近年は低糖質ダイエットの影響で、ご飯(米)を食べるのを控えている人もいるだろう。私(佐藤)も胆石保持者ゆえに、炭水化物に対して消極的ではある。そんなダイエッターにはあまりオススメできないお店を紹介する。
なぜオススメできないかというと、美味しすぎてご飯を食いすぎてしまうからだ! ご飯好きにも同じくオススメできない。なぜならやはり食いまくってしまうからだ!
このお店「象印食堂」はワナだ! 食いすぎるワナが仕掛けられている。気を付けろ!!
・象印食堂2号店
象印食堂は2018年10月に大阪に1号店が誕生している。そして2023年2月7日、東京駅近くの商業施設「KITTE丸の内」に2号店(東京店)がオープンしたのだ。
大阪店はオープン当初、入店まで1時間を要したと聞いている。東京でもやはり並ぶことになるのだろうか? オープンから1カ月を経た現在の状況はわからないのだが、とにかく行ってみるとしよう。お店はこの建物の5階だったな。
開店時間の11時に5階に上がると行列!
……と思ったら、これは同じフロアの回転寿司店「根室花まる」の行列だった。ここのお店は年中混んでるんだよな。花まるはここ以外にもあるというのに……。さて、目的の店は後ろの突き当りだった。う~ん、人はいるけど行列というほどではなさそうだけどなあ。
近づいてみると結構人がいるな。20人もいないくらいだから、1巡目で入れそうなんだけど。
が! 私の前で1巡目の受付終了! 1時間20分後の12時20分からしか入れないそうだ、残念……。だが、受付帳に記名しておけば、この場所を離れてもOKだったので助かる。では、1時間後にまた来よう。
<1時間後>
あてもなく東京駅周辺をさまよって帰ってきた。駅は観光客でにぎわってるね。もうコロナ前とそれほど変わらない様子だったな。では行こう、美味いご飯の待つ店内へ!
案内された席は窓際、眼下に東京駅を臨む素敵なポジションだった。やったね、ラッキー!
実はこのお店、公式ページから予約をすることもできる。ただし、予約は前日までとなっているので注意してほしい。ちなみにランチの予約は11時~と13時~の2部制だ。
予約メニューは当日メニューよりもずっと豪華みたいだ! ランチの「華ごころ御膳」は税込3280円。
ディナーの「炎舞会席」は税込6980円となっている。食堂っていうよりも割烹や料亭みたいだな。
今回注文したのは「象印御膳 ご褒美(鯛茶漬け付)」(税込2280円)である。
ここの魅力はご飯おかわり自由! 炊き分けを含む6種のご飯から日替わりで3種が用意されており、おかわりの度に好きなものを選べるのだ。
お店の「基準」のご飯の量はお茶碗半杯。少な目でも盛ってもらえるので、少しずつ食べることもできる。
また、煎茶・ほうじ茶・玄米茶はセルフで飲み放題。温かいのも冷たいのもあるぞ。
・主役はご飯!
こちらがその御膳である。
主菜は「黒毛和牛のカツレツ~デミ味噌ソ―ス仕立て~」だ。美味そう~! ……ではあるが、はっきり言ってこれは今回のメインではなかった。
このお店において主役はご飯! 豆皿のおかずとご飯のお供がご飯を食わせようとするので、肉に集中している時間は一切なかった。たとえこの見た目でもだ。
真鯛の薄造りもまたしかり、刺身としてではなく鯛茶漬けのためにあると言っていい。つまりご飯の引き立て役でしかなかった。主役はやっぱりご飯なのである。
ご覧ください、豆皿のおかずたちです。左から「セロリと桜海老の塩麹漬け」「ひじきと長芋の梅和え」「そら豆とレーズンの白和え」の3品。
見た目は地味だ。しかししかし! こいつがめっちゃいい仕事しやがる!! 飯を食わせに来るんだよ! その誘惑は肉の比じゃねえ、肉よりいい仕事してるんだ!
