
その昔、電子書籍なんてない時代は、週刊の雑誌を買うのに必死だったことを思い出す。特に漫画雑誌なんて、1号買い逃せば話がつながらなくなってしまう。そんなことを思い出す出来事が、我が身に昨晩(2026年7月13日)から今朝方にかけて降りかかったのだ。
目当ては『週刊少年ジャンプ2026年33号』である。ONE PIECE(ワンピース)が連載29年を迎えたということで、記念に購入しようと思ったのだ。ところがどっこい。周年だからと、ONE PIECEカードゲームの特別限定カードが付録として付くというから大変だ。
どうやらカード目当ての層も巻き込み、発売前から凄まじい争奪戦が起きているらしい。場所によっては購入のための、抽選まで行われているらしい。記者が暮らす田舎では問題ないだろうと思いつつ、一応、日付が変わると同時に最寄りのコンビニへ。そこから短くも長い夜が始まった。
・こんなことははじめて
車を走らせながら、事前の不穏なニュースを思い出す。先に書いた通り、今号にはワンピ連載29周年を記念した限定カードが1枚封入される。欲しい人は当然ながら数えきれないほどで、悲しいかな、発売前から転売ヤーたちの餌食にもなっていた。フリマサイトなどでは同号の付録ありをうたう出品が相次でおり、正規の値段でなくとも売切のケースも。
現物がないだろうに、どういうこっちゃである。そうしたことを受けてか、集英社は通常より50万部増刷して発行すると発表。店頭にもいつもの通り出るようだ。カード目当てでなく、ただ毎週紙のジャンプを買っているので今週もそうしたいだけの人も多いはずだ。
現にワンピがはじまる前から30年以上、毎週、紙のジャンプを買い続けている友人は「こんなことははじめてだ」と途方に暮れていた。その人は一応、抽選にも参加したらしいが、ことごとく落ちたらしい。
今号は長期連載されていた『アオのハコ』の最終回号でもある。同作のファンも、普段は電子派でも最後くらいは紙で、という人もいるだろう。いろいろな需要が入り混じっての2026年33号であるように見えた。
記者も普段は電子で定期購読しているが、推し作品が表紙や巻頭カラーになる際は紙でも欲しいタイプだ。今号もそうで、可能ならば紙を手元に置いておきたい。午前0時に最寄りのコンビニの店頭に並ぶという噂を耳にしたので、軽い気持ちで足を運んだ。
・深夜にコンビニをまわる
本の陳列棚を覗くと、明らかにジャンプ用にスペースが開けられていた。さらにはポップが貼られており、7月20日までは「お一人様1冊までの購入でお願いいたします」と書いてあった。転売対策をしてくれているのだろう。ありがたいことだ。
時計を見ると23時58分。店員さんにジャンプは0時に並ぶだろうかと尋ねると、ちょっとお待ちくださいとバックヤードへ。しばらくすると、責任者のような方が出てきてくれた。時間はちょうど0時だ。
するとどうやら0時発売は、あくまで噂であったらしい。「うちの店は朝刊と同時に持って来てもらうので3時か、4時か、そのあたりだと思います」と申し訳なさそうに教えてくれて、こちらの方が申し訳なくなってしまった。
聞くところによると、何時に品出しをするかは店によってまちまちであるらしい。件の紙のジャンプを買い続けて(約)30年の友人も、最寄りの店舗を回ってみたらしいが、日付がまたぐ前に出ているところもあれば深夜に販売されるというところもあったのだとか。
どうしようと思いつつ、もう1店舗だけ行ってみることにした。同じ地域でもコンビニの種類が違えば、仕入れ方法が異なるかもしれない。再び車を走らせながら、こんなこと暇な大人だからこそできるけれど、そうでなければ無理だよなと思ったりもする。
子どもの頃、買いたくても学校に行かなければならないなどの理由で買えない雑誌があった場合、親に頼んだことを思い出す。正しく買ってきてくれる場合もあれば、そうでない場合もあり(ジャンプって言ったのに赤マルジャンプを買って来たり)その時は、仕方がないにせよ悲しい気持ちになったものだ。
そうこうしているうちに、次のコンビニに到着。陳列棚に向かうと、こちらもまだ販売していないらしい。ぼーっと棚を眺めていると「何人かいらっしゃいましたけど、うちは朝方なんですよ」と、店員さんが声をかけてくださった。
時計を見ると深夜1時近い。最初に訪れたコンビニには3時に並ぶと言っていた、2時間は寝られるなと思い、一旦家に帰ることにした。ひとっこひとり歩いていない田舎道を車で走らせ、帰宅する。非日常感があって、ちょっとわくわくしてしまう。
雑誌ひとつ手に取るのに、こんなにも楽しくなるのはいつぶりだろうか。転売ヤーは許すまじだが、たまにはこういう時間も悪くない。
・再チャレンジの結果
布団の中で、約2時間後の午前3時にアラームをかける。起きられなければそれはそれで仕方がないと思いながら、眠りにつく。さてしかし、遊ぶときは超本気な記者は、アラームの少し前に目が覚めてしまった。体は重いがなぜか目はすぐに冴える。軽く興奮しているのだろうか、身支度をして再びコンビニへ。
時間は3時20分、まだ早いかなと思いながら、再び棚の前へ。すると、どうしたことか。いっぱいある……!! 20冊くらいある……! 人が押し寄せるどころか、店員さん以外、人はいなかったので恐らくその店舗でジャンプを購入したのは記者がはじめてだろう。
レジへ持って行くと、先ほど声をかけた店員さんが「良かったね」とでも言うような温かいまなざしを向けてくれた。会釈して、思わず真っ暗闇な空を背景に記念写真を撮る。こんな経験、最初で最後かもしれない。
満足して帰宅し、読むのは起きてからの楽しみにしようと枕元にジャンプを置いて寝る。たまに購入するので知ってはいるのだが、データではない、現物があるって良いよね。
そうして数時間後、再び起きて、真っ先にジャンプを読む。なんとも幸せな月曜日だ。付録のカードもキラキラしていて、レア感があって特別な感じがする。あとで単行本の前に飾ることにしよう。
毎度これではやってられないが、たまにはこういう時間も悪くはない。繰り返すように、転売は勘弁してほしいが。その後、件(くだん)の友人にも聞いたが、都会でも全く買えないという訳ではないらしく、友人も無事に手に入れていた。50万部増刷の結果だろう。
どうか、本当に欲しいすべての読者に行き渡りますように。そしてワンピースの29周年、本当にめでたいことだ。連載がはじまったころ、記者は小学生だったものな。来年の30周年も今から、ちょっと戦々恐々としながらではあるが楽しみにしている。
参考リンク:週刊少年ジャンプ
執筆:K.Masami
Photo:RocketNews24.