みんな大好きビッグカツ。子どもでも買える駄菓子なのに、しっかり「夕飯」の味がする不思議な食べ物。
好きなときに好きなだけトンカツをむさぼれるなんて、親に内緒で食事をしているような、大人の仲間入りをしたような、ちょっといい気になったものだ。
そんなビッグカツを “自分で作れるキット” があるという。数十年のときを超え、自ら手を動かして初めて気づく真実がそこにはあった……
・株式会社すぐる「ビッグカツの肉」(税込700円)
過去にも販売され、好評だったために改良を加えて再販が決まったという「ビッグカツの肉」。オンラインストア限定、数量限定で販売中だ。
届いたキットには実物のビッグカツも入っていた。これは予想外で嬉しいサプライズプレゼントだ! で、肝心の材料は……
いったんもめん……?
これ、これなのか? この紙のようなカサカサしたモノがビッグカツの肉? そもそも肉なのか???
開封すると、周囲に美味しそうな魚の匂いが広がった。「さきイカ」とか「あたりめ」とか、そんな酒のあての匂いがする!
お前、魚だったのか……!
おまけにシートは加熱済みで、「そのままでも食べられます」と書いてある。いったんもめんなのに。ますます生態不明だ。
かじってみると、ほどよい歯ごたえがあり、細かく裂いたらそのまま乾き物として通用しそうなほど深い滋味があった。美味い。
シートはキッチンバサミで簡単にカットできる。短冊状に切れば本物のビッグカツと同じになりそうだ。
さらに星形やハート形など、好きな形にカットして遊べる。子どもと一緒に作るのも楽しそう。
複雑な形を切り出すには下書きがあったほうがいい。オブラートアートに使うような食紅があればよかったのだが、あいにくキャラ弁とは縁がない。
タブレットにクッキングシートを重ねて図案を転写してみた。一応、衛生面を考えてタブレットはラップでコーティングしてみたのだが、ペンは普段使いの油性ペンなのでまったく意味がない。食品の安全を考えるなら真似は非推奨だ。
生地にクッキングシートを重ねて包丁で切る……
……のはさすがに不可能だったので、図案をあてつつキッチンバサミで切ることにした。
「抜き」になるところがちょっと難しかったけれど、生地は簡単に二つ折りにできるので、慎重にハサミを入れる。
作業手順は同封の説明書で丁寧に解説されているし、動画もある。指示に従ってバッター液とパン粉を用意した。
あとは油で揚げ焼きにする。前述のとおり肉は加熱不要なので、衣に色づいたらすぐに出来上がりだ。火の通りを気にしなくていいから失敗知らず。
面積の広いものは反り返りやすいので、箸などで押さえることが推奨されていた。フラットに揚げるのはなかなか難しい。
完成! 実物とは違う気がしないでもないが、こんがりと色よく揚がった。
・実物とは似て非なるものが誕生
うーむ、思ったよりも巨大にできてしまった。おまけに自作のほうはキメが粗いし、色ムラもひどいな。
けれど、食べてみるとサクッと軽やか!
本物のビッグカツが、スルメのようにいつまでも噛み続けられる弾力と耐久性があるのに対し、自作のものは料理のカツに近い。サクッ、サクッと噛み切れる。すでに下味があるので、タレもトッピングも不要でどんどん食べられる。
それでいて魚介の風味が強く感じられる。言葉を選ばず言えば「魚くさい」から、熱々のうちは美味しいが、冷めたら少し気になるかもしれない。
まさにフィッシュカツといった味で、トンカツやハムカツとは明らかに違う。どう考えても間違えようがないのだが……
改めて実物を食べてみてわかった。本物のビッグカツははっきりしたソース味が魚介の匂いをマスクし、同時にトンカツっぽい印象を与える。
「ハムカツ」や「みそカツ」も、さまざまなシーズニングで「本物っぽさ」を巧みに演出している。味噌風味シーズニング、フライドチキン風味シーズニング、ベーコン風味シーズニングなど、多種多様な調味料が使われていた。
パッケージ写真の視覚効果と相まって、脳が完全に「肉だ!」と思い込む。もし絶海の孤島に持って行くならこういうのだな!
今も昔もビッグカツは、子どもたちの「カツ食ったぜ~」という満足感を支えている。手作り「ビッグカツの肉」は期間・数量限定だが記事執筆日現在では購入可能。
簡単に作れて、おかずにもなる面白キット。楽しいからぜひ!
参考リンク:SUGURU’S SHOP
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.