
夏めく日差し。2026年の立夏は5月5日だったらしい。すでに夏は始まっている。初夏というヤツだ。立ち食いそば屋においては冷やしの季節が始まったとも言えるだろう。
そんなわけで赤坂見附の『蓼科』に入り券売機を見ていたところ、カレーそばにも「温・冷」と書かれていた。カレーそばに冷やしがある! そこで注文してみた。
・カレーがウマイことで知られる店
立ち食いそばマニアの間でカレーがウマイことで知られるこの店。立ち食いそば屋になる前はカレーショップで、カレー屋時代を引き継いでいるという味は洋食風味の懐かしさが漂う。
カレーは確かにウマイんだけど、それゆえにカレーライスしか見てなかったので、冷やしカレーそばがあることに今回初めて気づいた。
・ぶっかけタイプの冷やしカレーそば
昔からあったっけ? そんなカレーそばボタンの「温・冷」の文字は、よく見たら中のメニュー名の紙じゃなく、ボタン自体にマジックで直書きされていた。すでに味がある。また、このご時世に税込450円という安さはさすがだ。
調理を見ていると、どうやら麺とつゆが冷やし仕様のカレーそばであるようだ。ぶっかけタイプの冷やしカレーそばである。
・辛めのつゆ
食べてみると、カレーの温かみがあるため、冷たいと思うほど冷やしではないんだけど、麺が締まってるからかどこか喉ごしに爽やかさが感じられる。『蓼科』のそばは「ちゅるん」とした食感なので締まっているのが合っていた。
そして、何より温カレーそばと違うのはつゆが辛めであること。飲むと塩辛いくらい冷やしの濃縮されたつゆの味がする。ゆえに、つけ汁的に麺に絡めて食べるとちょうど良い。コトコト煮詰められたカレーのコクとつゆの塩辛さがそば上でランデブー。味も割と初めての味してる。
残ったつゆにそば湯を入れてみると甘みが出て飲むのにちょうど良い味になった。食べ方も確かに冷やしそばである。
・立ち食いそば屋の懐の深さ
歴史を紐解くと、そもそも「邪道」とディスられるところから始まっているカレーそば。冷やしぶっかけカレーそばという概念がいつから世に存在するものなのかは定かではないけど、カレー南蛮発明当時に受け入れなかったそばの権威たちは、こんな未来が来るとは想像だにしなかったに違いない。
食も世につれ。かたい敷居がない柔軟さは、立ち食いそば屋の懐の深さとも言えるだろう。時代と共に、カレー屋から立ち食いそば屋へと歩んできた『蓼科』の冷やしぶっかけカレーそばは、夏に食べたくなるカレーそばであった。
・今回紹介した店舗の情報
店名 蓼科(タテシナ)
住所 東京都港区赤坂3-1-16
営業時間 月~金6:30~21:00
定休日 土・日・祝
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼カレーのコクと辛いそばつゆの出会い