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【辺境音楽マニア】「宇宙人(Alien)」を誤訳した可能性が濃厚? インドのテクニカルデスメタル「Gaijin」

2016年4月26日

gaijin

デスメタルがアフリカで盛り上がっているのは、もはや周知の事実だが、インドではさらにハイレベルなバンドが多く登場してきている。ニューデリー出身の「Skyharbor」というDjent(プログレッシヴ・メタルのジャンルの一派)は、インド出身という事は全く抜きにして、世界の最先端シーンから強い支持を受けている。そしてインドのムンバイには「Gaijin」、つまり「外人」という名のテクニカルデスメタルバンドがいる。

奏でるサウンドは、複雑なリズムや演奏法を追究したテクニカルデスメタルで、カナディアンデスメタルの「Gorguts」や「Neuraxis」などケベックからの影響を感じさせる。それもそのはずで、「Cryptopsy」や「Martyr」など、カナダ出身の有名デスメタルバンドのサウンドエンジニアを務めた、Pierre Remillard氏が作品作りに携わっているからだ。

冒頭からかなりマニアックになったが、今回はそんなインドのバンドの話である。

・複雑なリズムの「マスコア」

実際に「Necrophagist」や「Messhuggah」、「Obscura」など変拍子やリズムチェンジ、ポリリズム、複雑な楽曲を追究したテクニカルデスメタルや「Djent」などからの影響を公言しているが、こういったスタイルはリズム感覚や譜面上、数学的なセンスを要するところが、インドらしいとも言える。2010年のデビュー当初はマスコア(「数学」+「コア」の意味)と名乗っていた事からして、複雑なリズムを強調したサウンドを目指していている事は明らか。

デビューしてからまだ1作品しかリリースしていないので、粗さは否めないものの、「G-Shock Rolling Stone Metal Awards 2016」というコンサートにも出演を果たすなど、インドのデスメタルシーンではそれなりに評価されているようだ。

・なぜ外人?

しかし日本人からすると、どうしても解せないのがこの「Gaijin」つまり「外人」というバンド名。どうしてこの様なバンド名にしたのか、ひたすら調査すると、ある可能性に到達した。それは彼らがこの日本語を勘違いしているという事。

・SFや宇宙人に興味アリ

あるインタビューでバンドのリーダーが歌詞について質問されているのに対し、「SFや宇宙人、エイリアンに興味がある」と答えている。そして「エイリアンが遺伝子を操作して作り上げたのが“人類”」という話が、彼らのデビューアルバムのコンセプトなのだそうだ。こうした荒唐無稽なSFコンセプト自体は、テクニカルデスメタルではよくある話なので、驚く事ではない。

・それってエイリアンなのでは?

しかし「エイリアン」という言葉から、英語の知識がある人にはピンとくるかもしれない。実は英語の「エイリアン(Alien)」という言葉は「宇宙人」を意味すると同時に、「異邦人」「外国人」をも意味するのだ。要するに「エイリアン」=「外人」なのである。

ちなみに英語辞書やネット翻訳などで「Alien」の訳を見てみると、「外国人・異邦人・異星人・宇宙人」と記されている。

彼らはおそらくオンラインの翻訳サイトか何かで、「Alien」と入力し、そこで表示された「外国人」を選択するのではなく、Wikipediaの項目になるほど英語圏でも広まっている「外人」の方をバンド名として、ピックアップしてしまったのだと推測される。

・なぜ「Alien」にしなかったのか?

そもそも何でバンド名を日本語にしなければいけなかったのか、その真意は分からないが、単純に「Alien」、あるいはヒンズー語などインドの言葉で「宇宙人」を意味する言葉をバンド名にすれば良かったのではないだろうか。日本人としてはそう思わざるをえないバンド名だが、今更そう告知してあげるのも気が引ける状態だ。

・結成メンバー「Suzuki」とは

更に謎なのが現在は脱退しているものの、結成当初のバンドのドラマーが「Suzuki」という名前だった事。調査する限り、苗字なのか名前なのかは不明だが、併記されている他のメンバーの名前もワンフレーズである事からアダ名だと推測される。これもひょっとして、インドではシェア1位の自動車メーカー「スズキ」から来ているのではないだろうか?

日本人としては突っ込みどころが多いこのバンド、機会があればインタビューを試み、バンド名を日本語にしている理由を突き止め、そしてそれが間違った意味になってしまっている事を伝えてみたい。インドの出身の割には、どことなくアステカやインカなど古代南米風のジャケット。テクニカルではあるものの、総じてスピードが鈍い。

参照元:YouTube、Wikipedia「Gaijin」(英語)
執筆:ハマザキカク

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