
誰に頼まれたわけでもないのに今年も食べ歩いたチェーン飲食店のかき氷。チェーン店に限定しているのは、筆者自身が田舎育ちで、都市部によくある「行列必至! ここでしか食べられない独立系かき氷」みたいなものに縁がないからだ。
誰でも、いつでも、思い立ったらすぐ食べられる、それがチェーン店の最大にして最強の魅力。今年のかき氷を、裏話とともに勝手に総括したい。
・たったひとつだけリピートできるなら……
今年、筆者がレポートしたかき氷は
・コメダ珈琲店
・ジョイフル
・ガスト
・ココス
・イオン「おひつごはん四六時中」
の5店舗8種類。
もしこの世からかき氷が消滅することになり、「最後にひとつだけリピートしてよい」と言われたら何を選ぶか。美味しいだけじゃなく、最後まで飽きないか、シロップ不足にならないか、コスパはどうか……
結論からいこう。また食べたいと思ったのは、自分でも意外なのだが……!
ガスト「純氷かき氷 プリンティラミス」だ!
昨年までのシンプル路線から、「誰!?」というくらい違う系統に進化したガストのかき氷。ふわふわの軽~い氷に、大人っぽいマスカルポーネクリーム。パティシエがデザインしたスイーツを食べているような重層的な味わい。マスカルポーネと氷って、想像以上にぴったりマッチする。
オプションが豊富で、フルーツから粒あんまで自由にトッピングできるのもユニークだった。コーヒーシロップ×パチパチアメのような、奇抜な組み合わせもOK。
ただし、いかんせんボリュームが少なかった。身体が冷えやすい筆者でさえそう感じるのだから、酷暑の屋外から入店したばかりの人などには、本当に少なかったのではないかと思う。
食べ足りなかったぶん、もう一度最初から確認したいと思ってしまう。……はっ、まんまと相手の術中にはまっている!?
ちなみに唯一無二の独自性を評価するなら、断トツでココスの「純氷ふわふわかき氷 チョコミン党」(現在は終売)だ。
鼻から脳天まで刺激が走り抜けるような「スーパースースーソース」が破壊的だった。数か月が経った今でも味が甦ってくるほど強烈なインパクト。もはや「美味しいか、美味しくないか」という次元を超越していた。
空気を吸うたびにスースーし、味なんてわからなくなった舌に、じゅわりと染み込むふわふわ氷。同時に販売されていたパフェに比べると、さっぱりしていくぶん食べやすかったが、それでも忘れられない体験となった。チョコミン党、恐るべし……。
国民的駄菓子「クッピーラムネ」とコラボしたコメダ珈琲店は、安定のボリューム感。食べ足りないとは決して言わせない、同店の矜持(きょうじ)が伝わってくる。屋外の暑さから逃れて震え上がる体験をしたいなら、コメダ一択。
・とある店舗での番外エピソード
ひとつ裏話。パフェ、かき氷、デザートプレートのようなメニューは、慣れるまで盛り付けが大変だと思う。グルメ系のかき氷は食材も多いし、どれくらいの高さまで氷を盛るかとか、別添えソースの有無とか、気を配ることがたくさんある。
ある店で新商品を食べたときのこと。「寒い寒い」と言いながらも美味しくごちそうさまをし、帰宅後に写真を見返した筆者はつぶやいた。
「あれ……? メニュー写真と違くない???」
慌ててSNSを検索すると、やっぱり筆者の食べたものはみんなと違う。よく見ると盛り付けの形が個性的だし、いくつかの食材は代替品になっているように見える。例えるなら、メニューにミカンと書いてあるのにリンゴを使っているような。
厨房で芸術的オリジナリティが発揮された!? いやいや、チェーン店に「世間と同じ色に染まりたくない」的な個性はいらんよ? どこで食べても安定して同じ体験ができるっちゅうことが大事なのよ!?
ここで「リンゴ美味し~い!」と書いてしまったら、読者が同チェーンを訪れたときに嘘になってしまう。数日後、筆者は別の店舗を訪ね、まったく同じ商品をもう一度食べたのだった。今度はメニュー写真と同じものが出てきた。ふぅ……
・また来年を楽しみに
そんなこんなで、今年も夏が終わりそうだ。なお、多くのチェーンで記事作成日現在もかき氷メニューを販売中。とはいえ、確実に終売に向けて歩みを進めている。また来年、どんなメニューが登場するか楽しみだ。
パフェのようなトッピング盛りだくさんのメニューもいいけれど、原点回帰でシロップの美味しさを追求しました、みたいなのもいいなぁ!
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.