ロケットニュース24

【追跡調査】JR新宿駅の「路上で売っている絵」に込められた真の意味は? 作家に尋ねたら意外な事実判明!!

2017年10月30日

以前の記事で、JR新宿駅近くの路上で絵を売る男性がいたことについてお伝えした。芸術的感性を一切持ち合わせない私(佐藤)は、その絵の価値がわからない。500円で1枚購入してみたものの、絵の訴えんとすることがわからないのだ。

あれから約2週間後。絵について釈然としない私は、思い切って作家に意見を求めることにした。「あの絵の意味を教えて欲しい」──そう尋ねるために、再び彼のもとへと足を運んだのである……。

・絵を見てわかったこと

『パピルス「五円玉」』と名付けられたこの作品。絵心を1ミリも持ち合わせていない私だが、ひとつだけわかったことがある。それは……。

上手くはないということ。もっと言えば下手だ。私でももう少しマシに描けそうな気がする。これを売るということは、強い自信と何かメッセージがあるに違いない。おそらくあの『パピルス』は、作家が思い描く世界の住人なのではないだろうか。

きっと遠大な世界観があり、パピルスをはじめとする多くの住人たちの物語があって、その一部を描きだして販売しているのだろう。そうに違いない! というか、そう考えなければ、500円払ったことに納得できない……。


・仮説

それにしても、あの稚拙なタッチにはどういう訳があるんだろう。考えられることといえば……。私が遭遇した男性は、本当は高名な画家で、路上での販売も含めて「アート」だと考えているのか……。

それとも、販売していた男性が描いた作品ではなく、作家は何か事情があって、自ら絵を売ることができない状況にあるか……。考えは尽きないのだが、「これは!」と思う仮説がひとつ浮かんだ!!


・もしかしたら、こんな物語なのでは?

私の想像では、こうだ。彼にはお子さんがいて、将来画家になりたいという夢を持っている。だが、あまりにも幼いので、自分の絵を売ることができない。そこで父親である彼が、子どもに変わって路上販売しているのだろう。子どもの夢を叶えるために。そう考えると、あの稚拙な画力にも納得がいくというものだ。

私はその仮説をもって、彼に真実を尋ねることにした。

・彼はいるのか?

そして、以前に彼を見かけたJR新宿駅周辺の路上に行ってみると……。


いた! 雨の日は休んでいることもある彼。その日は幸い天候に恵まれているたためか、いた! ただし……いつものように絵を売っているのかと思ったら、足元に絵はない。何があったのか!? 

このあと、ついに彼の素性と、絵に隠された真実が明らかになる。次のページへGO!

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

その日、彼は読書をしていた。以前見かけた時と同じように、身なりは整っており、サンダルをきれいに揃えてダンボールに座っている。

「こんにちは。以前絵を買ったものです。今日は絵を販売していないんですか?」

私が声をかけると、彼は驚いた様子だったが、イヤな顔をすることなく質問に答えてくれた。ちなみに、私が訪ねた日は絵を売る気分じゃなかったそうだ。絵を売らない時には、読書をしたり瞑想したりしているという。

私は名刺を渡してウェブライターであることを伝え、「お話を伺ってもいいですか?」と尋ねた。彼は はにかんだように微笑みながら、快諾してくれたのである。

・話を聞いてみると……

彼はオイカワさん。路上での絵の販売は8年くらい前から行っているそうだ。現在の場所に来るようになったのは、ここ1年ほどだという。子どもの描いた絵であることを想像していたが、作品は彼自身が描いているとのことだ。

・絵の意味を尋ねる

ここからが本題だ。販売している絵には、きっと深い意味があるはず。子どものような稚拙なタッチではあるけど、きっとオイカワさんは深い意味があってやっているはず。そう思いたい! ということで、次の質問をした。以下は彼との対話の要約である。

佐藤 「あの『パピルス「五円玉」』は、どうして描かれたんですか? パピルスはキャラクターですよね?」

オイカワさん 「そう」

佐藤 「パピルスは何ですか? 性別とかありますか?」

オイカワさん 「パピルスはチョウチョウかな」

独自の世界観のなかで語られたことなのか。私には意味を汲みかねたが、パピヨン(フランス語で蝶)に相通じる何かがあるようだ。パピルスは何となくわかったのだが、「五円玉」は何だろうか?

佐藤 「では『五円玉』はなんですか?」

オイカワさん 「五円玉? 五円玉は “ご縁” かな」

佐藤 「なるほど。そういうのは、何か深い意味があって描いてるんですよね」

オイカワさん 「深い意味はない。描くときに思いついたことを描いてます

なるほど……。思いつきで描いてたのか……。大きな物語の一部かと思ったら、思いつきだった。まさか落書きってことはないと思うけど、とにかく作品は閃きにゆだねられているらしい

・謎多き男

改めてほかの作品も見たいと思ったが、この時オイカワさんは絵を持ってきていなかった。また別の機会に、過去の作品や新しい作品について教えてもらいたいと思う。それにしても、オイカワさんは謎多き男である……。

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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