2月27日に開催が迫っている、3万人のランナーが参加する東京マラソン。今年で5回目となるこの大会は、日本最大規模の市民参加型マラソンで、国内は元より、海外でも注目を集めている。大会を目前に控え、参加予定の1人のランナーが海外で話題となっているのだ。その人物とは、ジョセフ・テイムさんだ。彼はUstreamで生中継をしながら、フルマラソンに挑戦しようとしているのである。その出で立ちは派手であるとともに、移動スタジオと呼んでも良いほどの凄まじい機能を備えている。

テイムさんがランナーに目覚めた実は最近のことだ。元々走る習慣のなかった彼は、2008年に友人の誘いで週に一度、皇居を走るようになった。ただ走るだけでは面白くないと思った彼は、iPhoneのアプリ「RunKeeper」を使うようになったという。このアプリは、目標地点と到達時間を設定すると、ペースコントロールをしてくれるのだ。さらに、GPSで地図上に足取りを残すことができる。彼はこの機能を使って、地図にお絵かきをすることを思いついた。

海外で注目を集めるきっかけになったのは、彼が描いたハローキティーだ。「東京ランニングアート」と題して、描いたキャラが話題となり、主要なニュースサイトが取り上げたのである。

その彼が東京マラソンの挑戦は、今回が3度目。初年度となった2009年は、10キロを走破。翌年、iPhoneを手に生中継しながらフルマラソンに挑戦。完走したものの、思わぬハプニングに見舞われたという。

「帽子にiPhoneケースを取り付けていたのですが、5キロ走った時点で、ケースが壊れてしまったんですよ」。その後に、手でiPhoneを持って中継し続けたそうだ。大変苦労したそうなのだが、そのときの教訓を生かして、今回「iRun」と名付けられた、iPhone搭載フレームを自作したのである。配信用に携行する機器は次の通りだ。

【テイムさんが実況のために携行する機器】

・iPhone3GS 2台
・iPhone4 2台
・iPad 1台
・Android端末HTC 2台
・EcomobileCitizen 2台 (二酸化炭素などの発生量を測定するモバイル)
・バッテリー 4台 (ZAGG2台、エネループ2台)
・太陽電池パネル 1台
・ポケットWi-Fi 3台 (ドコモ、イー・モバイル、WiMAX)

左右2台のiPhoneで撮影しながら、真ん中の1台で中継スタジオとのやり取りを行う(後述)。もう1台のiPhoneでRunKeeperを起動し、現在位置や心拍数を確認。そしてiPadで、視聴者からのTwitterコメントが、リアルタイムに流れる仕組みになっている。

さらに、今年は別途で中継スタジオにスタッフが控えており、テイムさんのカメラで捉えた映像をスカイプで通信。別のサポート2チームの映像とともに、Ustreamで配信する予定だ。つまり、4つのライブカメラの中継を1つのチャンネルで放送するのである。

個人ランナーの域を超えて、中継車と化したテイムさん。彼は出走前に、世界中から注目を集めることになるとは、思っていなかったそうだ。その彼に目標を尋ねると、「完走することですね」と、無事にゴールテープを切れることを願っていた。

ちなみにiRunは、2ヶ月間に及ぶ試行錯誤の末に完成したそうだ。材料はアメリカ、イギリス、東急ハンズから調達し、完成間際には一度帰国して、父親の手助けを借りて作り上げたのだとか。ありありと自作感がにじみ出ているだけに、フルマラソンに耐えうるか、少々心配な点も否めない。

しかしながら、万全の準備と強力なスタッフに支えられて、きっと完走してくれることだろう。がんばれ、テイムさん! 興味のある方は、Ustreamの中継で応援しよう!なお、彼の走る様子は2月27日に、放送チャンネル「tamegoeswild」でご覧放送予定だ。

写真:ロケットニュース24

▼ テイムさんの紹介動画

▼ 2台のiPhoneで撮影。なぜか肩にはバナナが。

▼ 頭には2つの風車と、謎のアンテナ?

▼ そして足元にはウサギも。

▼ たくさんの機器をバッグに詰めて、42キロを走る。

▼ たくさんの機器を巧みに操るテイムさん。