食べログの超有名レビュアーが、自身が高得点を付けた飲食店から過剰接待を受けていると世間を騒がせている。「食べログの評価は店の売り上げに直結する」という声もあるくらいだから、飲食店からすれば過剰接待も安いものなのかもしれない。
それはさておき、グルメ記事を多く執筆する私(P.K.サンジュン)は、一応グルメライターでもある。そこで今回は、普段から私が「飲食店から過剰接待を受けないために気を付けている4つのこと」をご紹介したいと思う。要するに「グルメライターの心構え」についての話である。
・過去の経験を踏まえて
顔出しをしている我々は、ある意味で食べログレビュアーたちよりも障害が多い。実際に、入店した途端に「ロケットニュースですか?」と尋ねられた経験も数回はある。だからこそガチを信条にしている私は、飲食店を取材する際には “自分ルール” を徹底しているつもりだ。
・気を付けていること1:「基本的に許可は取らない」
意外と思われるかもしれないが、私は飲食店に撮影許可を取らない。というのも、過去に許可を取った際、普段とは違う特別なメニューが出てきてしまったからだ。私がお伝えしたいのは、あくまで一般ユーザーも食べられる “いつものやつ” でないと意味がない。
また、事前に許可を取った場合、美味しくなかったら最悪だ。店側が狙っている場合は別として、マズイことを世間に広め、飲食店を貶めることは本望ではない。上記の理由で、私は撮影の許可を取っていない。なお、もちろん法律にも触れていないぞ。以下で弁護士の見解を念のため記載しておこう。
「外観、内観、料理ともに写真の撮影は問題ありません。ただし、他の人物が写り込まないよう撮影ないし処理することが前提です。
また、撮影が違法でないとしても、店主には店舗の管理権がありますので、事実上撮影を拒否されることは仕方ありません(撮影するなら退店しろと言われた場合には従わざるをえません)」
・気を付けていること2:「サービスはその場で遠慮する」
若干その1と被るが、サービスはその場で丁重にお断りしている。先述のように取材の対象は、一般ユーザーが食べられる “いつものやつ” でないと意味がないからだ。稀に「お会計は結構です」と言われることもあるが、それも即座にお断りし、絶対に料金は支払っている。
私も人の子、親切にされたらどうしても情が移って本音が書けなくなってしまうかもしれない。そのことを避けるため、サービスは絶対にお断りしている。
・気を付けていること3:「連絡が来ても一切返事をしない」
執筆した飲食店から、問い合わせや私のSNS宛てに「お礼のメッセージ」が来ることもまあまあある。多くの場合、そこまで繁盛していなかった店が「おかげさまで売り切れました」「売上げ倍増です!」などとありがたがってくれるのだが、私は絶対に返信をしない。
それまで日の当たらなかった優良な飲食店を世間にご紹介でき、なおかつ好意的に受け入れてもらえることは、グルメライター冥利に尽きる嬉しい出来事である。単純に嬉しい。だがそこで返信したら “変な繋がり” が出来てしまい、結果的に「本当にガチなの?」という疑いが生じてしまう気がするのだ。
店主さんたちの心遣いは嬉しいしありがたい。だが、私なんぞに余計な気遣いは必要ない。その分をお客さんに向けていただければ幸いだ。
・気を付けていること4:「知り合いの店は書かない」
私は過去に、知り合いが経営している、もしくは勤めている飲食店の記事を書いたことがない。前項と被るが「本当にガチなの?」と疑われることを避けるのが一番の目的である。
飲食店を経営している知り合いも多く、激ウマな店も少なくない。それでも書かない。もう一つの理由として、1度知り合いの店を書いてしまうと、他の知人から「うちも書いてよ」と依頼が来る可能性があるからだ。それが美味しくなかった場合は最悪でしかない。まさに負のループだ。
なので私は知人に対し「知り合いの店は書かないよ」と宣言しており、知人たちも理解してくれている。私はライターとして生きていきたいと思っているし、この世界は意外と狭い。過去には「謝礼払うから頼むよ~」と依頼されたこともあるが、目先の金に目がくらみ、一生を棒に振るのはまっぴらごめんだ。
──と以上であるが、基本といえば基本的なことばかりである。これからもこれらの掟を順守しつつ、ガチ情報をお届けしていく所存だ。
参照元:文春オンライン
執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.