
春ですね〜。色んなものが芽吹く時期。桜に菜の花、ふきのとう、タンポポにつくしんぼ――そして、キャベツ。
そう、キャベツ。春キャベツの季節である。毎年この季節になると玉ねぎとキャベツがにわかに持てはやされ始める……が、実際のところ、春キャベツってなんなんスかね?
わざわざ「春キャベツ」と名づけるくらいだから普通のキャベツとは違うのだろう。スーパーでわざわざ普通のキャベツ(冬キャベツ)と分かれて置いてたりするし、その場合値段も微妙に高かったりする。なんとなく食味が冬キャベツと違うよね、みたいな感覚もある。
何者なんだ、春キャベツ。普通のキャベツと具体的にどう違うんだ。君はどう使ってあげれば1番輝けるんだーー。
・比べてみよう
ということで両方買ってきた。
お分かりかと思うが、左が春、右が冬。コイツらそれぞれで同じ料理を作って食べ比べれば、両者の違いと最適な調理法を炙り出せるって寸法である。
今回試してみるのは「生(千切り)」、「炒め(パスタの具)」、「煮込み(ロールキャベツ)」の3種。さっそくいってみよう!
・生(千切り)
第1試合は「生」。手っ取り早く千切りにしよう。食べやすいように内側の柔らかいところを露出させ……
切る!
冬キャベツも切る!
なお紙面の都合上(?)「切る!」の一言で済ませているが、春キャベツの千切りは冬より余裕で面倒である。モッシャモッシャする。柔らかく巻きが緩いぶん、冬キャベツのようにブロックで切り分けることができない。モッシャモッシャ。
・生: 実食
さて、いただいてみよう。左側が春、右側が冬。こうして見ると多少色も違うんだな。春キャベツの方が鮮やかな緑。
冬キャベツはいつもの味だな。トンカツ屋さんが想起される味である。ちょっと歯応えがあるが、これはこれでシャキシャキで美味しい。
さて、春キャベツ。
軽い!
さっき切る時に苦労したモシャモシャがそのまま食感に適用されているのだが、それがまあなんとも軽く心地よく、ドレッシングをかければスナック菓子でも食べているような楽しい歯触り。冬キャベツは冬キャベツで味わいがあるのだが、この軽さ、楽しさは春キャベツならではだな。
・炒め(パスタの具)
続いて第2試合「炒め」。今回はホタルイカと合わせてオイルパスタの具にしよう。春ですね〜〜。
まずこっちは冬キャベツ。これを……
こうして
こうして
こうじゃ。
続いて春キャベツ。これが……
こうなって……
やはり春キャベツは水分が多いからか、火を通すとあっという間にメチャクチャ嵩が減る。だいぶ焦る。
こう。
・炒め: 実食
さて、食べ比べタイムである。まずは冬キャベツを一口。
味の方はまあ、いつものキャベツである。美味い。が、ちょっと全体的に筋の残るジャキッとした食感であることは否めない。あとほんのり青臭いかなって。
続いては春キャベツ。
美味しい! 若い、味が!!!
歯切れよく心地いいシャキシャキ食感。味は主張しすぎないものの、噛むと甘みを含んだ水分が滲み出てくる。春ですね〜〜!
千切りの時はそれぞれ違う良さがあると思ったが、サッと炒めるなら断然春キャベツの勝利かもしれない。強いな、春キャベツ……。
・煮込み(ロールキャベツ)
さて、最後は「煮込み」。キャベツで煮込みといえばロールキャベツですよね。
まず葉を剥ぐ。のちのちロールしないといけないので一枚一枚綺麗に剥がす必要があるのだが、やはり柔らかい春キャベツのほうが破れやすく扱いづらい。
下茹でして
肉だねを包む。ここらへんは春キャベツの柔らかさが功を奏して若干包みやすい気がする。が、冬キャベツの方が葉の形が均一に丸っこいので、肉ダネを包む「皮」としては冬キャベツの方に軍配が上がるかな。
ひたすら包んで……
あとは煮る!
・煮込み: 実食
さて、その後煮込むこと数十分。そろそろいいだろう。
お分かりいただけるだろうか。ちっちゃい方が冬、デカい方が春である。あとやっぱり、長時間スープで煮込んでもより綺麗な緑色を保っているのは春キャベツの方な気がする。
さて、いただこう。
……わっ……かんねえな……。
さすがにこれだけ煮込むとどっちもトロントロンである。
ただし強いて言うなら、意外なことに春キャベツの方が口に残る気がした。柔らかいのだが、柔らかいままの繊維感がずっとあるというか。全然普通に美味しいのだが、わざわざ春キャベツを煮込みに使うメリットもないかな、という気もする。
対して冬キャベツは、生や炒めのときに気になった固さが見事に消え、本当に溶けていく。繊維質の感覚が残らない。青臭さもスープのフレーバーと化して味に深みが出ているし、あと、甘い。これがけっこうびっくりした。マジで甘い。
・結論: 春キャベツは若者
思ったより差が出たな……。
なんといっても明確にわかったのは、春キャベツが強いのは「生に近いとき」であるということ。水分量が多いためそのままで瑞々しくしなやか、クセがなく食べやすい。
ただし、水分量が多くクセがないというのは時に「味に深みが足りない」ということをも意味する。ゆえに、じっくり火を通して味を引き出す調理法ではどうしても冬キャベツに遅れをとってしまうのだろう。
──そう、それはまるで新卒の若者のように。ある程度までは軽く爽やかでそつなくこなすものの、ある程度まで煮詰めると急に頑なになる。最後のひと押しのところで打ち解けてくれない。それは自らの青さ、浅さを知られたくないが故の強がりなのかもしれない──
……はい、というわけで、春キャベツは「若者」であることが判明した。この瑞々しさを味わえるのは今だけなので、見かけたらぜひ買ってみてはいかがだろうか。千切りがおいしいよ!
執筆:砂付近
Photo:Rocketnews24.