中国・上海の「東方明珠塔」と超高層ビル群に「中国なんてすげぇんだ、東京なんて目じゃないぜ」と感動する中国人は数知れず。そんな東方明珠塔の帰りがけにトラップはある。
お土産コーナーでは、B級感漂う「釣魚島トランプ」がしれっと置かれている。釣魚島とは、尖閣諸島の中国名だ。プロパガンダ成分たっぷりのこれを日本人としては気になるわけで、店員のおばちゃんの言い値10元(約160円)で何が出るかわからぬこのパンドラの箱を購入した。
・旗だらけ
箱には表にも裏にも大きく「釣魚島」の文字、そして表面には島上にありえないくらい巨大な中国国旗「五星紅旗」がはためき、裏面には島上に無数の赤い旗が……。箱をワクワクしながら開けると、プラケースにトランプが。表がやはり巨大な旗付き尖閣諸島となっている。裏は唯一見えたのが JOKER でこちらは、無数の赤旗がはためく島の絵が。
・やっぱり盛りだくさんらしい
「なんだ写真付きでないのかよ」と開けてみたら、お約束通り各カードに異なる写真があったので安心。各カードには、漁船衝突事件や反日デモの写真や、島奪還に動いた愛国烈士に、中国がいうところの歴史的正当性と、中国がいうところの日本右翼の人々と、尖閣諸島の各島の情報や立地などの情報が満載であったのだ。
・都知事はハートの8
その中には石原元都知事もいた。ジョーカーやキングあたりを期待したが、絵柄は微妙なハートの8。「なぜハート!?」という疑問にハートを集めると日本人がハートに集中するが、中国側のカードに混ざってる。一方で胡錦涛前国家主席はキングではなく、尖閣上陸大作戦を実行した中国人男性とともにクイーン。
・本土のデモはなかったことに
反日デモカードの写真の選択はズルイ。写真は破壊行為がひどすぎた中国本土のはなく、香港や台湾で行われた綺麗なデモばかり。漁船衝突も「日本の巡視船がぶつかってきた」とカードで書いている。いや、それはビデオもあるし角度的に無理ありますがな。
・中国の言い分ズラリ
カードに書かれた中国の言い分を短くまとめると
「宋・元のときに管轄済(クラブ2)」
「1403年に記述がある(ダイヤK)」
「明と琉球の境界で尖閣は中国領内(クラブA)」
「清の航海記で尖閣が自国内(クラブ4)」
「カイロ宣言とポツダム宣言で台湾と周囲の島が中国に帰属するとした(クラブQ)」
「サンフランシスコ平和条約は中国は認めてない(クラブK)」
「沖縄返還で尖閣を日本に含めた(ハート2)」
「1960年に石油を勝手に掘り出した(ハートA)」
「1972年の日中友好で棚上げしたのに(ハート3)」。
……これでは7並べを遊んでも言い分が古い順に並ばずわかりにくい。
中国側の言い分が54枚に凝縮し、法則性なく適当に各カードに載せてしましたというカード。お土産用としても自分用としても誰かとトランプで使うには何とも微妙。勢い買ったところで1人トランプ用でしか遊べないので注意しよう!
Report:山谷剛史
Photo:RocketNews24.
▼「尖閣問題で台湾も中国と一つの中国を目指す」という解釈をするスペードのキング
▼NHKの放送からキャプったハートの8
▼ほら日本より中国に近いだろ、というダイヤのA
▼まるで本土の反日デモはなかったことに
▼観光地にあり英語もあるから外人にもアピールしてるのか
▼言い分が延々と。しかしカードに統一感はない
▼集まってトランプで遊べば皆手元がまっかっかだ
▼前国家主席もキングにせず、その辺の作り手の意識は見られない
▼裏面には訴えがズラリ。さすが中国