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【ブラジルW杯レポート第4回】どうやってレシフェのスタジアムから行って帰ってきたのか? 日本人サポーターに助けられスタジアムへ向かうことに

2014年6月17日

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つい先日、日本対コートジボアール戦が行われたレシフェのアレナ・ペルナンブーコ。日本でテレビ観戦していた方は「おっ、日本人サポーターがたくさんいる!」と思われたかもしれないが、実はこのスタジアムは、現地で観戦したサポーターにとって、必ずしもアクセスしやすいスタジアムではなかったのだ。それどころか、中々の難物だったのである。

今回は、多くの日本人サポーターを悩ませたであろうレシフェのスタジアムと、日本人サポーターの心強さを痛感した、個人的な体験をご紹介したい。

・レシフェの奥地にあるスタジアム

まずレシフェの街について簡単に説明しよう。大西洋に面したレシフェの街は、美しいビーチがあるリゾート地だ。ただ治安面での評判はと言うと、ブラジル全体の中でもあまりよろしくない。特に、海から離れて内陸に入って行けば行くほど、治安が悪くなると言われている。

そして、コートジボアール戦が行われたアレナ・ペルナンブーコは、まさに海岸線から離れた奥地にある。そのため、スタジアムにたどり着くには、恐ろしいエリアを越えていかねばならないのである。

では、サポーターはどうやってスタジアムまで行ったのか? と言うと、ツアー会社が組んだ送迎バスを利用した人もいたようだが、レシフェ市内を走る地下鉄で最寄りの駅まで行き、そこからシャトルバスに乗ってスタジアムへ向かった人も多かったようだ。そして、私も当初地下鉄を利用するつもりだった。

・不安な地下鉄

ただ、いくら地下鉄の駅に乗っていれば最寄りの駅まで着くと言っても、不安を抱えていた日本人サポーターは、私を含めて少なからずいたはず。地下鉄での乗り降りはどうしたらいいのだろう? 分からないことがあった場合、英語が通じる人はいるのだろうか? シャトルバスはどこから乗るのか? 乗れなかったら場合どうすればいいのか? などなど。不安にならざるを得ない要素は少なくなかった。

そして最も怖いのが、スタジアムの最寄り駅までに点在する「ヤバい駅」である。ヤバいと言うのは、具体的には、ファベーラと呼ばれる貧民街に近いという意味だ。私が最初に泊まった宿には英語の通じる人がいたのだが、その人は、「ここの駅とこの駅だけは、間違っても絶対に降りるなよ」と路線図を指差しながら注意してくれたものである。

「自分が降りなくても、問題の駅から乗ってくる人だっているはず……その集団に遭遇したらどうすればいいのだろう?」と思ったが、聞いたところでどうすることもできない。もう、行くしかないのだ! 

・2回目のホテルがヤバい!?

ここで試合会場に向かう前に、私にちょっとした問題が起きたのだが、その説明をするためにレシフェ滞在中の私のスケジュールについて触れておきたい。

当然ながら、ワールドカップ開催期間中のレシフェには、多くのサポーターが押し寄せる。比較的早めにチケットを購入した人は何の問題もなくホテルを取れたようだが、私がチケットの購入手続きを終えたのは2014年の5月中旬。その時点では、すでに空いている宿が限られており、私は連続して1つの宿を押さえることはできなかったのだ。要は、レシフェ滞在中に何度か宿を変えなければならない

さらに運の悪いことに、コートジボアール戦の当日に、宿を移らなければならなかったのである。そのホテルは、今まで泊まっていた宿からかなり遠い場所にあった。

最初の宿をチェックアウトする時、私はその宿の人に「次はこのホテルに行くのだけれど、どうやって行けばいい?」と聞いてみた。すると、地図を見た宿の人の顔が、みるみる曇っていくのだ。それからひと言「このホテルの周辺にはファベーラがあるから、本当に気をつけた方がいい」と。