ご飯のお供もまた仕掛けてくる。めっちゃ仕掛けて来やがる!! 「炙り明太子」「海苔の佃煮わざび風味ときゅうりのお漬物」「梅干しのオリーブオイル漬け」の三連星である。とくに、梅干しハンパないって! めっちゃご飯食わせようとするもん。そんなできひんやん、普通!
そして主役のご飯チームの入場です!
このご飯は、象印の「圧力IH炊飯ジャー『炎舞炊き』NW-FA型」で炊き上げたものとのこと。色艶ともに美しく、米粒の形がキレイに整っている。
このご飯、アツアツではなく、むしろ少し冷めている具合だ。でも美味いんです! このご飯だけで十分美味いんですよ、炊飯器で炊いたものとは思えないんですよ! マジかよ速報だよ、マジかよ!
玄米は宮城県産の「金のいぶき」を使用している。こちらも白米に負けず劣らず美味。柔らかくて粘りがあって、噛むほどに甘味が口に広がる。炊飯器でこのレベルのご飯が食えるとは、ちょっと衝撃的だ。釜で炊いてるのとそれほど変わらないんじゃないのかな。
黒毛和牛でさえもご飯の味に及ばない、そう感じるのは気のせいだろうか? おいしいのはおいしいんだけど、なんと言うか、身体に響かないんだよなあ、肉のウマさって。多分、私がジジイになったせいだと思うけどね。
肉とは異なりこの3品は私を駆り立てる、「ご飯食え」と。「ご飯食いたいだろ? もっと欲しいんだろ?」、急き立てるように私にご飯を勧めてくるのだよ。気づけば最初の2杯をペロリだ。
おかわりは白米を多め(お茶碗1杯)で。ご飯のお供攻略と行こう、まずは炙り明太子で食らう。この明太子の量が絶妙だ! 多すぎるとご飯の味がボケるので、2切れにとどめているところが粋(いき)なんですよ。小気味(こぎみ)いい!
次は海苔の佃煮わさび風味。濃い海苔の風味に、ふわりと漂うわさびの香味。オシャレを上手に嗜む紳士の胸元にチラリと見えるポケットチーフみたいに、わさびの香味がさりげないんだよ。オシャレ! 味がオシャレですな!
そして梅干しでノックアウト。酸っぱさの中に柔らかい甘さが潜んでいて、完全にやられました。酸味と甘味のバランスが美しい! ワシャご飯を食わざる得ない!
うめえよ……、うめえんだよ……。脳内には、WBCの時に繰り返し聞いた国歌が流れとるよ。
・ウマ~~~い!
ふと見ると、ほぼ手付かずのカツレツが悲しそうに佇んでいた……。すまないカツレツ。お前を食ってやる暇がなかったんじゃ。
再度白米を普通(お茶碗半杯)でおかわりして、急きょカツ丼に仕上げる。美味いけど、私の心は梅干しを忘れられずにいた。ごめんよ、カツレツ……。
最後に再びご飯を半杯おかわりして、シメの鯛茶漬け。切り身をゴマダレにつけてご飯に乗せ、その上から出汁をジャーッ!
茶漬けって素敵な食文化ですね。茶漬けのある国に生まれてよかった!
ウマ~~~~い!
……と、叫びそうになるのを堪えた。ヤバい、完全におかしい人と思われるところだった……。
食後はご飯の入った「お米のアイス」がデザート。これもお米を感じる優しい甘さで美味しかったですよ。
ということで、ダイエッターは完全に飯を食わされるので注意。ご飯好きもまた、再現なく米を食うことになるかもしれないので気を付けて欲しい。当編集部では、編集長羽鳥が無類の米好きなので、彼にはヒミツにしておこう。そうしないとこっそり通って、彼が肥満化する事態にもなりかねないので。
とにかくご飯の美味しさを再認識できる良い店だった。私はきっとまた行く。狙い目の時間は開店直後だぞ。
・今回訪問した店舗の情報
店名 象印食堂 東京店
住所 東京都千代田区丸の内二丁目7番2号 JPタワー KITTE丸の内5階
時間 11:00~15:00(L.O.14:15) 17:00~22:00(L.O.21:00)
定休日 なし(施設に準ずる)
参考リンク:象印食堂
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24