ロケットニュース24

【ホントにあったスゴイ話】殺伐とした建築現場で、「仕事」をわかっていなかった弟がとった行動

2015年7月2日

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皆さん、家族仲が良いだろうか。私(佐藤)の家族は仲がいい。少なくとも私はそう自負している。私が郷里の島根を離れていることを除けば、いつでも会えるし何でも話し合う。恵まれている方なのかもしれない。

家族の話といえば、私はどうしても忘れることのできない弟のエピソードがある。私(長男)は、双子の弟(次男)と10歳離れた弟(三男)の3人兄弟。下の弟とは2人で暮らしたこともある。それくらい仲が良いのだ。その弟が仕事というものを始めたときのことが思い出される。

・「仕事」がわからない歳

これは私がその場にいたときの話ではない。次男に聞いた話である。我が家は塗装業を営んでいる。高校に行かなかった三男は自動的に家業を手伝うことになった。当時15歳の彼は、働くということをわかっていなかったようである。いや彼に限らず、若い時分は誰しも「仕事」というものがわかるわけではないだろう。

・塗装の吹き付けは重労働

あまり知られていないかもしれないが、塗装業は結構大変な仕事だ。ただペンキを塗れば良いというものではない。室内塗装なら肉体的な負担は割と軽い方かもしれないのだが、外壁塗装は本当に大変だ。特に空気圧で塗料を壁面に吹きかける「吹き付け」は、重労働である。

・体力と根気

足元の悪い足場に、一斗缶に入った塗料を持って上がり、空気圧を送る長いホースを引っ張りながら特殊な道具で壁面に塗料を吹きかけるのだ。足場の天井は低いため、ずっと中腰のまま壁に吹き付け続ける。素人なら1時間ともたないだろう。体力と根気のいる仕事である。

・足場の上から次男が三男を呼ぶ

ある日のこと、三男は働き始めたばかりの次男の吹き付けを手伝っていたそうである。足場の上でじっと壁とにらめっこして、塗料を吹き付け続ける次男。数時間の作業でヘトヘトになっているなか、足場の下に置き忘れた道具があることに気がづいた。そこで、下にいる三男を呼んだのである。

「おーい! 三男ーーーッ! おーーい!!」

疲れのせいで少々苛立っていたのかもしれない。荒げるつもりはなくても、自然に声を荒げたようになってしまう。すぐにでも返事が聞こえてくれば良かったのだが、なかなか返事がない。

「おーーーい! 何しちょうやーーッ!」

半ギレ気味に呼んでも答える声がない。しかし階下に三男の姿が見えることに気が付いた。じっとしている三男の姿を、よくよく見てみると……。

三男いわく、面白いポーズの研究をしていたそうである……。

そんな彼も今では2児の父。現在は別の仕事をしており、家業はたまに手伝っているそうである。私は甥っ子たちが成長する姿を見るにつけ、早く中高生くらいになることを期待しているのである。いずれの日にか、「お前たちのお父さんは仕事中に面白いポーズを研究していたぞ」と話してやるつもりだ。

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼殺伐とした現場で、三男は……

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