今年の夏ほど「熱中症」が人々の関心を集めた年というのは中々無いのではないだろうか。この記録的な猛暑に際して、いろいろな所で盛んに注意喚起がなされているが、それでも毎日のように熱中症関連の痛ましい報道が流れている。
そういった報道の中でも、特に心が痛むのは学校で起きる集団での熱中症だ。なぜなら、そのほとんどが学校側の設備や指導次第で回避できたであろうものだからだ。そんな中、設備面の問題を改善するために、日本のある企業が公立の小中学校向けに中古エアコンを無償提供するという神対応を開始したぞ!
・完全に無償提供
名乗りを上げたのは、愛知県の中古エアコン事業者「元気でんき株式会社」だ。社名に聞き覚えは無くても「エアコン買取王」の運営会社と言えばピンとくる方もいるのではないだろうか。日本全国を対象にエアコンの出張買取を行っていて、関東にも店舗がある会社だ。
そして気になる提供内容は
提供内容はエアコン本体(室外機付)であり、この提供に紐付いて私たちで別途有料の取付が必須といった条件も一切ございません。純粋にエアコン本体を無償提供するお申し出でございます。
とのことで、マジでガチに無料でエアコン一式を取り付けてくれると言うわけだ。神がかってるにも程がある……ッ!!
・今の在庫はとりあえず150台から
ただし無制限に供給できるわけではない。現状だと150台ほどの用意があるとのこと。最近の小中学校の教室数がどれくらいなのかは分からないが、筆者の時代だと1学年で大体5、ちょっと大きいと10クラスくらいだった。
150台だとすぐになくなってしまいそうだが……
これは現時点での在庫であるため、複数年掛けた導入計画の場合は、在庫数はこの限りではありません。私どもとしては、自治体で求められる仕様を学ばせて頂くことで、今後の活動の参考なると考えております。
なるほど、数年かけてということか……最終的にどこまで対応可能なのかは正直未知数だが、こつこつと普及させていく覚悟を感じる。
・現状のエアコン普及率は約50%程度
実のところ、公立の小中学校のエアコン設置率は全体的にまだまだ低い。文部科学省が平成29年に出した「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況調査の結果について」によると、普通教室における設置率は49.6%。特別教室との合計だと41.7%だ。
北海道や青森、岩手など北部の学校はもともと設置率がかなり低いこともあり、それによって平均値が下げられている。一方で、東京都と香川県はほぼ全ての教室に冷房が完備されていることなどもあって、一概に約半分とは言えない。
しかし、例えば先日小学生が熱中症で死亡してしまった愛知県の小学校は教室にエアコンがない。学校による調査の結果、室温が37度に達していたというのはその後の報道の通り。
ちなみに愛知県の公立小中学校におけるエアコン設置率は27.8%(平成26年時)しかない。この4年での上昇率は不明だが、劇的に改善してはいないだろう。もし小学校にエアコンがあれば、先述の悲劇を回避できたのではないかと思わずには居られない。
・まずは問い合わせてみよう
そもそもなぜ小中学校にエアコンが設置されないのか……筆者が小学生の時代、かれこれ20年ほど前になるが、教師達は「エアコンは甘い」「忍耐力がつかない」などと言っていた。でも当時はぶっちゃけ今ほど暑くなかった。
もし、そういう時代遅れな思想から頑なにエアコンを設置しないというのであれば愚かとしか言いようが無いが、設置したくても予算が足りなくて導入できないなどの理由であれば、ぜひこの申し出に乗っかるべきだろう。
記事の最後に問い合わせ先を記載しておくので、「うちの子の学校にもエアコンが無くて困っている」という保護者の方は学校側に教えてあげたり、学校関係者であればとりあえず問い合わせてみることをお勧めする。
筆者も電話してみたところ、この番号は平日午前9時から午後6時まで対応。また、担当者が不在の場合には折り返しでの対応ということと、現在多数の問い合わせが来ているため、返答に時間がかかるかもしれないとのことだ。
・問い合わせ先
社名:元気でんき株式会社
電話番号:052-369-0801
参照元:文部科学省
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.