間違えた~! 代官山に行くはずは代官山に来ちまったよ! どうすんだコレ!? ……いや待てよ、代官山を目指して代官山に来たんだからいいのか? いや良くねえ! 渋谷区代官山町に来るはずが、昭島市の代官山に来ちゃったんだもの。どうすんだコレ! 誰かなんとかしてくれ~~ッ!!
……と間違えたフリをして、昭島の代官山に来ました。2024年8月1日からJR昭島駅の北側一帯は住所地名が変更され、「代官山1~3丁目」になっている。これはきっと、間違える人が出てくるに違いない! そう見越した私(佐藤)は先回りして、間違えたフリをして両方を訪ねた。そうしたところ、どちらの良いところも体感できて、めちゃくちゃ楽しかったぞ!
・住所地名変更で「代官山」に
昭島市は8月1日、公式ページで次のように伝えている。
「令和6年8月1日から、住居表示の実施によって昭島駅北側地区の住所が変更となりました。」
公開している資料「住居表示旧新・新旧対照表」によると、田中町と拝島町が代官山1~3丁目に変更になったようだ。変更の対象になった地域の詳しい情報は、昭島市の資料(PDF)を確認頂きたい。
・広範囲が代官山化
新しく誕生した代官山がどんな街かを見るために、JR昭島駅にやってきた。駅の名前までは変わっていない。よかった、これで駅名まで「代官山」に変わってしまったら、青梅と青海よりもややこしくなってしまう。
駅前のタウンマップを見ると、この地域がキレイに分けられていることがわかる。東側には居住地域の「つつじが丘ハイツ」があり、中央には「モリタウン」や「カインズ」をはじめとする商業エリア。その北側には広大なテニスガーデンもある。北側の半分は「ホテル フォレスト・イン 昭和館」とゴルフ場。そして西側は工場地域になっている。
で、どの辺りが代官山になったかというと、中央のこの区画だ。駅北側のほとんど全部が代官山になったといっても良いかも。
「代官山町」の由来について、市は「拝島町の小字(こあざ:小区画を指す)となっていることから緑地や交差点の名前に使用されており、室町時代に扇谷上杉氏の代官が館を構えていたと語り継がれていることに由来します」としている。
・アウトドアビレッジ
さて駅を出たらすぐに、大型商業施設の「モリタウン」があってイトーヨーカドーが入っている。これだけで、住みやすそうな街という印象を受ける。
住所地名を変えたということは、街区の表示版も変わったはず。昨日(8/1)の今日だが、最寄の電柱を見ると……、もう「代官山」になってる~! 関係ないけど、郵便局の方々は代官山が馴染むまで、お仕事が大変そうだなあ……。
少し行くと、モリタウンの仲間の施設「アウトドアビレッジ」にたどり着いた。先ほど挙げたフォレスト・イン昭和館もテニスガーデンも全部仲間。この辺一体の施設は「昭和飛行機都市開発株式会社」が運営を行っている。
この施設がまたスゴイ。コールマンやチャムス、ザ・ノース・フェイス、スノーピーク、モンベル、コロンビアなどなど、有名アウトドアブランドが集結しているのである。ここ1カ所でアウトドア用品は全部足りてしまうな。
あちこちにテントが立っていて、現物を見ながら品定めできる。
15メートル? 20メートル? すごい高さのクライミングウォールまであって、おったまげたよ~!
