毎年この時期、飲食チェーンの夏メニューとして各所で発表される「かき氷」。
とりわけ6月中から提供が始まるコメダ珈琲店のかき氷は、シーズンスタートを感じさせる日本の夏の風物詩と呼んでもよい。
もちろん筆者も楽しみにしていたのだが、今年のラインナップには一抹の不安があった。なかなか執筆に取りかからずウダウダしている最中、読者リクエストをいただいた(ありがとうございます!)
筆者に二の足を踏ませた今年のコメダのかき氷とは……
・今年の新フレーバーは?
今年のラインナップは4種類。定番メニューとして「宇治抹茶氷」「いちご氷」が並び、通常サイズとミニサイズがあるのは例年と同様。
いずれも練乳、ソフトクリーム、小倉あんのトッピングができる。店舗別価格を採用しており、地域によって価格が異なる。
そして2024年、期待の新フレーバーは「ブルーハワイ氷」と「レモン氷」。
……レモンとブルーハワイ?
もちろんこれまでも前述の「いちご」や「宇治抹茶」のような定番品はあったのだが、シーズナルフレーバーとして、例年さまざまなフルーツやドリンクが新登場してきた。
たとえば2020年から2022年にかけて登場したミックスベリー、キウイ、白桃、ラ・フランス、ぶどう、アロエマスカット、フルーツミックスなどなど。
どれもシロップだけ飲んでも美味しいようなジューシーさで、まさに「喫茶店のフルーツジュース」を体現。
さらに2022年のキャラメルオーレは濃厚系、2023年のジャスミンティー、クラフトコーラは甘さをおさえた新機軸の大人向けフレーバーだった。
ところが今年はレモンとブルーハワイ。祭りの屋台でも見かける定番フレーバーで、「コメダならでは」のスペシャル感がどうも……? ともかく頼んでみよう。
・レモン氷(税込620円~680円)
圧倒的なボリューム感は健在!
目をこらすと白い冷気が出ているのがわかるほどキンッキンに冷えている器。最後まで氷が冷たく保たれ、これでもかと涼感を演出している。
氷は空気を含んだふわっふわの食感で、食べているうちに小さくなっていく。身体の冷えさえ大丈夫なら、食後の胸焼けなどはまったく心配ない。
シロップには「レモン果汁は含まれておりません」とのことで、果実感を追求したリアル系ではなく、甘く華やかなフレーバー。なので練乳がぴったり合う。
ピューレや果肉がプラスされているということもないので、ソフトクリームトッピングなどで、がっつり甘くして食べたい。
うん、普通に美味しい。
そう、普通に美味しいかき氷だ。
家族全員から反対されても夢を追いかけるんだという青春の無鉄砲さや、お前さえ愛してくれるなら誰も理解してくれなくて構わないといった尖った個性はない。
お前……なんだか丸くなっちまって……
「美味しい」ということだけで本当はすごいのだけれど、どうやら筆者は感覚が麻痺し、独創性の爆発を求めすぎていたようだ。「レモン氷」はスタンダードに美味しいかき氷だった。
欲をいうなら、輪切りレモンやハチミツなど、もうひとつアクセントがあってもよかったかも……というところ。「○○でしか食べられない」「また食べたい」と思わせる個性だ。
・ブルーハワイ氷(税込680円~740円)
原点に帰って、別途「ブルーハワイ氷」も頼んでみた。こちらはミニサイズ。
フレーバーごとに価格が異なるのだが、ブルーハワイ・宇治抹茶>レモン>いちごの順になっている。トッピングは別途なので、単純にシロップ分ということになるのだろうが、ブルーハワイが上位に来ているのが気になる。
先入観のないまっさらな味覚で食べてみると……
これは美味しい!
爽やかなソーダ味で、練乳ともマッチ。ただ甘いだけの市販のシロップとは違う奥深さがあり、「飲み物として美味しい」というコメダスピリットが感じられる。もちろん縁日のブルーハワイとは似て非なるものだ。
個人的にはレモンよりも圧倒的に美味しいと思った。なんとなく「フルーツの方が本格志向」という感じがして優先度が下がってしまうブルーハワイだったが、今年はこっちだ!
・ハイレベルなことに違いはない
全体的に「定番フレーバーが高いレベルでまとまっている」という印象で、奇抜さはないけれど、普通に美味しいかき氷が食べられる。
かき氷は2024年8月下旬頃までの販売予定で、店舗により異なる。
もちろん飲食店には方針や戦略があるはずで、プッシュしていくメニューと、そうでないメニューがある。来年はこのままシンプル路線で行くのか、はたまた新フレーバー開発に注力してくれるのか、ゴーラーとしてドキドキしながら見届けたい。
参考リンク:コメダ珈琲店
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.