「HIS(エイチ・アイ・エス)」は言わずと知れた旅行業者である。昨今は新型コロナの影響でなかなか旅行に行けない状況が続いている訳だが、そのHISが飲食業を始めていたのをご存じだろうか?
2020年10月に埼玉県川越市に飲食プロジェクト1号店の「満天ノ秀そば」をオープンし、すでに関東に4店舗も展開していたのだ。HISのそばってどんな味? 気になったので行ってみたぞ!
・後継者問題のたすけに
お店は川越の1号店のほか、飯田橋、神田、四ツ谷にもある。1号店を誕生させてから約半年の間で、4店舗まで拡大しているところを見ると、今後さらに店舗が増えるのではないだろうか。今回訪ねたのは四ツ谷店だ。
HISは飲食プロジェクトについて、2020年9月のニュースリリースで次のように発表している。
「旅行の楽しみの一つは、その当地ならではのグルメです。食を通じ、地域の特産や風土を堪能することで、味覚を通じた旅の思い出は色濃く残っていると考えています。
しかしながら、昨今、地方では後継者不足が業種に関係なく課題となっています。HISが取り組む「蕎麦屋」も、個人経営店が多く、後継者が見つからず閉店せざるを得ない状況になる店が少なくありません。HISはその問題解決に臨みたいと考えております」
美味しい食べ物との出会いは、旅行の楽しみの1つ。グルメを旅の目的と考える人もいるだろう。だが、歴史あるお店ほど後継者不足に悩まされている。そこで同社は味の担い手として一役買おうという訳だ。実際「満天ノ秀そば」は、神奈川県伊勢原市の31年続いた名店の味を引き継いでいる。
・本格的だ!
お店に入ると、まず最初にそば茶と食前 “酢” が出てきた。食事前に酢が出てきたのは初めてのことだ。しかも、「本日の食前酢は白ブドウ酢でございます」という。日替わり? まるで高級フレンチにでも来た気分だ。
メニューを見ると、もり・かけ・せいろはもちろん、肉そば・鴨南・天ぷらそばなど、一般的なそば屋と変わらない品揃え。天ぷらは全20種も用意されており、単品注文も可能となっている。思っていた以上に本格的じゃないか!
ランチメニューは4種類。もっとも安い「本日のランチセット」が税込890円。もっとも高い「秀そば御膳」が税込1680円となっている。なお、この御膳はそばと小鉢(3種)、天ぷら(3種)、季節のご飯と飲み物、甘味がついている。
・飲食だけでなく、将来的にホテル旅館再生なども
頼んだのは「満天セット」(税込1180円)、それをもりそばでお願いした。選べる天ぷらはオクラ・ナス・イカ・エビの4種類だ。出て来たのがコレ!
おお! ちゃんとしてる!! 新しい店なのに、そばは老舗の雰囲気。小鉢はサバのカルパッチョで、ちょっとハイカラじゃないか。まずは天ぷらから食べるとしよう。
衣には米粉を配合しており、カラッ! と揚がっていてサクサク食感。これをツマミに日本酒を飲んだら酒が進みそうだ。
続いてそばは国産そば粉を使った十割そば。注文が入ってから、打ち立て茹で立てを提供している。
ズルズルとすすり上げると、口のなかに風味が広がる。派手さはないけど、とても堅実な味。真面目なそばの味を楽しむことができた。当然食後にはそば湯が出てきた。食前酢からそば湯までの流れが完ぺきだ!
「HISのそば屋」と聞いてちょっと侮っていたけど、想像を超える力の入れようでビックリしてしまった。飲食プロジェクト、相当本気で臨んでいることが伺える。
なお、同社は新規ビジネスとして農業・ホテル・旅館再生などにも着手していくのだとか。HISの新規ビジネスのこれからが楽しみなところだ。
・今回訪問した店舗の情報
店名 満天ノ秀そば 四ツ谷店
住所 東京都新宿区四谷1-23 第一ヒューテックビル1階
時間 11:00~15:00 17:00~21:00
参考リンク:HIS
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24