前回、「おっぱい」の語源についてのミーティングを行った帰りのことだ。私(褌シメタロウ)と最若年のZ氏、そしておっぱい上級者の自負するS氏の3人は、一杯やろうということになり、居酒屋に立ち寄った。そこで改めておっぱいの語源についての議論を重ねた訳だが、思わぬことをきっかけに、Z氏とS氏が口論になってしまった。
そのきっかけとは、「男のアンダーヘア処理は必要か?」というものだった。下毛処理推進派のS氏に対して、反対派のZ氏。それぞれの主張は次のようなものである。
【男の下毛処理推進派S氏の主張】
僕はね、男も処理をするべきだと思うんだね、うん。なぜかと言うとね。メリットしかないんだな。大きく分けて次の3つのメリットが得られる、うん。
1.部屋がきれいになる
男性であれば、誰でも経験があることだと思うんだけど、どこにでも自分の下の毛が落ちてると思うんだね、うん。「こんなところに!」と思うようなところに、絶対に落ちてる。片付けても片付けてもなくならない。床から無限に生えてきているのでは?と錯覚すると思うんだね、うん。日頃から手入れをしていると、驚くほど出現率が減るんだね、うん。
2.視覚効果が得られる
毛が短いということは、周りが大きく見えるんだね。髪も短いと、顔が大きく見えるでしょ。これは大きいメリットじゃないかな、うん。
3.女性に優しい / 清潔感がある
汚らしく伸ばしているよりも、短い方が清潔なんだね。そうすると、女性にも喜ばれます、うん。ムードが高まっているときに、ボウボウじゃみっともないし、失礼だと思うんだよね。最後の最後まで清潔な印象を保つべきだと思うんだな、それが紳士というものだよ、うん。
【男の下毛処理反対派Z氏の主張】
自分は基本的に不要だと思っています。処理しないことにメリットはないですが、あえて必要があるのかと思っています。
1.面倒くさい
もっとも大きな理由は面倒です。いいじゃないですか、男なんだから。毛が見えるシチュエーションってほとんどないでしょ。
2.安全
人間って急所っていうか、大事なところに毛が生えている訳で、切ったり剃ったりしたら、危険かなと思います。バリアみたいなもんでしょ。
3.面倒くさい
詰まるところ面倒なんですよ。面倒ってだけで十分な理由と思うんですけどね。
穏やかに諭そうとするS氏に対して、Z氏は頑なに処理の必要性を否定している。2人の折り合いはなかなか着きそうにない。そればかりか、話が進むにつれ、酒が進み議論がかみ合わなくなって来た。
Z氏 「じゃあなんですか、アレですか、毛はない方がいいってことでしょ! 永久脱毛でいいでしょ、イチイチ切るのなんて面倒なんですよ! あなたは俺のお母さんですか?」
S氏 「お母さんと言われても……。むしろお父さんの方が嬉しいなあ、うん」
しばらく黙って2人の話を聞いていたのだが、どうやら収まりそうにないので、割って入ることにした。
「俺はこう考える。切るとか切らないよりも、もっと大切なことがあるんじゃないかな? 俺の古い友人に、こんな奴がいた。彼は人を喜ばせるのが好きな男だ。だから、女性にも驚きと感動を与えるために、毛を金髪に脱色してたぞ」
そういうとZ氏は「つまり、どういうことですか?」と、怪訝な様子。
「つまりはこういうことだ。髪は切るだけでなく、染めたりパーマを当てたりするじゃないか。それと同じように染めたりアレンジすることも、アリなんじゃないかと。ちなみに俺は、いつも金髪にしてる。その理由は、落ちていても汚らしく見えないからだ。それから外国人みたいだろ?」
S氏は「なるほど!」と納得、しかしZ氏は変わらず浮かない様子のままだった。彼はまだ若い、金髪にすることの素晴らしさを感じ取るには、まだまだ人生経験が必要のようだ。
「さあ、もう行こう。明日も早いぞ。明日遅刻したら承知しないからな! 行こうぜ!」
こうして、私たちは店を後にした。Z氏が早く下の毛を金髪にする魅力、引いては処理する楽しみに気付くまで、時間がかかりそうだ。しかし彼ならきっとわかってくれると、私は強く信じたのである。今夜も星がきれいだ。
(文=褌シメタロウ)
イラスト:ロケットニュース24