つい最近、宇宙に関する驚くべき情報がインターネット上で話題になった。その情報とは、オリオン座の恒星ベテルギウスが爆発し、太陽と同程度の明るさを放ち、地球の一部に白夜が訪れるという。
・専門家が「デマ」と斬り捨て
この情報にとある専門家が苦言を呈している。「科学的根拠を欠いたデマ」とバッサリと斬り捨て、デマである理由を説明しているのである。
・東工大教授がツッコミ
東京工業大学の河合誠之教授によると、この情報にはいくつかのツッコミどころがあるという。以下は教授が Twitter に投稿した内容の要約である。
・ベテルギウス爆発に関する河合教授の5つのツッコミ
1.紹介されている情報の画像に、ベテルギウスが含まれていない
2.元の情報にある「ハワイのマウナケア天文台」という機関は存在しない
3.元の情報は星の外観から「超新星爆発が起こる明白な兆候である」と伝えているのだが、外観から内部の状態変化を推定するのは困難
4.「白夜が訪れる」と記されているのだが、超新星の明るさは満月程度で、白夜にはならない
5.元の情報の最後に「1054年」以来の天体ショーとあるが、肉眼で見える超新星は1987年の大マゼラン雲でも起きている
・白夜にはならない
もし本当にベテルギウスが爆発しても白夜になる可能性はなく、太陽と同等の明るさにはならないとのことだ。「太陽が二つ」というのは非常にファンタジックな話であるので、仮にそのような奇跡が起きるのなら体験してみたい。
とはいえ、近い将来爆発するとの予測は以前から繰り返し伝えられる。ただ、近い将来といっても宇宙の話は壮大だ。数千年単位も含まれており、いつ訪れるのかはわからない。爆発によってどんな現象が起き、影響があるのか、気になるところである。
参照元:Twitter @NobuKawai、The Voice of Russia、AstroArts
「ベテルギウス」問題記事のツッコミどころ(1):記事内のオリオン座の写真にベテルギウスが含まれていない。写っている三ツ星の左上枠外にあります。http://t.co/PMn6XrV6CM
— Nobuyuki Kawai (@NobuKawai) September 27, 2013
記事で使われた画像は、ベテルギウスも入っている元の画像を切り取ってしまっているようだ。
「ベテルギウス」ツッコミ(2)「ハワイのマウナケア天文台」は山頂の望遠鏡群を指す言葉としては用いられるが、そのような機関は存在しないので、その「内部情報」というのはいかにもいかがわしい表現。
— Nobuyuki Kawai (@NobuKawai) September 27, 2013
「ベテルギウス」ツッコミ(3)「ここ16年間球形を保てなくなっている…数ヶ月以内に超新星爆発が起こる明白な兆候」:重力崩壊する太陽の百分の一ほどの小さな中心核と、外から見える太陽の千倍の外層はほとんど独立に変化するので、外観から中心核の短期的な状態変化を推定するのは困難です。
— Nobuyuki Kawai (@NobuKawai) September 27, 2013
「ベテルギウス」ツッコミ(4)「明るさは最低でも満月と同等、もしかしたら太陽と同等」:仮に1987年のマゼラン雲の超新星がベテルギウスの距離で起きると明るさは半月程度。とびきり明るくなっても満月程度。白夜にはならない。点光源なので輝度は高く金星のように昼間でも見える可能性はある。
— Nobuyuki Kawai (@NobuKawai) September 27, 2013
「ベテルギウス」ツッコミ(5)「地球人が最後にかような天体ショーを目撃したのは1054年」:今では望遠鏡で超新星が毎年何百と発見されている。肉眼で見えた最近の超新星は1987年に大マゼラン雲で起きたSN1987A。その前の超新星はケプラーが1604年に記録。
— Nobuyuki Kawai (@NobuKawai) September 27, 2013