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【市場メシ】高級ブランドマグロ「ひがしもの」を山にした『マイ海鮮丼』! 塩釜水産物仲卸市場の至宝

2024年10月24日

「産地直送の新鮮なものが安く買える」という本来の価値から離れ、しばしば観光スポット化しがちな市場。観光地になるのが悪いのではなく、「高くても不味くても、どうせ一度しか来ない観光客」相手の商売になることが失望の大きな要因だ。

しかし地方には、まだまだ「知る人ぞ知る市場メシ」が存在する。宮城県の塩釜水産物仲卸市場では、場内で買った具材を自由に組み合わせて「マイ海鮮丼」を作ることができる。そこで食べたブランドマグロ「ひがしもの」の話を聞いて欲しい。


・塩釜水産物仲卸市場の「マイ海鮮丼」

仙台市から車で約30分、塩竈(しおがま)市にある塩釜水産物仲卸市場。早朝からオープンし、昼には閉店となる仲卸スタイルながら、一般向けの小売りにも力を入れているという。

倉庫のような場内に一歩足を踏み入れると、素朴な魚市場の風景が広がる。各ブロックを「○号売場」と呼んでいるのも、いかにも業務用という感じがして雰囲気がある。

ここでの「マイ海鮮丼」は、各店舗で先に具材を買ってから、最後に白米を購入するスタイル。魚介は「ひときれ」や「ひとくち」という売り方でなく、パック売りが多いので、数人でシェアするのがおすすめだという。

ふと足が止まったのが「丸久米 東一商店」だ。店頭で「ひがしもの」の試食を行っていた。


筆者も知らなかったのだが「三陸塩竈ひがしもの」というのは厳しい基準をクリアした高級ブランドマグロ。9月~12月の季節限定で水揚げされるメバチマグロで、市場内でも取り扱いは一部の店舗。市場公式サイトに認可店の一覧がある。


おかみさんによると「心臓」が大切な目印。店頭に心臓があるのは地元で水揚げ・解体された証拠で、輸入品などのまがい物と区別できるんだそう。

試食を口にしたら、すごく味が濃くて美味しい! ほかにもご主人の出身地の話や、マグロはみな地元で流通する前に東京に流れてしまうことなど聞いていたら、どうにも気分が盛り上がり、もう絶対に「ひがしもの」を食べなきゃ死ぬに死ねないという気になってきた。

「マイ海鮮丼」にしてすぐに食べたい。しかし売場には「大トロさく」「中トロさく」など大パックしかなく、どうしたものか……


……と思っていたら、特別に切り分けていただけた!


もちろん入荷状況や混雑状況により対応は異なる。いつでも同じサービスを行っているとは限らないためご了承いただきたいが、売り手と買い手とのコミュニケーションを楽しめるのも市場の魅力。赤身や中トロなどバランスよく混ぜて、破格の税込3000円!



・「マイ海鮮丼」コーナーへ

あとは6号売場の「マイ海鮮丼」コーナーに直行し、「ごはんセット」(並400円~)を購入する。


基本の「ごはんセット」は白米&味噌汁だが、追加料金で「写真映えセット」や「すし酢」「ワサビ」も販売。「写真映えセット」は大葉・ガリ・玉子焼きがついて、その名のとおり写真映えするようになる。SNS時代をわかってらっしゃる。


イートインコーナーで席を確保したら、ずっしりと重いパックを開封する。心のままに盛り付けよう。刺身が生ぬるくならないよう、手早く載せていく。最後に「写真映えセット」を使って……


おぉ……カラーバランスに気を配ったつもりが「玉子が主役」みたいになってしまった……どうして私はこんなに盛り付けが下手なんだ……釧路和商市場の二の舞だ……


こうか? これで正解か?

もういい、パックから直接食べたって誰が文句をいうわけでもなし! いただきます。


分厚い切り身は、食べ応え抜群。身が締まって、濃厚さや力強さが感じられる。

しっとりとジューシーだが、水っぽさは皆無。口の中にじわりと旨みが染み出す。醤油なんて要らないくらいだ。


中トロはほんのりと甘く、適度なコクがある。筆者は普段トロの脂っぽさが苦手で、寿司屋などでも赤身オンリーなのだが、鮮度が高いせいか「しつこさ」や「くどさ」がまったくない。旨みだけが、ギュッと凝縮されている。う~~~ん、これは美味しい! 和食処のような美しい盛り付けは叶わなかったが、なんという贅沢だ!


しかも、切れ端を含めてたっぷり詰めてもらったパックで、飲食店の海鮮丼などより遥かにボリュームがある。同じものを店で食べたら、いくらかかるかわからない。貴重な旬のものを食べられたという喜びも加わって、旨さ倍増!


奇をてらわない素朴な味噌汁も大変いい。最奥に位置する6号売場で最後にごはんを買うシステムも合理的で、温かいものは温かいまま食べられる。



・海鮮丼だけでなくBBQや定食も!

今回はメバチマグロの「一色丼」にしてしまったが、小売りされている色とりどりの具材で海鮮丼を作ることも可能。

購入した魚介を厨房で焼いてくれるサービス(1尾200円~)のほか、場外バーベキューコーナー(大人500円 / 小学生300円)もある。

食材専門店があるわけではなく、小売りや量り売りをしてくれる店が場内に点在している。「マイ海鮮丼」「マイBBQ」のポップが目印だ。


さらに、ウナギや焼き魚定食などを出す飲食店も並ぶ。これだけ食のバリエーション豊かだと、何を食べようか迷ってしまう。


なお、昼が近づくにつれイートインコーナーは満員御礼。席を探すのが大変なくらい混雑してきた。このエリアには何度も訪れているが、こんな名グルメスポットがあるとは知らなかった。

一大観光地の松島からは少しだけ離れるが、回り道してでも寄りたい場所だ。次に行ったら何を食べよう、と想像が止まらない。


・今回ご紹介した施設の詳細データ

名称 塩釜水産物仲卸市場
住所 宮城県塩竈市新浜町一丁目20番74号

時間 火・木・金 6:00~13:00/土・日・月・祝 6:00~14:00(店舗により異なる)
休日 水曜日

執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

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