以前テイデ山の夜空を撮影し、世界を感動させた写真家・映像作家のテリエ・ソージャードさんが、今回新たに自然の美しさを収めた映像を公開し、話題を呼んでいる。
今回ソージャードさんが撮影したのは、鼓動する自然とその中で多様な色を見せる北極の太陽。彼はこれを4月29日から5月10日までの期間に、ノルウェーのロフォーテン諸島で撮影した。
「The Arctic Light(北極の光)」と題された今回の映像は、白夜が起こる2~4週間前にしか見れない太陽をとらえている。この時の太陽というのは、日没の時に完全に沈み切らず、地平線すれすれを動くので、日没と日の出の間もその美しい光で大地を照らし続ける。
ソージャードさんはこの地平線に沈むか沈まないかの太陽の光が、自分が知っている中で最も色彩に富んだものだと表現しており、この映像を撮るためだけに4年間同じ時期に、この場所に来ているという。
彼が北極の光と呼ぶその太陽は動画の1:06から見ることができ、その中で夜9時から朝7時にかけて日中から夜、そして夜から日中へと移り行く様子がしっかり映し出されている。
そして撮影した時期以外に、もうひとつこの映像を特別にしているものがある。それはこの映像を撮るために要した労力である。ソージャードさんは今回の撮影のために、カメラや三脚など重い機材をしょいながら海岸のがけをロープで降りたり、海藻で滑りやすくなった岩の上をジャンプで渡ったりしていった。時にはカメラレンズなどの機材が壊れ、そして高い岩から落ちて病院行きになったこともあるという。
それでもソージャードさんは撮影をあきらめず、なんとか美しい太陽の撮影に成功した。言い換えるならば、この太陽はそれほどのリスクを冒してまでも、4年間撮りに行き続ける価値があるということだ。
ちなみに映像と共に流れる音楽も素晴らしく、これはソージャードさんがタケウチ・マリカさんにお願いして、この映像のためだけに作ったもらった曲だという。
ソージャードさんの想いがぎっしり詰まった今回の映像。ぜひこれを通して、地球の美しさを改めて感じてほしい。
(文=田代大一朗)
参照元:Vimeo/TSO Photography
▼こちらがその映像。ぜひ右下のボタンで大画面にしてご覧下さい。
The Arctic Light from TSO Photography on Vimeo.