・深夜にファベーラ近くのホテルを歩くリスク

これがどういうことかと言うと、深夜にヤバいと思われる場所まで帰ってこなければならないということだ。なぜならキックオフは現地時間の夜10時。試合が終わっても、恐らく会場付近は混雑しているだろうから、ホテルに帰れるのは深夜2時〜4時くらいだろうか。

その時間にファベーラ近くのホテルに帰るなんて、リスクが高過ぎると思われた。ホテル最寄りの地下鉄の駅からタクシーを捕まえらなかったらどうするんだ? もし歩いて道に迷ったら……想像さえしたくない。

・他のホテルにも空きがない

私は宿の人に「今日はもうこの宿に空きがない?」と聞いてみたが、やはり一杯だという。さらにその人が、知り合いの宿主に聞いてくれたのだが、そこも予約で埋まっているというのだ。

その方が親切にも「問題のホテルの近くで、危険を感じたら電話をくれ」と連絡先を教えてくれたのが唯一の救いであったが、スタジアムから帰る時の状況を考えれば考えるほど、気分が沈み込んでいく。

・チェックインの時間差を埋めるためにレストランへ

ただ、私はとにかくそのホテルまで行ってみることにした。と言っても、チェックインは14時から。最初のホテルをチェックアウトしたのが12時前だったから、まだ時間はある。私は「それまで時間を潰そう」とレストランに向かったのだが、そこで思わぬ展開になったのだ。どんな運命が待ち受けていたのかは、次のページで明らかになるぞ!

Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.



私がレストランに入った時、隣の席には偶然にも日本人サポーターの方がいた。私が暗い気分で食事をしていると、声をかけてくれて「何日前からレシフェに滞在されてます?」「何試合まで現地で見られるんですか?」「今日のコートジボアール戦は何時頃会場に行かれます?」などと会話をすることに。

その流れで、私が「これから向かわなければいけないホテルが、ヤバい場所にあるみたいなんですよ」と言うと、その方が「ウチらで部屋を押さえていたんですけど、キャンセルが出て余っているので、もしよかったら来られます?」と言ってくれたのだ!

・日本人サポーターのご好意に甘える

私はお言葉に甘えて、そのホテルまで連れて行ってもらうことに。結局、その方たちが押さえていたキャンセル分の部屋ではなかったのだが、同じホテルで、別の日本人サポーターグループが押さえていたキャンセル分の部屋に泊まらせてもらえることになったのである。

さらに、そのホテルからはスタジアムへの送迎バスがあり、そこにもキャンセル分の空きが……。

つまり私は、レストランで出会った方をはじめとする何人かの日本人サポーターと知り合えたおかげで、メチャクチャ快適なホテルに泊まらせてもらえた上に、ホテルからの送迎バスという、不安など微塵もない交通手段を確保できたのだ。

私が当初泊まる予定だったヤバいホテルを即キャンセルし、心配してくれていた最初の宿の人に、「何とかなりました!」と先ほどとは全く違う明るいテンションで連絡をしたのは、言うまでもない。

・日本人サポーターの心強さ

旅先での新たな出会いは、ただそれだけで貴重なもの。ただ今回は、貴重さだけでなく、安全に旅を続ける上で人とのつながりがいかに大事かということも痛感することになった。

もちろん親切に対応してくれるブラジル人をはじめとした外国の方にもたくさん出会い、何度も助けられたが、日本人同士だと言葉が完璧に通じるというのは、やはり大きい。何より「日本代表を応援するために、もしくはワールドカップを楽しむために、お互いわざわざブラジルまで来たんだ」という仲間意識がある。

完全にお世話になった側の私が言うのも何だが、もしワールドカップ期間中に現地で困ったことがあったら、遠慮することなく近くの日本人サポーターに頼ってみるべきだと思う。意外と簡単に窮地から脱出できるかもしれないぞ。

Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼レシフェのアレナ・ペルナンブーコ。ここから先は、現地で観戦したサポーター目線でお楽しみを!





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