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【新事実】「週刊少年ジャンプ 1995年新年3・4合併号」が最大発行部数653万部を達成できた本当の理由

2018年3月19日

少年漫画の王様といえば、やはり「週刊少年ジャンプ」だろう。学生の頃、月曜日は友達とジャンプの感想を言い合うのが恒例だった。そう、ジャンプはみんなの共通言語だったのだ。そんなジャンプがもっとも勢いに乗っていたのが、1990年代である。

1995年に発行された「新年3・4合併号」は、最大発行部数653万部というとんでもない記録を打ち立て、その存在はもはや伝説となっている。だが、なぜそんなに売れたのだろうか? いくらなんでも売れすぎではないか? その理由を探っていた私(あひるねこ)は、ある一つの事実に辿り着いた。

・ジャンプが図書館に

2018年3月15日、創刊号を含めた50年分ものジャンプが読める「ジャンプ図書館」が、六本木ヒルズ「ヒルズ カフェ/スペース」に期間限定でオープンした。展示されているジャンプの総数は、なんと2406冊! そのすべてを無料で読むことができるという、まさに夢の空間である。

・伝説の合併号

私も実際に図書館を訪れたのだが、当然そこには伝説の「1995年新年3・4合併号」も置いてあった。それにしても、改めて見ると凄まじい連載陣である。どれもこれも有名作ばかりではないか。試しに、掲載されているタイトルをいくつかご紹介しよう。

『SLAM DUNK』『DRAGON BALL』『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』『ジョジョの奇妙な冒険』『みどりのマキバオー』『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』『NINKU -忍空-』『とっても! ラッキーマン』『ろくでなしBLUES』『地獄先生ぬ〜べ〜』『新ジャングルの王者 ターちゃん♡』『キャプテン翼 <ワールドユース編>』『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

などなど、そのどれもが看板レベルと言ってもいい人気作ばかりだ。当時のジャンプのレベルがいかに高かったかがうかがえる。しかし! 653万部も売れた理由を、連載陣の強力さだけで説明してしまうのは、いささか早計ではなかろうか? 上記のタイトル群をもう一度見直してみて欲しい。


……さあ、何か気付かないだろうか? そう、ジャンプ黄金期を代表する名作、『幽☆遊☆白書』が見当たらないのだ!

・653万部の理由

実は『幽☆遊☆白書』は、「1994年32号」をもって連載を終了しているのである。ちょっと待ってくれ。『幽☆遊☆白書』抜きのジャンプが、本当にベストコンディションだったと言えるのか? きっと多くの人がNOと答えるだろう。このことからも、「3・4合併号」が653万部も売れたのは、何か別の要因があったと推測できる。

・鍵を握るのは前号

その要因を考えるに当たり、私は視点を少々ずらしてみることにした。みんな、「3・4合併号」ばかりに目が行き過ぎているように思うのだ。こう考えてみるのはどうだろう? 「3・4合併号」がバカ売れしたのは、その前週の「2号」がクソ熱かったからである、と。

次の号が気になって仕方がない作品が、「2号」の中にあった。いつもは誰かが買ってきたジャンプを回し読みする学生たちも、「それじゃあ間に合わない! 一刻も早く続きを読みたい!!」と、自分でジャンプを購入する。そういった読者が続出した影響で、「3・4合併号」が爆発的に売れたのではないかと私は推測する。

・「2号」の “引き” を検証

では、その作品とは何だろう? 私は「2号」に掲載された人気タイトルが、どんな “引き” で終わったのかを調べてみることにした。その結果、衝撃的な事実が明らかになるのだが、それは順を追ってご説明しよう。

・検証その1

魔人ブウ編がクライマックスの『DRAGON BALL』は、いわゆるアルティメット悟飯が圧倒的なパワーでブウをボコっている最中だ。が、この回ではゴテンクスがブウに吸収されてしまい、やや不穏な雰囲気で終わってしまう。そのため、653万部のオーラはそこまで感じられない。「ウスノロ」の回だったらワンチャンあったかもしれないが。

・検証その2

『SLAM DUNK』の場合、全国編にハズレ回など存在しない。この回は豊玉のラフプレーで試合が荒れ、そのまま前半が終了した後、安西先生に説教を受けた選手たちが後半に向け奮起するという内容だ。湘北の逆襲が始まりそうな期待感はあるものの、試合シーンが少ないのが気になるところ。

・検証その3

回を重ねるごとに熱い競馬漫画になっていく『みどりのマキバオー』も、この時点ではまだ第5話だ。飯富のおっさんが初登場するも、ハッキリ言ってギャグ漫画である。ライバル・カスケードすら出てきていない段階のマキバオーでは、653万部は難しいだろう。

・検証その4

そこへ、ついに大本命が登場だ。『DRAGON QUEST -ダイの大冒険-』である。死にかけのポップのため、魔族のハドラーが涙を流しながら初めて人間の神に祈るという、作中屈指の名場面。さらに最後のページでは、あのアバン先生が復活して登場と、引きも含め文句なしの神回である。これが653万部のオーラなのか。

・検証その5

しかし、どうやら私は見誤っていたようだ。653万部を売りつくすオーラを放つ伝説回が、この「2号」には掲載されていたのである。その作品は『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』。出稽古に行く薫殿たちに剣心も同行する話なのだが、この回の引きこそ、653万部にふさわしいと言える。

・新事実

注目のラストシーン。道場破りに来た男のアップで、この回は終了する。るろ剣ファンならもうお気付きだろう。そう、雷十太先生の登場である。

……ったって。……来ちゃったって。653万部の男が来ちゃったって! 日本剣術の行く末を真に憂う者・雷十太先生のオーラが、653万人もの人間を本屋へと走らせたのだ。

・653万部の男

全キャラの中でも上位と言われる強さを誇りながら、「う……うぐううう!」で終わった伝説の男・雷十太先生。だがしかし、そのオーラは間違いなく本物だった。「3・4合併号」よ、おまえが653万部も売れたのは実力ではない。すべては雷十太先生のおかげなのである。

「週刊少年ジャンプ 1995年新年3・4合併号」が、最大発行部数653万部を達成した理由は様々あると思う。だが忘れてはならない。その記録的なセールスの裏に、日本を憂う一人の男がいたことを……。和月先生。連載の再開、そして雷十太先生の再登場を、私はいつまでも待っていますよ。

・今回ご紹介したイベントの詳細データ
イベント名 ジャンプ図書館
場所 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ ヒルサイド2階「ヒルズ カフェ/スペース」
期間 2018年3月15日~2018年3月26日
時間 11:00~23:00

参考リンク:ジャンプ図書館
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.

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