私(佐藤)はこれまでに再三にわたって、「店構えは重要」と訴えている。しかしその忠告を無視して……、そもそも私がそんなことを言ってるとは知らずに、予想を裏切る店構えで営業をスタートするお店がある。
2019年4月にオープンした「ゴールドスターベーカリー」もそんなお店のひとつ。実際にお店のある東京・六本木に行ってみた。すると、想像を超える店構えであった。
・ブティックじゃないのか!?
パン屋には見えないという噂を聞きつけて、さっそく住所地まで行ってみると……。これがパン屋だとッ!?
どう見てもブティックじゃないか!
『GOLD-STAR』と記された看板の下には、『Fashion Sapce』の文字。やはりブティックでしょ。だって、店頭のディスプレイにはドレスが陳列されてるんだもの。
……と、ちょっと待てよ。その向こうに立て看板がある。そこには「京都生まれの高級デニッシュパン」とある。聞きつけた噂は本当だったのか。
・2階はブティック、1階はベーカリー
中に入ると、左手の方にカウンターがあり、カウンター後ろの飾り棚には1斤ずつ小分けにされた食パンが並べられている。お店の人に話を聞くと、ブティックは2階で営業を行っており、以前はこの飾り棚に女性モノのアクセサリー等が置いてあったそうだ。
現在は高級デニッシュ食パン。プレーンが1斤サイズ750円。2斤サイズが1000円となっている。そのほかにもいくつか種類があり、私は今回プレーン1斤のほか、ショコラ―デ1斤(1000円)とメープル1斤(899円)を購入した。
・日持ちする食パン
このパンの袋には特殊な加工が施されているそうで、一般的な食パンに比べて未開封のままだと長く日持ちするそうだ。2019年5月30日に購入したこのパンは賞味期限6月7日。暑くなって来た今時期なら、湿気が多く2~3日放置しただけでカビがつきそうなものだが、開けない限り1週間はもつとのこと。
という訳でプレーンを開封した。開けると甘い香りがフワリと立ち上がる。う~ん、パンの香りはなぜ心を癒してくれるのだろうか。もうずっと嗅いでいたい気持ちになる。
近頃は最初に「生食」を勧める高級食パンのお店が多いのだが、ここは焼いて食べて欲しいという。デニッシュ生地なのでトーストした方がその持ち味が発揮されるのだとか。
1センチ程度の厚さにカットして、トースターで焦がさないように焼く。表面にキツネ色の焼き目がつく程度に加熱する。
・トーストして食うべし
パンの香りが部屋の一部を支配して、幸せな気持ちにあった頃に、取り出して白い器にのせてやる。
何もつけないまま口に放りこむと、ザクリとした歯触りが心地よい。お店の人は「揚げたてのトンカツの衣のよう」と表現していたが、あながち間違いではない。デニッシュパンの織り込まれた生地が細かく、繊細であるために、実現できる軽やかな食感なのではないだろうか。
ちょっとイタズラ心で「パン屋さんって気づかずに素通りする人、いませんか?」と尋ねると、「変えた方がいいですかね?」と仰るので、私は慌てて「とんでもない!」と否定した。ベーカリーとわかったほうが良いには良いけど、これはこのお店の個性だと思う。できれば、このまま貫いて欲しい。
ちなみに、2階のブティックと1階のベーカリーのオーナーは同じため、こうなったのだと最後に聞くことができた。皆さん、店を見落として素通りしないように。
・今回紹介したお店の情報
店名 ゴールドスターベーカリー
住所 東京都港区六本木5-2-2 森本ビル 1F
営業時間 10:30~19:00
定休日 なし
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24