ノース・フェイスのお店に立ち寄ってみよう。というのは、このお店、ヨソにはない特徴があってね。
カフェを併設しているのです。飲食部門があるなんて知らなかったなあ。
ここで「チョコレートソフトクリーム」(税込440円)を食べちゃいました。使っているのは「TOMIスジャータシルクアイス」、ソフトよりも溶けにくく、アイスよりも滑らかなのが特徴。ソフトとアイスの良いところを合わせたスイーツだ。
・フォレスト・イン 昭和館
のんびりしている場合じゃない、先を急ごう。アウトドアビレッジ出てすぐの交差点を見ると「昭島代官山」になっている。ここも昨日のうちに変わったらしい。
この辺のローカル情報を伝える「立川市・昭島市号外ネット」によると、8月1日午前0時15分頃には、すでにコレになっていたそうだ。その時間に確認にいった記者はスゴイ! その熱意に脱帽、私も見習わなければ! と思いました。
さて、フォレスト・イン 昭和館を目指して歩いていると、「新昭和通」の石碑を見つけた。この道は、ホテルの建設に合わせて、昭和飛行機都市開発が全額負担して昭島市に寄贈したとのことだ。道路を寄贈って、この会社の地域貢献はハンパない!
その横に、回り続ける石が……。どうやって回ってるのコレ? その原理は不明だが、思わず見入ってしまった。
そしてフォレスト・インに到着。立派なホテルですな~。
地上10階建て、レストランや会議室、スパを備えており、中庭にはチャペルまである。
さらに、その奥には「昭島・昭和の森 武藤順九彫刻園」もある。彫刻園は入場無料、フォレスト・インから入ることができる。ちょっと歩いてみたけど、虫が寄ってくるので、もう少し涼しくなってから足を踏み入れた方が良いかも。虫よけはマストだ。
・一般利用も可能なランチビュッフェ
ここに来たのはランチのため。庭園に面したオープンキッチンのレストラン「セントロ」は、宿泊者以外の一般利用も可能だ。ランチはビュッフェ形式である。
価格は税込3800円。冷菜・温菜・ご飯・パン・パスタ・ピザなどひと通り揃っており、ホテルビュッフェの定番のローストビーフもあるぞ。もちろん、ソフトドリンクは飲み放題だ。
本日の私のラインナップはこちら。盛り付けはイマイチだけど、味はかなりしっかりしている。
ウェディングをやるホテルなので、レストランの実力はかなり高いはず。着席で大人数の食事を提供するには、それなりの設備とそれを仕切れるシェフの存在が欠かせないからだ。逆にいえば、ウェディングをしないホテルの料理は推して知るべしである。
最後に軽くデザートを食べて、ランチビュッフェ終了。ここで食べすぎると、あとでほかのお店に寄れなくなっちゃうからね。ほどほどということで……。
・なんでもある
それにしても、この周辺の商業施設の充実っぷりはスゴイな。住所地としては代官山から外れるけど、通りの向こうには巨大な「カインズ」がある。
その先には、「ケーズデンキ」があって「はま寿司」があって、その向こうには「ビッグボーイ」も。
モリタウンの手前には「スポーツデポ」も「ニトリ」もあるよ。モリタウン1つでも十分なのに、これほどまでに大型店舗が立ち並んでいるとは。買えないものはないんじゃないの?
“新” 代官山はかなり魅力的だ。ひょっとすると、渋谷・代官山に匹敵するレベルかも。もしかしたら、渋谷よりも上か? 実際のところどうなのか、渋谷・代官山に行ってたしかめよう。
・旧朝倉家住宅
JR中央線で新宿に出て、そこから副都心線・東急東横線で代官山駅にたどり着いた。古くから知られている方の代官山である。
一般的に「代官山」と言われている地域はかなり広く、渋谷の東の一部(猿楽町)や目黒の一部(上目黒・中目黒)の方までが含まれている。本当の代官山はとても狭く、東横線と八幡通りの間の細長い区画である。
1980年代のバブル期にオシャレな街としてもてはやされた頃に、代官山を示す地域が広がったようだ。
最初に訪ねたのは、重要文化財の「旧朝倉家住宅」である。東京府議会議長・渋谷区議会議長を歴任した朝倉虎治郎が大正8年(1919年)に建てた古い日本式の家屋で、平成16年に重要文化財に指定されている。
この施設は撮影可能なのだが、いくつか注意点がある。商用の場合は別途申請が必要。商用・個人を問わず、ポートレート撮影や物品撮影はNGとなっているので注意。それから家屋に入る際は靴下を着用しなければならない。
観覧料100円を払って入場し、家屋の中へ。大変立派な家屋で欄間や床の間の設(しつら)えが素晴らしかった。階段を昇ると踏板がギシリギシリときしみ、建造から100年という時の長さを感じられる。
また窓からのぞむ庭園が美しく、紅葉の時季は見応えがあるに違いない。それが100円で見られるとは。代官山でカフェ巡りも良いけど、旧朝倉家もいいぞ。買い物ついでに立ち寄って欲しい場所だ。
・試食専門店
そこから「代官山 蔦屋書店」へと足をのばしてみる。このお店は当編集部が今年3月に「サブカル市2024」で出店した場所だ。
私も何度か来たことがあるけど、最近書籍にそこまで関心がないので、サラッと回って出てしまった。その後、偶然興味深いお店に通りがかった。店前に「食のショールーム」と書かれている。食のショールームだと!?
