
渋谷から田園都市線で1駅の池尻大橋。首都高の眼下にギュッと詰まるような街並みは大都会って感じがする。でも、キラキラしてないところが良い。WANDSの『世界が終るまでは…』の歌詞みたいな街だ。
そんなわけで投げ捨てられた空きカンのように歩いていたところ、Tragedy Nightな立ち食いそば屋があった。欲望だらけの街じゃ夜空の星屑も僕らを灯せない──。まるで店自体がそうつぶやいているかのようではないか。っていうか、これ入っていいの?
・フラッと入っちゃいけないオーラ
入っていいかどうか分からない。店に……というより敷地に。というのも、私有地オーラが凄いのである。
いや、公共のものではない個人や法人が所有する土地は総じて私有地だから、そういう意味ではどの立ち食いそば屋も私有地ではあるんだけど、「私有地につき立ち入り禁止」みたいな雰囲気の場所ってあるやん? 例えば、自分が住んでないアパートの庭とか。
まさに、店があるのは「サンケイグランドハイツ」というマンションの1階。マンションを取り巻く塀とキャスター付きフェンスが住宅感を演出している。その上で塀の向こうの駐車場の一番奥まった隅っこが店となっているのだ。
・都会の隙間
1階に店が入るようなマンションもあると思うけど、そういうマンションってもっと開けてるイメージである。そのプライベートでクローズな雰囲気に立ち入っていいのか迷ったけれど、遠目に「やってます」という立て看板が見えたので入店してみることにした。都会の隙間み。
店内は立ち食いカウンターのみで数人入れる程度のオーソドックスな都市部の立ち食いそば屋スタイル。入口の券売機で食券を購入でき、メニューはかけそばが税込540円で、最も高いそばは「海老/鴨 そば・うどん(税込860円)」だ。
・デカイ
私(中澤)はかき揚そば(税込680円)を注文。選んだ理由は券売機の1番左上のボタンでオススメっぽかったからというだけなのだけど……
そのかき揚げ天は丼を覆いつくすくらいデカかった。
むしろハミ出してるくらい。っていうか、かき揚げ天だけじゃなく丼もデカイ。価格だけ見た時は都市部価格でちょっと高めかと思ったけど、そのガッツリ度を見るとコスパは良いような気がする。
・Catastrophe
つゆは甘辛でコク深い。そのコクの深さにじんわりと温かみが感じられる味。麺はかなり細めでつゆと馴染んで口の中でほどけるような味だ。
かき揚げ天は注文後揚げていたのでサクサク。でも、食べていると、つゆに溶けてトロトロになり、つゆとの一体化が進んだ味がまたウマイ。崩壊系のかき揚げ天はコク深いつゆが似合いのCatastropheである。
フラッと入りにくい立ち食いそば屋は、形(こたえ)を求めてかけがえのない何かを失った時1人で食べたい立ち食いそば屋であった。そんな店の名前は『池尻蕎麦』。幾千の夜と戻らない時だけが輝く人は行ってみてくれ。このTragedy Night──このTragedy Night──
・今回紹介した店舗の情報
店名 池尻蕎麦
住所 東京都世田谷区池尻3-2-3 サンケイグランドハイツ1F
営業時間 月~金7:45~23:00
定休日 土・日・祝日
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
▼サクサクからトロトロへ変貌する巨大かき揚げ天