ロケットニュース24

持ち帰り不可! 「モンブラン」の概念を木っ端みじんにぶっ壊す『モンブランスタイル』のこだわりが凄すぎる!!

2018年6月21日

ケーキのなかでも比較的人気の高い「モンブラン」。栗を裏ごしして、らせん状に巻いたクリームが特徴なのだが、その出来たてを食べたことがあるだろうか? 一般的には作り置きしたものがショーケースに並んでおり、それを店内かもしくは買って帰って食べるものである。

ところが、東京・代々木八幡の『モンブランスタイル』には作り置きしたものは無い。持ち帰り不可の出来たてをその場で提供する! まるで寿司屋! 作り立て・絞り立てのモンブランを食べることのできる、稀なお店だ。

・強いて言えば、モンブラン屋

このお店は、東京・谷中に店を構える『和栗や』の姉妹店だ。カウンターのみで、メニューはドリンクのほかにモンブランとモンブランパフェだけ。「喫茶店」というべきか、「ケーキ屋」と呼ぶべきか。いや、「モンブラン屋」と呼ぶのがふさわしいかもしれない。

メニューにある「デセル」とはモンブランのことだ。レギュラー(税別1112円)とラージ(税別1389円)。それからモンブランパフェ(税別1389円)。ほかには、焙じ茶・煎茶・日本酒があり、ケーキを売りにしているのに、和の要素が強い。


・開店と同時に満席

開店前にお店に着くと、1人の女性が並んでいた。私(佐藤)がその後に続くと、すぐに1人、また1人と並びだし、開店と同時に中に入ったら、カウンター8席はアッサリと埋まった。つまり満席である。本家の和栗や も常時行列の人気店らしいが、こちらも負けていない。


・「お寿司のように」

中に入ると和テイストはさらに強く感じられる。というのも、内装はとても洋菓子を出すお店には見えないからだ。小さめなキッチンをL字に囲うようにカウンター席が設(しつら)えてある。その様子はどう見ても寿司屋である。

メニューには実際にこう書いてある。

「作りたてをご提供させていただく理由は、栗本来の繊細な風味と作りたてならではの食感を楽しんでいただくためです。握りたてのお寿司のように、刻一刻と状態や味が変化していきますので、ぜひベストな状態でお召し上がりください」


私(佐藤)は今まで44年間生きてきて、大変申し訳ないがそこまでの熱い思いをモンブランに感じたことはなかった。どちらかといえば、ケーキのなかでも、そこまで好きな部類ではなく、刻一刻と味が変化することさえも知らなかった。


・オーダーを受けてから作り始める

だがここへきて、なぜそこまでこだわるのか、その理由がわかったかもしれない。目の前では、オーダーを受けてからパティシエ(と言うべきか?)がモンブランを作り始める。

器に丸くあしらった栗の中央に、別に仕立てた栗のクリームを流し込み……

立てたばかりの生クリームとメレンゲ(焼き菓子)を置き、さらにその上から小田巻器を使って、裏ごしした栗を回しかける。

慎重かつ丁寧に作り上げていく様子は、このモンブランが短命であることをうかがわせているようだ。作り置きが当たり前だと思っていた私には、作り上げるプロセスを見ることはとても新鮮。そして寿司のように、出来たてを提供したいというお店の思いを感じ取ることができた。


・やはりモンブラン屋

器に鎮座したモンブランの姿は、洋菓子がその起源であることを忘れさせる佇まい。

これを見ていると、このお店が洋菓子店ではなく、ましてカフェやケーキ屋でもなく。「モンブラン屋」、そう言いたくなる気持ちが湧いてくる。


・組み立てられた食感

ここで使用している栗は無燻蒸(むくんじょう)なのだとか。燻蒸とは、害虫を駆除するために、薬剤をいぶして栗に浸透させる処理だ。これを行っていないために、薬臭くなったりしていない。無垢な栗の自然な甘さを味わうことができる。

口に含んでいると、後から後から甘さが増していくようにさえ感じられる。その下には、直前に立てた生クリーム。

ミルクの風味が豊かで、コク深い栗の甘さをそっと軽やかにしてくれるようだ。ふんわり濃厚なクリームを堪能していると、不意にサクっとしたメレンゲの食感に出会う。その歯触りにハッとさせられる。まるで、弦楽を聞いていたときに、突然トランペットのファンファーレが響いた時のような、目の覚める驚きだ。何となく、くじ引きであたりが出た時の感動にも似ている。


・ラージでもペロリ

そして最後には、栗のクリームが待っている。その安定感たるや、ドッシリとしていてこの逸品の殿(しんがり)を務めるのにふさわしい味。

ラージサイズはちょっとデカいかな? と思ったら、気が付けばペロリと平らげてしまった。隣の年配の女性は、レギュラーを注文していたが、食べ終えたときに「私もラージにすれば良かった」とポツリとつぶやいた。

女性でもラージはいける。栗の極み、極上のモンブランを味わいたいなら、ぜひともこの店を訪ねるといいだろう。これまで抱いていた、モンブランに対する見方が変わるはず

・今回訪問した店舗の情報

店名 モンブランスタイル
住所 東京都渋谷区富ヶ谷1-3-3 スズビル 1F
営業時間 12:00~19:00(売切れ次第終了)
定休日 水曜日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

35.669548139.689735
日本、〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1丁目3−3
モバイルバージョンを終了