私(佐藤)は全然知らなかったんだけど、驚安の殿堂「ドン・キホーテ」は昨年11月から弁当総菜の新ブランドを立ち上げていた。「みんなの75点より誰かの120点」をコンセプトにした、その名も「偏愛めし」である。
その偏り方は尋常ではない! ドンキらしさ全開のぶっ飛んだ商品だった。それでこそドンキ! あまたのスベリ商品を生み出して、ついにドンキの強みを生かしたブランドを作り出したようだ。
・ドンキらしい弁当総菜
以前からドンキが弁当を販売していたのは知っていたが、私は1度も買ったことがない。というのも、取り立てて特徴がないうえに、それほど安いわけでもないからだ。ドンキで弁当を買う理由がなかった。
最近になって、ふと東京・荻窪のお店に立ち寄って弁当総菜コーナーを覗いてみると、いままでにない商品が棚を埋めていたのである。
ド! 弁当にド! 自社ブランド商品を象徴するド! だ。ドンキには缶詰や菓子類、調味料などすでに多数食品が存在しているけど、自社ブランドの弁当は少し前までなかったよな。ついに弁当の商品開発までするようなったのか。
あとから調べたところ、2023年3月より総菜・外食企業「カネ美食品株式会社」と業務提携を結び、11月1日から「偏愛めし」の販売を開始したとのことだった。
・名前も見た目もインパクト絶大
並んだ商品はいずれもインパクトの強いものばかり。メシを食った後だったのに思わず買ってしまったよ。後日、別のお店でも偏愛めしの弁当を買ったので、それら4品を紹介したい。まずはこの2つ。
■「うまい豚カツ × うまい焼きそば = めっちゃうまい 緻密な方程式から生まれたカロリーハトモダチおにぎり」(税込322円)
緻密な方程式っていうけど、そうじゃないでしょ。コレとコレを足したら最高! って言ってるくらい短絡的だ。だが、それがイイ!! その方程式通りに、おにぎりから焼きそばがはみ出している。
おにぎり・焼きそば・豚カツの三位一体、これ1個で熱量は580kcalもある。「カロリーは友達」、その言葉に偽りのない一品だ。
■「市販の弁当は肉が薄すぎるっ!! 米よりとにかく肉が食べたい!! 欲望のままに作った厚切りロースのピラミッ丼」(税込646円)
商品に込めた思いがパッケージの文字からあふれだしている。なかば怒りにも近い感情すらうかがえるじゃないか。その気持ちをそのまま容器に詰め込んだのが、この丼である。
一般的な肉丼の場合、大抵はご飯の方が量が多い。だが、この丼は五分五分、いや肉の方が多いかもしれない。厚切り豚ロースが12~3切れ入っていて、凄まじい肉感だ。いうまでもなく、食い甲斐バツグンである。
別のお店で買ったのはこちらの2つ。
■「ソースが染みたジューシィなころもで白メシをかきこみたい! そのためにとにかくソースが染み込むしっとりぶ厚いころもを追求 チキンは脇役 ころもが主役のチキンカツ弁当」(税込538円)
もはや商品説明の前置きがポエムのように長くなってしまっている。それだけチキンカツの衣に熱い情熱を注いでいる証だろう。実際、チキンカツが白飯の量を上回っている。
普通の弁当なら漬物でも入るゾーンにまでチキンカツ。
で、実際に食べてみると、たしかにシミシミの衣ではあるけど、かえって衣の良さがなくなってしまっているような……。好みの問題だろうけど、私はどちらかいえば多少なりともサクっとしている方が好きだ。これでは衣はやっぱり脇役のままな気が……。
■「背脂は極上のうま味調味料でしょ! 溶け出す背脂で旨さ倍増! 国産背脂じゅわっと牛カルビ重」(税込538円)
牛カルビですらそれなりのカロリーを有するというのに、その上に背脂を乗っけてしまうとは。ヤケになっているとしか思えない商品だ。レンチン前ですら、かなりのニオイを放っているが……。
レンチン後はニオイ倍増! 職場で食べるのを、ためらうレベルである。
背脂にはねぎ塩・ニンニクなども絡めてあって、見た目ほど味は重くない。だが、しっかりカロリーの味がしている。
私も50歳になって、昔ほどこの手のパワーメシを食べることができなくなったが、偏愛めしは歓迎する。どうせドンキが作るのなら、このくらい思い切ってくれてる方がいい。
見た目も味も商品名も重苦しいけど、振り切っている感じはむしろ清々しい。その調子で、ドンキらしさ全開の商品をドンドン出してほしい!
参考リンク:ドン・キホーテ「偏愛めし」、カネ美食品株式会社
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24