利用者数日本一のサービスエリア海老名SA。私(中澤)自身、東名高速を使う時にここに寄らなかったことがほぼない。なにせ広くて色んな設備が整っているので、本格出発前の一服でも、旅の終わりの余韻でも寄りたくなるのである。
そんな海老名SA下りで目立ちまくっているのが「世界一のアップルパイ」という垂れ幕だ。SAに入った直後の道沿いに門番のように佇むこの店。駐車場にたどり着く前のため、海老名SA下りを利用する人はほぼ目にするのではないだろうか。しかし、世界一って大きく出たな。
・この小屋に世界一が?
さらに驚くのは店自体はこじんまりとしていること。ほぼ小屋で、SA本体の建物からも離れたところにあるため、どこか寂しさすら感じられた。その寂しさには野菜の無人販売に似たオーラすら漂っている。本当にここに世界一のアップルパイがあるのだろうか。
入ってみたところ、ちゃんと店員さんはいた。内装は木目が出たログハウスみたいなデザインで、メニューはアップルパイとキャラメルパイ。ログハウスでパイ販売ってシルバニアファミリーみたいな世界観だ。子供の頃、森の小さなお家に憧れた者としてはどことなくファンシーさを感じずにはいられない。
・アップルパイを食べてみた
さて置き、アップルパイは1ピース税込450円でセットも販売されている。セットは、4ピース(税込1700円)、8ピース(税込3400円)、12ピース(税込5100円)と4種類。
世界一を掲げるくらいだから、食べてみたらやはり圧巻のウマさなのだろうか? アップルパイの世界一って何が違うのか想像がつかない。特にマニアでもないため違いが分かるのか不安ではあるが、1ピースを購入して食べてみたところ……
パイ生地はサクサクで香ばしくリンゴがゴロゴロだ。煮リンゴでもザックリとした食感まで伝わってくるくらいのボリュームはさすがと言える。そこから染み出す爽やかな甘みはまさにアップルパイ。この辺はこだわりのアップルパイと聞いたら想像するような王道の良さがある。
・想像を超えてきたもの
一方で、想像を超えてきたのはひと口食べるごとにあふれ出さんばかりのクリーム。そう、このアップルパイにはクリームが入っている。そのクリームが非常になめらかかつまろやかで、量だけではなく甘みにも重さを加えているのだ。
ゆえに、食べごたえもアップルパイと思えないほどガッツリしている。むしろ、このクリームがガチでウマイ。ちなみに、店内に貼られていた解説によると、このクリームの正体は豆乳クリームチーズと特製カスタードクリームなのだそうな。
・店員さんに聞いてみた
「やっぱり世界一はちょっと違うのかな」と思った反面、一番の感動がクリームだったことに反則的な何かも感じる。そこで素朴な疑問が芽生えた。このアップルパイは何を根拠に「世界一」と言っているのか? 食べたらより気になり始めたので店員さんに聞いてみたところ……
店員さん「アップルパイの作り方を、鎌倉で店を開いていたシェフのマルコ・パオロ・モリナーリさんに教わったんですが、この方が様々な世界大会で優勝しているシェフなんですね。そのマルコさんの直伝なので、世界一のアップルパイと言わせてもらってます」
──へー! その店も行ってみたい。マルコさんは今も鎌倉で店をやってるんですか?
店員さん「いえ、今は故郷に帰られています」
──とのこと。このアップルパイの味はレアな出会いだったのかもしれない。
そんな店の名前は『mille mele(ミレメーレ)』。店員さんによると本店は鎌倉にあるという。言われてみたら鎌倉っぽい洒落っ気のあるスイーツだと思ったのだが、公式サイトの店舗一覧を見ると浅草とか軽井沢にも展開されていた。
観光地のテンションで買っても一定の満足度の高さがあるボリュームと味なので、見かけたら食べてみるのもいいだろう。事実、旅の思い出としては後悔がない味でした。
・今回紹介した店舗の情報
店名 mille mele海老名SA下り店
住所 神奈川県海老名市大谷南5-2-1
営業時間 9:00~16:00
定休日 無休
参考リンク:mille mele
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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