この世に天才はいる。そう思わずにいられないプレーが、MLS(メジャーリーグサッカー)で飛び出した。まるでエスパーのような魔法を使ったのは、ニューヨーク・シティに所属するアンドレア・ピルロ。元イタリア代表、そしてACミラン、ユヴェントスでプレーした36歳の大ベテランだ。
それは2016年3月7日に行われたシカゴ・ファイアー vs ニューヨーク・シティの試合でのこと。2−4で迎えた後半27分、シカゴ・ファイアーがPKを得たシーンでさりげなく炸裂していた。
・PKは究極の心理戦
PKは「運勝負」とも言われるが、実際はそうでもない。ゴールキーパーとキッカーは、メンタルの極限状態で戦い、崩れた方が負ける。いわば「究極の心理戦」。それがPKだ。
データが主流化された近年では、お互いにクセも掴んだ上で試合に臨む。とはいえ、それがプロの勝負であれば、そう簡単に見抜けるものではない。クセがバレないよう練習を重ねている。……ところが!
・一瞬でコースを判断するピルロ
天才・ピルロには、データで見えない部分が見えるようだ。というのも、こぼれ球に対して皆が次のプレーを準備する中、彼は相手がシュートモーションに入ると蹴る方向をゴールキーパーに指示。しかも、見事に的中させてしまったのである!
時間にしてわずか1秒ほど。たったそれだけの時間でキッカーの狙ったコースをピタリと当てたのだから、まさに天才としか言いようがない。完全にクセを見抜いていたのだろうか。いずれにせよ、常人では考えられない判断力だ。
・ゴールキーパーは逆に飛んで失点
ちなみにゴールキーパーはピルロの指示が目に入らなかったのか、逆方向に飛んで失点。試合は3−4で勝利したものの、もしピルロの指示通りに飛び、止めていたら楽に試合を進めることができただろう。予知能力者のようなシーンはMLSの公式 Instagram にアップされているので、そのスゴさは実際にご覧いただきたい。