかない。

とは言え、冷やかしや何かしらの悪意での応募ではないことは十分すぎるくらい伝わってきた。となれば、これ以上の情報を得るためには会ってみるしかないだろう。美々さんもそう思っていたのか、会う日はすぐに決まった。10日後の2018年3月21日である。

これまでの彼女募集を思い返すと、「付き合いたい!」という趣旨の応募というよりは、「会ってみて付き合うか考える」という出会いを求めている応募者が多かった。

すなわち、私が好きになればそれで付き合えるというわけではない。むしろ、私も試されていて、最終的な選択権は相手にある。実際フラれまくってるわけだし。彼女募集は出会いで0からのスタートに過ぎないのだ。

そう考えると、3月21日のデートが楽しみである反面、怖い。そもそもネットとデータでしかお互いを知らない2人。その関係は雲をつかむかのように不確かで、容易に消え去ってしまうことはこれまでの経験が物語っている。

どうやったら、この繋がりをリアルな実感のあるものに変えることができるのだろうか? と、そんなことを考えている間も美々さんとのLINEはずっと途切れず3日目に突入。普段はまめな連絡が苦手な私が、信じられないことにこの3日で1000通くらいやり取りをしている

中でも意外とテンションが上がったのは、「行ってらっしゃい」「おかえりなさい」など家で使うような挨拶が送られてきた時。いつぶりだろう? こんな言葉をかけられたのは……。

そんなこんなで1週間、約束の3月21日がやって来た。ついに美々さんに会える! 一体どんな人なんだ!? だがしかし、神は残酷だった。待ちに待ったこの日、私は衝撃的な光景に凍りつくことになるのである。誰もが震えあがる衝撃の展開は次ページすぐ!

執筆・イラスト:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

・【感動巨編】ネットで彼女募集したら「彼女ができた」でござる!(その3)

3月21日。美々さんが神奈川住まいなので、みなとみらいで映画を見る約束をしていた。だが、よく思い出して欲しい。2018年3月21日、「春分の日」にあった出来事を。この日、震えあがった人も多いはずだ。

そう、都内近郊で雪が降ったのである。しかも、チラホラなんてもんじゃなかった。空を埋め尽くす雪・雪・雪。思わず、1月の歴史的寒波による大雪がフラッシュバックするレベルだ。

積もったら最悪電車が止まって帰れなくなる可能性も。美々さんによると、神奈川も吹雪いているとのことで、「本日は延期で……」的なオーラが流れ出す。オーマイゴッド……。

美々さんは、何年か前の大雪で電車に缶詰になったことがあるらしく、こちらが同じ状況に陥ることを心配しているようだ。しかし、延期になると次の予定は見えない。

何コレ、超会いたい。むしろ、今すぐ急激に会いたい。今日会えないのが猛烈に切ないんですが何コレ……と、そこで気づいた。気づいてしまった。


あ、これが好きってことか


──まだ、顔も見たことがないあなた。僕、あなたのことが好きみたいです。


この気持ちは会って直接伝えたい。ということで、延期にしない方向でゴリ押ししてみたところ……

「多くの路線が乗り入れている横浜だったら、何か止まっても帰る方法はあるかも」ということで、渋々承諾する美々さん。よっしゃー

電車に飛び乗り横浜に向かう。じりじり進む電車。ひと駅ひと駅がじれったい。電車の中でも横浜に向かって走りたいレベルだ。どこでもドア超欲しいぃぃぃ~~~~~!

着いた頃には雪もやんでいた。さっそく、LINEで連絡しながら美々さんとの待ち合わせ場所に向かう。すると、そこには携帯を耳にあてた女性の姿が。女性が話すと同時に私の携帯から同じ声が聞こえる。美々さんだ

背は低め、ショートカットでパッチリした目に目力がある。美々さんは、少年と見間違えるようなボーイッシュな女性だった。

電車の中では、会って速攻で告白しようと思っていた私。だが、実際目の前にすると、「タイミングってあるよな……」と空気を読んでしまい言うことができない。す……す……スリランカ行ったことある

そんな感じで空気を読んでいるうちに、映画も見終わりご飯も食べ終えてあっと言う間に帰る時間に。どんどん近づいてくる改札。何も言えなくて……春。綺麗な指してたんだね。知らなかったよ。今日となりにずっといたなんて信じられないのさ。

「またね」と手を振って歩き出す美々さん。あ……あ……ま、また……


ちょ待てよ


今日無理言ったのには理由があるんだけど……


──振り返る美々さん。


す、好きだから! 付き合ってください!!


…………


……………………


………………………………………


恐る恐る美々さんを見ると、グッと親指を立てている姿が目に飛び込んでくる。


「いいよ」



死んだ。いや、死ぬかと思った。ドキドキしすぎて。ちょっと自分でも引くくらいテンションが上がっていた。神よォォォオオオ! マジありがとぉぉぉーーーーーーー!!

──あれから数日が経ったが、彼女なんて半ば諦めていただけに、本当に付き合っているのか不安になることがある。あれは夢だったんじゃないだろうか……と。今は一刻も早く関係を深め積み上げていきたい。

これにて彼女募集は終了。最後に、彼女募集シリーズを楽しみにしていてくれた方、コメントで応援してくれた方、何より応募してくれた方々に感謝を。また、何か動きがあれば報告します。シリーズ「ネットで彼女募集」~完~

執筆・イラスト:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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