このお店、「試食専門店 メグダイ」はすべて無料で試食できる店なんだって~! ナニコレ面白い!!
店内には全国各地の名産品が並んでいる。取り寄せ系のお店ではよくある光景なのだが、利用方法がちょっと特殊だ。
商品には試食カードが添えられていて、試食したい場合はそのカードを取ってお店の人に渡す。すると、試食品を提供されるのだ。ただ、食べて終わりではないのだが。
私が選んだのは、株式会社伝風堂の「チョコ羊羹風流 月風・オレンジ」。ひと口サイズで出てきた。まあ、試食はこれくらいでいいよね。
で、食べるとアンケートに答えなければならない。味や価格、パッケージデザインなどについて書き記す。
つまりメーカーは試食品を提供し、その見返りにアンケートの回答を得るのだ。それで商品開発やマーケティング、プロモーションに役立つ情報を得られるというわけ。
ちなみにお店に在庫があれば、試食した商品を購入することもできる。チョコ羊羹はお店に在庫がなかったので、試食カードを持ち帰ることになった。記載されたQRコードを読み込むと、メーカーのサイトに飛ぶので、そこで直接購入することも可能。
試食専門店って発想が面白いね。食べると「買わなきゃ」って気持ちになるけど、アンケートとセットなら答えることでその義務感を覚えずに済む。
・かき氷と銭湯
シメにかき氷を食べて帰ろう。試食専門店のすぐ裏にある居酒屋の「代官山のんき」は、昼だけかき氷を提供している。夏季限定で信州の人気店「中町氷菓店」とコラボレーションしているそうだ。
注文したのは、「濃厚ピスタチオ × 赤い実の誘惑」(税込2000円)。
南アルプス・八ヶ岳の天然氷に、2種のソースがたっぷりとかかっていて、ピスタチオのコクと木苺の酸味を楽しめる。
木苺のソースの方がたくさんかかっているように見えるけど、味は断然ピスタチオの方が強い。食べている間中、ずっとピスタチオの味と香りで口中は満たされていた。
2つの代官山に満足して、渋谷駅まで歩こうとしたところ、偶然銭湯を発見! 代官山から渋谷方面に少し歩いたところで、風呂に出くわすとは。こりゃ入って行くしかねえ!
と思いきや、今日は定休日だった。残念……。ここで入れていたら、代官山を締めくくるのにちょうど良かったけど、こればっかりは仕方ないな。
そんなわけで、昭島と渋谷の代官山をそれぞれ訪ねて、どちらも魅力的な街だとわかった。昭島はアウトドアを中心に郊外の大型店舗を楽しむのにいい。渋谷の方は小道をめぐって、知られざるお店を探ると楽しいだろう。それぞれに良さがあるので、みんなも代官山へ行こう~!
参考リンク:昭島市[1,2]、号外ネット、アウトドアビレッジ、フォレスト・イン 昭和館、モリタウン、渋谷区、試食専門店「メグダイ」、のんき
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
Screenshot:GoogleMaps
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