ロケットニュース24

知らないジャンルの音楽をお店のスタッフに言われるがままに購入してみた(ロシアプログレ編)

2014年8月25日

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歳を重ねると頭が固くなる。音楽の趣味も偏りがちになるので、とりあえず頭を空っぽにしてCD販売店の店員さんのおすすめを素直に聞いてみることにした。手始めにヴィジュアル系バンド専門店でCDを購入した記者(私)は、次にあまり知らない海外のロックを聞いてみることにした。

ロシアでは旧ソビエト時代、音楽や出版は国の独占事業であった。その影響でロックバンドは、地下での活動を余儀なくされていたという。とはいえ、優れた才能を持つアーティストは多数存在しており、他の国に負けない独自の音楽文化を培っているようである。今回はあるお店でオススメされた2組のアーティストの作品を紹介しよう。

・専門店でオススメされた2組のアーティスト

エドゥアルド・アルテミエフ 『THREE ODES』
リトル・トラジェディーズ 『At Nights』

・こんなところに!?

今回のロシアロック探訪も、前回同様に専門店のスタッフに正直に「どれがオススメですか?」と尋ねた。そのお店は雑居ビルの1室にある。こんなところにお店!? と思うような場所にあり、入り口からは海外CDを専門的に扱う雰囲気には見えない。

・少し歪んでる

実はこのお店はプログレッシブの専門店であり、ロシアだけでなく、イタリアを中心にフランス・ギリシャ・スペインなどヨーロッパの音源を多数取り扱っている。ロシアのものが聞きたいと伝えると、スタッフの男性は「ロシアは少し歪んでます」と、率直な意見を聞かせてくれた。そのなかで初心者の私向けのアーティスト2組を紹介してくれたのである。

・エドゥアルド・アルテミエフ

エドゥアルド・アルテミエフは実は世界的に有名な作曲家である。1980年のモスクワ五輪のテーマ曲を手掛けた人物であり、「旧ソビエトの電子音楽の祖」と言われているそうだ。モスクワ文化大学名誉教授であり、差し詰めロシアの坂本龍一と言ったところだろうか。すすめてもらったのは、彼の2001年のアルバム『THREE ODES』。全面にクラシカルなフレーズのシンセサイザーが打ち出されており、組曲的なダイナミックな展開で聞き応えるのある作品だった。洗練された美を感じさせる、美しい旋律が印象的な作品だ。

・リトル・トラジェディーズ

そしてもう1つは2014年にリリースされた、リトル・トラジェディーズの『At Nights』である。お店にあったポップには「不穏なエマーソン・レイク・アンド・パーマー」との説明があった。エマーソン・レイク・アンド・パーマーとは、英国で1970年に結成されたプログレッシブバンドであり、シンセサイザーを導入したバンドである。たしかにその説明の通りに、クラシカルなアプローチをとりながらも、どこかに均整を失った不安定さを感じさせる。

しかし王道といっても良い魅力的なフレーズや展開も多用しており、不安定のなかに安定を見出せるのだ。時折見せる安定感は、ロシアの厳しい冬に見る晴天と言ったところか。

とにかく国が違えば、音楽に限らず文化が培われる背景や風土が異なる。ロシアのロックに、そこはかとなく漂う歪なシンフォニーを見た。

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼エドゥアルド・アルテミエフ 『THREE ODES』

http://youtu.be/okaUNGpJh2I

▼リトル・トラジェディーズ 『At Nights』


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